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2024/10/03
新刊ノンフィクション『狂人たちの世界一周』内容紹介
史上初の無寄港世界一周ヨットレース。
出航者9人の相次ぐ脱落、遭難、自殺。
傑作ノンフィクション。
このレースは歴史的な偉業として称えられるとともに、海洋競技史上最大の謎「ドナルド・クロウハースト事件」としても、長く語り継がれることになる。
「嘆かわしいまでに正常」なノックス=ジョンストン、放浪に憑りつかれたモワテシエ、謎に満ちたクロウハースト......9人の男たちは、史上最長、最も孤独な航海になぜ旅立ったのか? そして、成功と破滅を分けたものとは?
2022/08/19
新シリーズ《奇想天外の本棚》刊行開始!
《奇想天外の本棚》
"KITEN BOOKS"
【第1期・全12巻】
製作総指揮=山口雅也
噂には聞くものの、様々な理由で、読書通人でも読んでいる人が少ない
「都市伝説的」作品の数々――
ミステリ、SF、ホラーから普通文学、戯曲までを紹介する、
読書通人にとっての《理想郷》ともいうべきシリーズ、刊行開始‼
【四六判・並製ジャケット装・平均300ページ】
平均本体予価2400円
装訂=坂野公一(welle design)
山口雅也
ようこそ、わたしの奇想天外の書斎へ。ここは――三方の書棚に万巻の稀覯本が揃い、暖炉が赤々と燃え、読書用の安楽椅子が据えられているという――まさに、あなたのような読書通人にとって《理想郷》のような部屋なのです。
――そうです、三冊で途絶した《奇想天外の本棚》を、生死不明のまま待っていてくれた読者の皆さん、どうか卒倒しないでください。私の執念と新たな版元として名乗りを上げた国書刊行会の誠意ある助力によって、かの名探偵ホームズのように三年ぶりに読書界に《奇想天外の本棚》が生還を果たしたのです。
甦った《奇想天外の本棚》(KITEN BOOKS)は、従来通り読書通人のための叢書というコンセプトを継承します。これからわたしは、読書通人のための「都市伝説的」作品――噂には聞くが、様々な理由で、通人でも読んでいる人が少ない作品、あるいは本邦未紹介作品の数々をご紹介します。ジャンルについても、ミステリ、SF、ホラーから普通文学、戯曲まで――をご紹介してゆくつもりです。つまり、ジャンル・形式の垣根などどうでもいい、奇想天外な話ならなんでも出す――ということです。
では、《奇想天外の本棚》第1期12冊個々についてご紹介しますが、時節柄刊行記念イヴェントもできない昨今でありますので、トーク・ショウのような気分でカジュアルな本音トーク(一部、私情の入った伝法な口調、ご理解ください)をお聞き願いたいと思います。尚、以下の配本順不同、邦題は仮題となります。
........................................................................
◆9月20日刊行◆
【1】『九人の偽聖者の密室』
Nine Times Nine by
H. H. Holmes
オカルトがらみの密室殺人の謎に直面した捜査陣は、「密室派の巨匠」ジョン・ディクスン・カーが書いた《密室講義》を参照しながら推理・検討をするのだが、なんと《密室講義》のどの分類にも当て嵌まらないことが判明する。困惑する捜査陣を前に、難事件の経緯を知った尼僧アーシュラは、真相究明のために静かに祈りを捧げるのだった......。果たして異色の尼僧探偵の祈りが通じ、神をも畏れぬ密室犯罪の真相が看破されるのだろうか⁉ 世界のミステリ通人が集うGolden Age Detection のメンバーでも、作者の深い企みは見抜けなかったという「読者よ欺かるるなかれ」的作品。読む者の見識が試される密室犯罪試金石なり。
【2】『Gストリング殺人事件』
(ジプシー・ローズ・リー/柿沼瑛子訳)
