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キネマトブンジン

キネマと文人

『カリガリ博士』で読む日本近代文学  

発売日 2024/11

判型 A5判   ISBN 978-4-336-07693-9

ページ数 456 頁   Cコード 0095

定価 4,400円 (本体価格4,000円)

内容紹介

パンデミックの時代、大震災の時代、革命と戦争の時代に、『カリガリ博士』は愛され、恐れられ、語り継がれた――

近代日本の文学者は『カリガリ博士』の何に魅せられ、そこから何を汲みとったのか。日本のモダニズム、ミステリ・ジャンル、幻想とホラー、表現主義の受容、そしてこの百年の映画と文学の深い交渉について考察する。

装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)

著者紹介

川崎賢子 (カワサキケンコ)

1956年、宮城県生まれ。文芸・演劇評論家。日本近代文学研究者。博士(文学)。日本大学芸術学部芸術研究所研究員など。著書に『尾崎翠 砂丘の彼方へ』『もう一人の彼女 李香蘭/山口淑子/シャーリー・ヤマグチ』『宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」』など。

目次

序章 百家争鳴─ 『カリガリ博士』を愛した日本文学

第1章 佐藤春夫と『カリガリ博士』─ 「指紋」をクロースアップする
1、『カリガリ博士』を誤読する
2、阿片の夢と映画

第2章 江戸川乱歩と「カリガリ博士」─ 恐怖のメディアとしてのパノラマ
1、『カリガリ博士』と「映画の恐怖」
2、映画的視覚性の展開─ 「火星の運河」から「パノラマ島綺譚」へ
3、「 アルンハイムの地所」「金色の死」から「パノラマ島綺譚」へ
  ─ あるいは庭園譚における古きものと新しきもの
4、曲線と触覚─ あるいは支配の完成と芸術の完成

第3章 谷崎潤一郎と『カリガリ博士』─ 映画哲学の挫折
1、谷崎も参った
2、初期谷崎の映画小説─ 「秘密」の映画館から「人面疽」まで
3、ポスト『カリガリ博士』の映画小説─ 「肉塊」「アヹ・マリア」
4、「青塚氏の話」─ 盗まれた「映画哲学」

第4章 内田百閒 と『カリガリ博士』─パンデミックの恐怖と幻想
1、『カリガリ博士』と表現主義映画
2、暗くなる土手─ 『冥途』の怪異
3、「旅順入城式」─触覚的なまなざしの実践

第5章 芥川龍之介と『カリガリ博士』─ 終焉の表現主義
1、『カリガリ博士』よりも気味の悪い日常を生きる
2、「影」─ 映画と分身
3、芥川龍之介の書いたシナリオ その1 ─ 「誘惑」
4、芥川龍之介の書いたシナリオ その2 ─ 「浅草公園」

第6章 夢野久作と『カリガリ博士』─ 「ドグラ・マグラ」の父
1、『カリガリ博士』と「ドグラ・マグラ」のテクスト生成
2、「一足お先に」
3、夢野久作と表現主義言説
4、「ドグラ・マグラ」─ テクストにちりばめられた映画

第7章 映画へ/映画から─ 尾崎翠の文学的転機
1、問題の所在
2、尾崎翠と映画との遭遇
3、映画でなければできないこと─ 一九二七年「琉璃玉の耳輪」

第8章 尾崎翠と映画の厚み
1、一九二二年・鳥取の表現主義
2、「無風帯から」「松林」─ 表現主義受容に先駆けて
3、表現主義をパロディ化する

第9章 稲垣足穂─ 彗星と映画機械
1、『カリガリ博士』への揺れる想い
2、六月の夜の都会─ ダッシュの街、表現派の街、未来派の街
3、「弥勒」における『カリガリ博士』

終章 『カリガリ博士』の呪いと祝福

おわりに

索引

キネマと文人


*近刊

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