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カンジョウノムコウガワ
感情の向こうがわ
武術家と精神科医のダイアローグ
発売日 2022/06/24
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07341-9
ページ数 272 頁 Cコード 0075
定価 2,420円 (本体価格2,200円)
未曽有の社会的混乱のなかでこれからの私たちが生きる道とは――。稀代の武術家と精神科医の対話から見えてくる、一回性の「いま」を生きるために、自分の身体を通してものを考えるための実践的なことばの数々。特別寄稿:甲野善紀氏。
光岡英稔 (ミツオカヒデトシ)
1972年岡山県生まれ。7歳で渡米し、小学生時代をアメリカ、北カリフォルニアの山中で過ごす。帰国後11歳から19歳にかけて空手、柔道、古流柔術、合気柔術、剣術、中国武術、気功などを学ぶ。19歳で武術指導のため渡米、ハワイにて現地の武術家達と交流。2000年帰国し武術指導を始める。2003年2月、中国武術の精髄といわれる意拳の創始者、王向斎の高弟であった韓星橋先師(2004年没)と、その四男である韓競辰老師に出会い、同年8月に拝師の誘いを受け日本人として初の入室弟子となる。現在、日本における韓氏意拳に関わる指導・会運営の一切を任されている。また2012年から『文化の実践としての武の探究』を深めるため国際武学研究会(I.M.S.R.I.International martial studies research institute)を発足させ、伝統武具の用い方などの研究を進めている。日本韓氏意拳学会、国際武学研究会代表。
著書に『身体の聲――武術から知る古の記憶』(PHP研究所)、『武学探究――その真を求めて』『武学探究――巻之二』(ともに甲野善紀と共著、冬弓舎)、『荒天の武学』『生存教室 ディストピアを生き抜くために』(ともに内田樹との共著、集英社新書)、『退歩のススメ 失われた身体観を取り戻す』(藤田一照との共著、晶文社)など。
名越康文 (ナコシヤスフミ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医、歌手。相愛大学、高野山大学、龍谷大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪精神医療センター)にて、精神科緊急救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『「鬼滅の刃」が教えてくれた 傷ついたまま生きるためのヒント』(宝島社)、『SOLOTIME~ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)『【新版】自分を支える心の技法』(小学館新書)『驚く力』(夜間飛行)ほか多数。「THE BIRDIC BAND」のヴォーカル・作詞/作曲者として音楽活動にも精力的に活動中。会員制動画配信チャンネル「名越康文TVシークレットトーク」も好評配信中。
https://yakan-hiko.com/meeting/nakoshitv/index.html - top
はじめに 名越康文
第一章 コロナが明かした時代の無力さ
不都合な事実と現実世界
より巧妙なマトリックスの世界
最大多数の最大幸福とは?
リベラルな言論の衰退の果て
武術界と宗教界のダメさについて
共同幻想が破れてもなお続く暮らし
第二章 経験的身体と共同体
誰しもが備えている経験的身体
地球に落ちてきた生命体
同調を確かめるから苦しい
自我ではない自分のやりたいこと
ハワイで時間の拘束が解かれた
怒りをうまく凝縮させる
YouTube と武術の組み合わせ
第三章 原初を失った人間の前提を理解する
二十一世紀は場の心理学になるだろう
できないこともその人らしさなのか?
背骨のない身体観
ボディ・ビルディングという概念化
人間が生き延びていくためにすべきこと
「自然に還れ」というファシズム
第四章 死生観について
死は感覚の向こうがわ
抗えない死、感覚の向こうがわ
身体の左右観
経験的身体が観えない現代人
塵浄水の礼で知る勁道
信はどこで生じているか
死生観を前提にした生き方
死んだ先の仕事も意外と多い
死ねない身体
第五章 言語と身体、精神分析
アメリカでの原初体験
軸がなくても平気な日本
英語の話せる身体性
空手と不良の道のあいだで
人間とは恐ろしいもの
ラカンの逸話に戦慄する
殺しにくるのが当たり前
第六章 強さと弱さ
道具と言語の多重化
心と感情
感情の基盤となる性
仏教の身体性
第七章 自我と個性と法則性
プロレスを現実だと錯覚している
自我とは流派である
いまにいられず居着いてしまった
積み上げという努力の大したことなさ
内面で逃避の理由を作るのが人間
絶対的な答えがない、という絶対的答え
第八章 感覚の向こうがわ
型と経験的身体の関わりについて
感覚の向こうがわと型
生命はガチ
おわりに 光岡英稔
解説 畏友という存在 甲野善紀