The G-String Murders by
Gypsy Rose Lee
伝説のストリッパー、ジプシー・ローズ・リーが書いた探偵小説。数年前もツイッタ―で取り沙汰されていた話題作。ファンの間ではクレイグ・ライス代作説が根強いが、今回は新進気鋭の評論家酔眼俊一郎氏が懇切な前説で真相を究明。この解説を読むだけでもミステリ・ファンはMUSTの一冊ですね。
【3】『死体狂躁曲』
(パミラ・ブランチ/小林晋訳)
The Wooden Overcoat by
Pamela Branch
クリスチアナ・ブランドの親友ブランチが書いた、《死体を持て余してうろたえサスペンス》、即ちブラック・ユーモア・タッチのミステリ。『20世紀ミステリ&クライム作家事典』(第一版)にも記載のない海外の専門家もノーマークの作家だったが、熱心なファンの支持もあって、近年、全作復刊、再評価の機運も。《奇想天外の本棚》は、こういう作家を見逃しません。
【4】『プライアブルの脅威、その他の脅威』
(ダニエル・F・ガロイ/尾之上浩司訳)
The Pliable / Tonight the Sky Will Fall / The
Day the Sun Died by Daniel F. Galouye
《恐怖の火星探検》など、いったい、いくつあるんだよ、という映画《エイリアン》の元ネタ候補の一つが表題中編の『プライアブル』、私は映画公開の前に『SFマガジン』でガロイの『プライアブル』を読んでいたので、元ネタはこっちだろと思い込んでいた。当時の『SFマガジン』の編集長福島正実をして、SFミステリというならこれくらいのものを書いてほしいと言わしめた名作なのだが、雑誌掲載のみで知る人ぞ知る作品となってしまった。そういう不遇作なら、《奇想天外の本棚》に任せてほしい。ガロイの中編三本立て興行、まとめて公開しますよ!
【5】『最後にトリヴァー氏は』
(ウィリアム・ウィーガンド/宮脇孝雄訳)
At Last, Mr. Tolliver by
William Wiegand
むかし英国のミステリ作家サザランド・スコットがBlood in Their Inkという、かなりユニークな視点の評論書を出しておりまして、その中のユニークなミステリ分類(詳細はネタバレになるので言えません)の好個の例として取り上げていた。だがしかし! その後、翻訳紹介されることもなく、幾星霜......その間、英文資料の「エラリイ・クイーンとロス・マクドナルドの中間を行く」という評価を知って、ますます読みたくなってしまった。――そうです、誰も出さないなら、読みたいと思ったわたしが出しましょう、というのが本叢書の企図なのです。
【6】『五つの箱の死』
(カーター・ディクスン/白須清美訳)
Death in Five Boxes by
Carter Dickson
言わずと知れた密室派の巨匠、ジョン・ディクスン・カーの不可能犯罪以外にもいいのがありますよ、という好個の例。わたしは本作のクライム・シーンにおける不可解な演出が大好きなのだが、フーダニットとしても、究極の離れ業を見せてくれている。こんな技を繰り出してきた例は、日本の誇る本格派の驍将のアノ先生ぐらいかも。カーは未訳の『棺桶島』も第二期で出します。お楽しみに!
【7】『恐ろしく奇妙な夜』短編集
(ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ/夏来健次訳)
Night of Horror and Other Stories by
Joel Townsley Rogers
頭がいい(ハーヴァード大卒)んだか、悪いんだか、ユニークな文体なのか、単に下手なのかよくわからない作家J・T・ロジャーズ。だが、世間がバカミスと嗤っても、わたしは支持するぞ、この作家を。他の不見識な出版社が断るような企画こそ上等、わたしの叢書で出しますから!
