キュウバンメノショウタイキャク
九番目の招待客
発売日 2023/09/22
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07410-2
ページ数 240 頁 Cコード 0398
定価 2,530円 (本体価格2,300円)
◆『そして誰もいなくなった』先駆作の本命はこれか⁉
夜の十一時、八人の著名な男女が、差出人の名前のない謎の電報によってニューオーリンズの二十階建ての高層ビルの屋上にあるペントハウスで開かれるパーティーに招待される。電報で主催者は独創的なパーティーの夜を約束していたが、主催者が何者であるかは誰にも知らされていない。彼らは奇妙な取り合わせのメンバーで、全員が互いに特定の人物を憎んでいた。
主催者の正体をめぐって各自がさや当てをしていると、突然、部屋に据えられたラジオから主催者の声が流れてくる。ラジオの声は彼らに、これから生死をかけた最も刺激的で愉快なゲームをすると告げる――ゲームに勝たなければ、彼らは今夜、ひとりずつ死ぬことになると。思わぬ状況に直面した彼らは部屋から逃げようとするが、ドアには触れれば死に至るほどの電気が流れ、電話もなく、地上二十階にあるペントハウスでは脱出するいかなる手段もないことに気づく。パニックに襲われた彼らひとりひとりにやがて死が忍び寄る――。
『そして誰もいなくなった』の謎の招待主U・N・オーエンを思い起こさずにはいられない「オーエン」・デイヴィスが、劇場で観客が耐えうる限りのスリルと興奮、恐怖とサスペンスを詰め込んだ傑作戯曲の幕が開く!
装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)
オーエン・デイヴィス (オーエンデイヴィス)
Owen Davis (1874-1956)
アメリカの劇作家。生涯の大半をニューヨークで過ごし、200本以上の戯曲を執筆した。劇作家としての最初の20年間は、定型に沿った大衆演劇を制作、世紀末の巡業で大成功をおさめ、富と名声を手に入れた。1919年には、アメリカ劇作家組合(Dramatists Guild of America)の初代会長に選出される。1921年のThe Detourでそれまでとは異なる作風に舵を切り、Icebound(23)でピューリッツァー賞(ドラマ部門)を受賞した。スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(26)、パール・バックの『大地』(32)、イーディス・ウォートンの『イーサン・フローム』(36)の脚色も好評を博した。1927年から1930年までパラマウント・ピクチャーズの脚本家として、ウィル・ロジャースが主演した『巴里見るべし』(29)、『そう、これがロンドンだ』(30)などを手掛けた。また、ラジオで最初のオリジナルミュージカルコメディー『ギブソン・ファミリー』の台本も執筆した。
山口雅也 (ヤマグチマサヤ)
早稲田大学法学部卒業。大学在学中の1970年代からミステリ関連書を多数上梓し、’89年に長編『生ける屍の死』で本格的な作家デビューを飾る。’94年に『ミステリーズ』が「このミステリーがすごい!’95年版」の国内編第1位に輝き、続いて同誌の2018年の30年間の国内第1位に『生ける屍の死』が選ばれKing of Kingsの称号を受ける。’95年には『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)を受賞。シリーズ物として《キッド・ピストルズ》や《垂里冴子》など。その他、第四の奇書『奇偶』、冒険小説『狩場最悪の航海記』、落語のミステリ化『落語魅捨理全集』などジャンルを超えた創作活動を続けている。近年はネットサイトのGolden Age Detectionに寄稿、『生ける屍の死』の英訳版Death of Living Deadの出版と同書のハリウッド映画化など、海外での評価も高まっている。
白須清美 (シラスキヨミ)
翻訳家。訳書にフランシス・アイルズ『被告の女性に関しては』(晶文社)、デイヴィッド・イーリイ『タイムアウト』(河出書房新社)、パトリック・クェンティン『俳優パズル』(東京創元社)、カーター・ディクスン『パンチとジュディ』(早川書房)『五つの箱の死』(国書刊行会)、H・H・ホームズ『九人の偽聖者の密室』(国書刊行会)、マーティン・エドワーズ『探偵小説の黄金時代』(国書刊行会、共訳)他。
酔眼俊一郎 (スイガンシュンイチロウ)
1961年岩手県生まれ。明治大学在学中に「駿台企画研究会」を創設、学内外のイベントTV等で企画立案に携わる。パソコン通信NIFTY-Serveの「推理小説フォーラム」内で「古典ミステリ倶楽部」を主催。ダグラス・G・グリーン氏に誘われ、ミステリ愛好家グループGolden Age Detectionに参加。そこで知り合ったミステリ史研究者、ジェフリー・マークス、カーティス・エヴァンス、トニー・メダウォー諸氏と交流を続けている。
【炉辺談話】 『九番目の招待客』(山口雅也・酔眼俊一郎)
九番目の招待客