スケープゴート
金枝篇8 スケープゴート
発売日 2023/12/06
判型 菊判 ISBN 978-4-336-04498-3
ページ数 400 頁 Cコード 0339
定価 15,400円 (本体価格14,000円)
世界各地の慣習・儀式・風俗をめぐり、呪術と宗教の起源をさぐる壮大な旅。本巻では、地上の生命を悩ますあらゆる災難から信仰者たちを解放する、スケープゴートとしての〈死にゆく神〉を取り上げる。石や棒、動物、人間への災厄の転移、身の回りに遍在する悪魔と様々な厄払い、悪魔祓い、魔女の追放、メキシコの人間供犠と神殺しから、ローマのサトゥルナリア祭と類似の祭典における無礼講と偽の王、キリストの十字架刑まで、 スケープゴートの慣習を神の犠牲へと純化する思考の錬金術。
J.G.フレイザー (ジェームズ・ジョージ・フレイザー)
(1854~1941)スコットランド、グラスゴーに生まれる。ケンブリッジ大学トリニティー・カレッジ入学後、エドワード・タイラーなどに影響を受け人類学・民族学・神話学の研究を開始する。1907年リヴァプール大学教授に就任。40年以上の半生を『金枝篇』執筆と完成のために費やし、その研究はエリオットやコンラッドなどをはじめとする文学や、映画・美術・社会学など様々な領域に影響を与えている。
神成利男 (カンナリトシオ)
1917年秋田県に生まれる。朝鮮総督府・大蔵省財務局などに勤務中本書の翻訳を開始。1970年退職と同時にアイヌの里二風谷に移住、1991年に死去するまで本書の翻訳を続け、完成させる。訳書に『コタン探訪記――日本の知られざる辺境・北海道編』(北海道出版企画センター)などがある。
石塚正英 (イシヅカマサヒデ)
1949年新潟生まれ。1981年立正大学大学院博士後期課程満期退学。現在、東京電機大学名誉教授。博士(文学)。著書に『信仰・儀礼・神仏虐待』(世界書院)、『歴史知とフェティシズム』(理想社)、『歴史知と学問論』(社会評論社)、『石塚正英著作選【社会思想史の窓】』全6巻(社会評論社)、編著書に『哲学・思想翻訳語事典』(論創社)、『石の比較文化誌』(国書刊行会)などがある。
第一章 災厄の転移
1 非情の無生物への転移
2 石や棒への転移
3 動物への転移
4 人間への転移
5 ヨーロッパにおける災厄の転移
6 災厄の釘付け
第二章 悪魔の遍在
第三章 公的な厄払い
1 一時的な厄払い
2 定期的な厄払い
第四章 公的なスケープゴート
1 具現化された厄払い
2 物を媒介にした一時的な厄払い
3 物質的媒介による定期的な厄払い
第五章 一般的なスケープゴートについて
第六章 古代ギリシア・ローマにおける人間のスケープゴート
1 古代ローマにおける人間のスケープゴート
2 古代ギリシアにおける人間のスケープゴート
第七章 メキシコにおける神殺し
第八章 サトゥルナリア祭と類似の祭典
1 ローマのサトゥルナリア祭
2 〈豆の王〉と〈道化者の祭り〉
3 サトゥルナリア祭と四旬節
4 古代ギリシアのサトゥルナリア
5 西アジアのサトゥルナリア祭
6 結論
註 キリストの十字架刑
原註
余論
第六部解説
事項索引
地名索引
人名索引