【8】『濃霧は危険』
(クリスチアナ・ブランド/宮脇裕子訳)
Danger Unlimited (英版タイトルWelcome to Danger) by Christianna Brand
これもわたしの愛する作家、クリスチアナ・ブランドが書いた未訳のジュヴナイル。いい探偵作家は、大方、いいジュヴナイルも残していますね。やはりいい作家は童心を忘れないということでしょう。尚、本作は名作『ジョゼベルの死』と同年発表ということで、期待感が大いに高まりますね。
【9】『九番目の招待客』
(オーエン・ディヴィス/白須清美訳)
The 9th Guest by Owen
Davis
わたしの持っている稀覯本中の稀覯本を放出。以前この本をトーク・ショウでアナウンスした時、その場にいた日本の評論家をして「ミステリ史を書き換える」とまで言わしめた戯曲。そうなんです、本作はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』の元ネタとなった作品なのです。作者は演劇界の重鎮として知られる人なのだが、ファースト・ネームのオーエンにご注目! 『そして誰もいなくなった』の謎の招待主の名前がU・N・オーエンだったでしょ? これはクリスティーからのオマージュ・メッセージなのではないかと。尚、元ネタ説についてはややこしい話があるので、酔眼俊一郎氏に書いてもらうことにしました。
【10】『フランケンシュタインの工場』
(エドワード・D・ホック/尾之上浩司訳)
The Frankenstein Factory by
Edward D. Hoch
短編の名手エドワード・D・ホックの長編シリーズ《コンピュータ検察局》の最終作。その素晴らしいタイトルから日本でも識者の間で翻訳が待ち望まれていたのだが、一向に訳出される気配がない。さらに、驚くことに、Amazon USAのレイティングが☆一つという低評価なのを発見! あの職人作家ホックが☆一つとは......そんな訳ねーだろと、義憤(わたしの物書きデビューはホック論、追悼文も書いています)に駆られたわたしとしては、意地でも本叢書に入れようと考えた次第。
【11】『誰?』
(アルジス・バドリス/柿沼瑛子訳)
Who? by Algis Budrys
ヒューゴー賞をハインラインと争って一票差で敗れ、その一票が賞を争ったバドリス自身が投じたものだったという爆笑逸話を聞いた覚えがある、不運なんだか、単にいい人なんだか判断に困る作家バドリス。同じくヒューゴー賞落選の『無頼の月』も、早くから日本の通人たち(鏡明、殊能将之両氏)に評価されていたのだが、短縮版が雑誌連載されたきりで単行本にならなかった不遇の作家バドリス。そうした作家こそ本叢書は大歓迎! 尚、本作は冷戦下のスパイ・スリラーの趣もあるSFミステリで、映画化もされている (国内未ソフト化) のだが、不適切な邦題の旧訳は評判にならず。よって本叢書では原題に戻し新訳で再度世に問います。
【12】『吸血鬼ヴァーニー』第1巻
(ジェームズ・マルコム・ライマー&トーマス・ペケット・プレスト/三浦玲子・森沢くみ子訳)
Varney the Vampire by
James Malcolm Rymer, Thomas Peckett
Prest
ヴィクトリア朝期に書かれたゴシック・ホラーの古典。女性の首に嚙みつき血を吸う貴族紳士という吸血鬼の雛形を最初に描いた歴史的重要作である(若い読者はTVドラマ《ペニー・ドレッドフル》でご存知かも)にも関わらず、日本では二世紀に亘って断片的にしか翻訳紹介されてこなかった、ホラー・ファン(老若問わず全員集合!)にとっては、まさに「都市伝説的」一書。そうなったのは百科事典並みの膨大な量だった(全232章、約667000語)こともあるだろう。だがしかし、上記の理由から、これを読まずしてホラーを語るなかれ――ということで、過去に近刊予告を出した国書刊行会としても、版元の矜持をかけて一大翻訳事業に取り組むことになった次第(拍手)。また、今回の新訳のミソは女性の若手翻訳家二名のハイテク秘策による共訳という方式を採用したこと。作中犠牲者として描かれる女性がハイテク翻訳したらどういう吸血鬼像が生まれるのかというのも個人的な興味の焦点。
*タイトル等は変更される場合があります。
■内容見本■
(ダウンロードはこちらから)
《奇想天外の本棚》
第1回配本
2022年9月刊行
『九人の偽聖者の密室』
H・H・ホームズ/白須清美訳
定価:本体2,200円+税
ISBN978-4-336-07401-0
【第2回配本】
『Gストリング殺人事件』
ジプシー・ローズ・リー/柿沼瑛子訳
【第3回配本】
『死体狂躁曲』
パミラ・ブランチ/小林晋訳
*以降順次刊行
2022/02/10
【2/22フェア店舗情報追加!】『奇奇怪怪明解事典』刊行記念選書フェア開催!
Spotify独占配信・抱腹絶倒の耳の旅、待望の書籍化!
