シャカイハカエラレル
社会は変えられる
世界が憧れる日本へ
発売日 2018/06/25
判型 四六判 ISBN 978-4-336-06278-9
ページ数 224 頁 Cコード 0036
定価 1,980円 (本体価格1,800円)
超高齢社会を迎え、医療費・介護費の膨張には歯止めがかからず、今や世界に冠たる国民皆保険制度は風前の灯火。ところが医療関係者や製薬企業などの“専門家”は、古い制度や体制に守られ、同時に縛られ、「沈みゆく豪華客船」の中での席取り合戦に終始するばかり。
この苦境を乗り切るため、現役官僚の著者は、社会・経済システムの見直しによる「生涯現役社会」の創設を説く。社会全体が変わる中で初めて持続可能な社会保障制度の構築が可能になるという。前途多難に違いないが、関係者がより広い視点から問題を捉えて行動することができれば、誰一人切り捨てることなく国民皆保険制度を維持する道が見えてくると主張する。
著者は実際にこれまでも、業界内では「不可能」と考えられていた数々の課題に、“部外者”の視点から切り込み、改革を成し遂げてきた。その経験から、絶望するのは、まだ早いと説く。著者が思い描くのは、次世代に残すべきこの国の未来であり、世界が羨望と畏敬の念を持って見つめる「憧れの国」日本の姿だ。
江崎禎英 (エサキヨシヒデ)
岐阜県出身。1989年東京大学教養学部国際関係論卒業、通商産業省に入省し、通商問題を担当。出向した大蔵省で金融制度改革に携わる。96年英国に留学の後、EU(欧州委員会)に勤務。帰国後、IT政策を担当し、内閣官房において、個人情報保護法の立案に携わる。資源エネルギー庁エネルギー政策企画室長、岐阜県商工労働部長、経済産業省生物化学産業課長、同ヘルスケア産業課長などを経て、2017年から経産省商務・サービスグループ政策統括調整官 兼 内閣官房健康・医療戦略室次長。2018年9月から厚生労働省医政局統括調整官に併任。
はじめに
第一章 問題の本質を問い直す
1 私たちは何を間違えているのか――高齢化は対策すべき課題なのか
2 何を守り、何を変えるべきか――日本の国民皆保険は奇跡の制度
3 私たちは何に対応しなければならないのか――疾患の性質変化を踏まえて
4 何を実現すべきなのか――役割と生きがいを持ち続けられる社会へ
第二章 時代に合わなくなった社会保障制度
1 社会保障制度見直しの視点
2 糖尿病――不摂生は得? 生活習慣病を容認する制度
3 がん――誰のための、何のための治療なのか?
4 認知症――お年寄りの役割と自由を奪うことで作られる
5 処方箋――患者をもっと幸せにするために
第三章 社会は変えられる!――時代に合わない「制度」、業界の「常識」への挑戦
1 社会の変化に対応できるか
2 おかしいことはおかしい!
3 流されてはならない
4 誰かがやらなければ
5 そこに課題があるなら
6 交渉とは闘うことではない
第四章 世界が憧れる日本へ
1 お年寄りはもっと幸せになれる
2 民間保険で人生を豊かに楽しく
3 健康を楽しくおいしくするヘルスケア産業――健康は我慢することではない
4 企業文化の転換――真の働き方改革に向けて
5 地域包括ケアがめざすべきもの――お年寄りの笑顔が溢れる街づくり
6 生きがいの場としての農業――大規模化・効率化は本当に必要か?
7 「サ高住」から「シ高住」へ――誰もが役割と生きがいを持てる暮らしを
8 人生の完成に向けて――ドラマの最終章はハッピーエンドで
おわりに
あとがき(謝辞)