TaiTan(Dos Monos)・玉置周啓(MONO NO AWARE)『奇奇怪怪明解事典』の刊行を記念して、特典つき選書フェアを開催いたします。
TaiTan(Dos Monos)/玉置周啓(MONO NO AWARE) 著
定価4,180円(本体価格3,800円)
2021年3月の JAPAN PODCAST AWARDS 2020 Spotify NEXT クリエイター賞の受賞を皮切りに、同年5月にはオーディオストリーミングサービス Spotify での独占配信が発表され、Spotify Podcastチャートで最高順位第1位をマーク、2021年12月現在の合計再生時間・合計再生回数は前年比999%増をたたき出し、JAPAN PODCAST AWARDS 2021では大賞・ベストパーソナリティ賞にダブルノミネートされるなど、近年のポッドキャストブームを代表する大人気番組となった「奇奇怪怪明解事典」が待望の書籍化!
日本のヒップホップシーンを牽引する
グループDos Monos のメンバーTaiTan と、近年目覚ましい活動を展開するバンド MONO NO AWARE のフロントマン玉置周啓が多様なコンテンツと社会現象について語りのめす、アクチュアルな社会批評集にしてカルチャー全般への最良のガイドブック=ブックガイド。
2月15日刊行
フェア開催店舗で『奇奇怪怪明解事典』をご購入された方々に、もれなく「著者直筆サイン&フェア限定エピソードQRつき特製しおり」を差し上げます。
これまで「奇奇怪怪明解事典」で取り上げられた書籍について改めて語りなおすフェア限定エピソードは、「壱」「弐」の2種類ございます。
※開催店舗により種類が異なりますので、下記の開催店舗情報をご確認ください。
左:特製しおり「壱」 右:特製しおり「弐」
※QRは裏面に入ります。
【対象書籍】
【特典内容】
「TaiTan・玉置周啓両氏の直筆サイン&フェア限定エピソードQRつき特製しおり」
・エピソード「壱」つき特製しおり
取り上げられる書籍......『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』(乗代雄介著、国書刊行会)、『大丈夫マン 藤岡拓太郎作品集』(藤岡拓太郎著、ナナロク社)、『急に具合が悪くなる』(宮野真生子・磯野真穂著、晶文社)ほか
・エピソード「弐」つき特製しおり
取り上げられる書籍......『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(河合啓著、集英社)、『ルックバック』(藤本タツキ著、集英社)、『チ。―地球の運動について―』(魚豊著、小学館)『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(稲田俊輔著、扶桑社)ほか
【フェア開催店舗】
※開催店舗は順次追加されます。
※開催店舗により、しおりの種類が異なります。
※著者サインはすべてのしおりに入ります。
・エピソード「壱」つき特製しおり取り扱い店
青山ブックセンター本店
HMV & BOOKS SHINSAIBASH
・エピソード「弐」つき特製しおり取り扱い店
紀伊國屋書店新宿本店 2F新刊売場
紀伊國屋書店新宿本店 4F文芸書売場
2021/12/24
Spotify独占配信・大人気Podcast、待望の書籍化!『奇奇怪怪明解事典』刊行記念Twitter限定予約特典キャンぺーン
2021/10/25
新シリーズ《マッコルラン・コレクション》刊行開始!
2021/09/28
アラン・ムーア版〈ネオノミコン〉シリーズ全4巻 刊行開始!
2021/08/25
【10/8グッズ取り扱い店更新】〈スタニスワフ・レム・コレクション〉第Ⅱ期刊行開始!
2021/08/02
【真夏の書籍装幀祭――6・7月刊行物より】
弊社書籍の装幀についてはありがたくもお褒めの声をいただくことがしばしばありますが、実際にはどのような思いで各担当者は取り組んでいるのか。この2か月ほどの新刊に特徴あるブックデザインの本が集中したのを機に、以下写真小特集を組んでその一端をお届けします。試みに、数点には詳細なデータも(プロが見ればすぐに分かることですが)付してみました。どうでしょうか。ちんぷんかんぷんな文字列にも、なんとなく独特のロマンが感じられるかもしれません。
ということで、店頭で手に取る機会が難しい読者の方々はぜひ以下御覧いただき、お買い上げの参考にしていただければ幸いです。(配列は刊行日順)
- ・『エラリー・クイーン 創作の秘密』
- ・『インディゴ』
- ・『サイコマジック』
- ・『マルペルチュイ ジャン・レー/ジョン・フランダース怪奇幻想作品集』
- ・『「探偵小説」の考古学』
- ・『人狼ヴァグナー』
- ・『高原英理恐怖譚集成』
- ・『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』
◉『エラリー・クイーン 創作の秘密』
◆装幀・水戸部功
◆用紙・印刷・書体
カバー・帯:ヴァンヌーボV スノーホワイト130kg/グロスニス加工
表 紙:サガンGA 黒 100kg
見返し:ビオトーブGA-FS マゼランブルー 90kg
本 扉:NTラシャ 漆黒 70kg
本 文:OKライトクリーム 58.5kg/本文書体=リュウミンL
花 布:伊藤信男商店 103
スピン:伊藤信男商店 61
◆編集担当者より
既刊『エラリー・クイーン 推理の芸術』(評伝)に続くクイーン研究本として、水戸部さんには装幀もペアになるようにお願いしました。黒地に白抜きで原題を大胆に配したデザインは、ミステリ作家エラリー・クイーンのロジック重視の作風にも通じます。また、文字(アルファベット)に対する徹底した拘りもクイーン作品の特徴の一つです。
◉『インディゴ』
◆装幀・水戸部功
◆編集担当者より
作品の持つ斬新さ、不穏さをデザイナーの水戸部さんが見事に表現してくれました。カバーを外して、広げてみて下さい。よく見るとそこに現れてくるのはゼッツ氏の輪郭。それは実作者ゼッツ氏ではなく、登場人物のゼッツ氏なのでしょうか。本扉は表には何も印刷されておらず、裏だけに印刷されています。
◉『サイコマジック』
◆装幀・コバヤシタケシ
◆編集担当者より
本体全面を覆うのではなく、上部が覗くようにカバーを掛けた仕様です。眼光鋭い著者写真の下には、虹色に輝く箔をあしらいました。活力をあらわす赤、生命の源泉をあらわす渦巻模様、人間を成す4つのエレメントを象徴する絵......いずれも本書の内容からインスピレーションを得て選び出されています。この本を手にすること自体がサイコマジック(=魂を癒やす術)となり、読者が手にした時にこそ完成するアートクリエイションです。
◉『マルペルチュイ ジャン・レー/ジョン・フランダース怪奇幻想作品集』
◆装幀・坂野公一(welle design)
◆用紙・印刷・書体
カバー・帯:Nプレミアムステージ ピュアホワイト 135kg/グロスニス加工
表 紙:色上質 うぐいす 特厚口/グロスPP加工
見返し:色上質 黒 特厚口
本 扉:色上質 オレンジ 薄口
本 文:淡クリーム琥珀N A 57.5kg/本文書体=秀英にじみ明朝L
花 布:伊藤信夫商店 88 オレンジ
スピン:伊藤信夫商店 17 黄緑
◆装画
カバー:ジャン・デルヴィル「メドゥーサ」(1893年)
本 扉:フェルナン・クノップフ「ブリュージュにて――正門」(1904年頃)
◆編集担当者より
装画・扉画は、作者と同じベルギー出身の2人の画家の作品から、内容にちなんだものをチョイス。いずれの原画も判型に対してかなり横長でしたが、装幀をご担当いただいた坂野さんに、絶妙な調整とバランスで、美しいタイポグラフィとともに配していただきました。
カバーを外した表紙は、弊社の本では少し珍しいPP加工。メドゥーサの顔のアップは、爬虫類的なテカリの効果もあり大迫力です。
本文書体は、個性的な活版印刷の雰囲気と可読性とが両立した、秀英にじみ明朝Lを採用しています。
◉『「探偵小説」の考古学』
◆装幀・水戸部功
◆編集担当者より
重厚さ、荘重さ、そこから生み出される本の存在感、編集者お気に入りの装幀です。カバー表の模様は実は箔押しです。印刷とは一味違った高級感が生み出されています。
表から続いているカバー裏の模様部分は黒っぽいメタリックインクを使用。黒地にうっすらと模様が浮かび上がり、いぶし銀のような渋味を醸し出しています。
◉『人狼ヴァグナー』
◆装幀・山田英春
◆編集担当者より
カバーの挿画は本文中にも収録されている、ヘンリー・アネレイ(Henry Anelay)による雑誌連載時の挿画24葉のうち、第12章「人狼」のもの。緻密に描かれた美しいモノクロの絵に、デザイナーの山田さんが上品でありながらインパクトのある色彩を施してくれました。よく見ると狼の目が漆黒で、狼のまがまがしさが際立ち、そこにこちらの目が引き付けられます。
◉『高原英理恐怖譚集成』
◆装幀・久留一郎(久留一郎デザイン室)
◆装画・山本タカト「ブーケ」
◆用紙・印刷・書体
カバー・帯:ユーライト 110kg/5色(プロセス4色+特色ゴールド1色)/赤金箔/光沢グロスPP
表 紙:NTラシャ 漆黒 100kg/特色ゴールド1色
見返し:NTラシャ 漆黒 100kg
本 扉:NTラシャ 漆黒 100kg/特色ゴールド1色
花 布:アサヒクロース A90 黒
スピン:アサヒクロース A33 黒
◆編集担当者より
著者の希望を踏まえつつ、文字を丁寧に大切にしながら、「ノーブレスオブリージュ(noblesse oblige)」「ノーブル(noble)」「エレガント(elegant)」、そして「ノアール(noir)」を念頭においたデザインです。
カバー文字は、17世紀〜19世紀 洋書(革装本)のように、赤金箔となっています。また仕上りは、光沢グロスPPでベルヴェットの光沢感(フェティッシュ感)を醸し出しています。
◉『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』
◆装幀・岡本洋平(岡本デザイン室)
◆編集担当者より
百年前の英国幻想奇譚である本書のカバーは〈蠟引き加工〉という特殊加工を施しています。アンティークのように古風な趣を醸しつつ、新鮮な驚きを持ってお楽しみいただける本にするため、タイトル文字に幽かな擦れを加えたり、繊細なテクスチャーを全体にしのばせるなど、手の込んだ技が細部に仕込まれ、クラシカルな風合いが巧みに創り出されています。内容に自信があるからこそのこの装い、西洋骨董のように永くご愛蔵ください。
2021/06/30
新シリーズ「ウッドハウス名作選」刊行開始!
英国王室&日本皇室の御用達
笑いの巨匠、あのウッドハウスの新シリーズ登場!!
2018年10月、皇后美智子さま(当時)の「ジーヴスも2,3冊待機しています」ご発言で一大ブームがまきおこり、テレビのニュース番組や海外の報道でもとりあげられて、一躍日本でも超有名作家となった英国国民的大作家P・G・ウッドハウス。
92年の生涯で100冊近い作品を残したウッドハウスの傑作小説を、本邦未訳の長編を中心に紹介する新シリーズ。
〈「ウッドハウス名作選」刊行によせて〉
森村たまき(本シリーズ訳者)
ひさびさにウッドハウスの新訳をお手元にお届けできるはこびとなった。しかも最長最強傑作の誉れも高き『ボドキン家の強運』をご紹介できることが、私は本当にうれしいし誇らしい。また新訳でウッドハウスが読める時代がやってきた。「ウッドハウス名作選」というシリーズであるから、次がある。その次もある。ひょっとしてその次だってあるかもしれない。もっとウッドハウスを読んでいただきたい。この世の中をもっとウッドハウスで満たしたいという翻訳者の野望は膨らむばかりである。私ももっともっとウッドハウスが訳したい、
ウッドハウスは九二年の生涯に百冊近い著書を刊行した。天下国家数百年の大計に関わる思想の大体系を構想し、より善い社会を築きあげたいと意気込んだわけではなく、ひとえに面白い文章が書きたい、もっと面白い物語が作りたいという渇望に衝き動かされるままに次へ次へと書き続けたにちがいない。
おそらくウッドハウスというのは、読んでも読まなくてもいい、あってもなくてもどちらでもいいし天下国家の大計にはあまり影響のない、楽しいだけの作品群なのだろう。しかし、テンポのよい会話、不思議な言い回し、宝石のような美文を楽しみ、愛すべき登場人物たちが運命に翻弄され、絶望と歓喜の間を忙しく上がり下がりして堂々巡りを繰り返しながら展開するストーリーを笑って読み進める私たちは、そこここにキラリ、キラリと閃めき顕れる、登場人物たちの精神の美質とか、この人がこの人だからこの人が好きという真実の愛に、心揺さぶられてしまったりもしているのである。
本シリーズ二作めの『春どきのフレッド伯父さん』の主人公、フレッド伯父さんのモットーは、「できる時にはいつだって甘美と光明を振り撒く」である。皇太后美智子陛下は皇后生活最後のお誕生日のお言葉で、「ジーヴスも二、三冊待機しています」と明かされた。イギリス王太后エリザベス陛下は、お誕生日のプレゼントには「ウッドハウスの全作品がいただきたいわ」と語られた。
皇太后陛下も王太后陛下も、人々が笑顔であるように、その唇が笑みで飾られているようにと願ってくださったにちがいない。そしてその笑いは、人を傷つけることも貶めることもなく、明るい、甘美と光明で照らすような笑いであるようにと、願ってくださったにちがいない。
さあ、私たちはもっとウッドハウスが読める。ウッドハウスの甘美と光明のシャワーを全身で深呼吸して享受しよう。そして唇をウッドハウス仕様の、とびきりの笑みで飾ろう。
第1回配本(2021年6月)
『ボドキン家の強運』
百万長者のうえに容姿端麗、気立てもバツグンだけど、ちょっとおまぬけな青年紳士モンティ・ボドキン君が主人公。豪華客船を舞台に、ワニを飼うお騒がせの赤毛女優、偏執狂的客室乗務員、ベーゼル色の瞳を持つ女子ホッケー選手などなど、あいも変わらぬ変人奇人怪人たちが船上狭しと大活躍。大爆笑保証付き、永遠不滅の大名作。
第2回配本(2021年9月予定)
『春どきのフレッド伯父さん』
ウッドハウスの小説中、否、世界文学史上、もっともナイスで、ハチャメチャで、イカれたキャラの持ち主フレッド伯父さんが、あのブランディングズ城で大暴れ。英国ウッドハウス協会の「一番好きな短編」投票でも堂々の第一位を獲得した「ゆけゆけ、フレッド伯父さん」もあわせて収録。
第3回刊行(2022年1月予定)
『アーチー若気の至り』
舞台は第一次大戦終結後のニューヨーク。イートン校、オックスフィード大学出身、心やさしき青年紳士のアーチーは、大戦に従軍したのち、かれの一族に新大陸での成功を祈願されて米国ニューヨークに到着する。滞在の初日、アーチーはホテルで社主とひと揉めして相手を激怒させたが、向かった先のフロリダで恋におちて超スピード結婚。花嫁は、なんとそのホテル王の娘だった... ウッドハウス初期の傑作連作長編。
〈ウッドハウス讃〉
エリザベス陛下(英国女王母)
ウッドハウスの全作品が頂戴できますかしら?(公式贈答品ではなく、本当に欲しいものは何かと聞かれて)
トニー・ブレア(英国元首相)
私はウッドハウスをまだ一度も読んだことのない方々が羨ましくてならない。大量の未読ウッドハウス作品が自分の前に広がっているという眺望は、思うだに蠱惑的ではないか。
ヒレア・ベロック(作家)
ウッドハウスは、当代最高の作家である。彼は現存する最高の英国作家にして、われわれ作家たちの頭領である。
「タイムズ」紙
笑いの古典、万人から巨匠と認められたコミックの大天才。
〈著者略歴〉
P・G・ウッドハウス
1881-1975.英国の国民的大作家。「比類なきジーヴス」ほか。 生涯お笑い一筋に100を超える小説を書き続け、黎明期のブロードウェーミュージカルやハリウッド無声映画にも脚本や原作を提供した。
〈訳者略歴〉
森村たまき
1964年生まれ。翻訳家。訳書に、≪ウッドハウス・コレクション≫(全14冊)、≪ウッドハウス・スペシャル≫(全3冊)、≪よりぬきウッドハウス≫(全2冊)ほか。著書に『ジーヴスの世界』。
2021/05/22