発売日 2019/08/23
判型 四六判 ISBN 978-4-336-06103-4
ページ数 304 頁 Cコード 0097
定価 2,970円 (本体価格2,700円)
親友ボードレールにエドガー・ポーと音楽の世界を教えた影の男、シャルル・バルバラ。
《知られざる鬼才》による、哲学的思考と音楽的文体、科学的着想、幻想的題材が重奏をなす全5篇の物語。
* * *
ヴァイオリンに取り憑かれた狂気の名演奏家のあまりにも痛ましく愛おしい生涯
「ある名演奏家の生涯の素描」
パリ河畔の奇怪な屋敷に住まう孤独な天才発明家を描く、「未来のイヴ」に先駆ける自動人形小説
「ウィティントン少佐」
ある実在の事件をモチーフにした驚愕の犯罪小説
「ロマンゾフ」
世界の無数の蝶をパリの自宅で飼育する人間嫌いの男の物語
「蝶を飼う男」
聾者たちの滑稽で哀しいすれ違いを描いた寸劇
「聾者たち(後記)」
シャルル・バルバラ
フランスのオルレアンで、弦楽器製造業の家に生まれる。12才でパリの名門校ルイ・ル・グラン中学校に転校、ここで学業を終える。1836年にパリ高等音楽院(コンセルヴァトワール)に入学。自然科学にも強い興味をもち理工科大学校(エコール・ポリテクニック)に入る準備をしていたが、転じて文学の世界に入る。20代半ばで〈ボエーム〉の仲間入りをし、詩人ボードレール、写真家ナダール、作家シャンフルリらと交流する。その後、短篇小説を書き始め、ポーに傾倒。1848年の二月革命頃に、オルレアンで新聞の創刊や文芸欄の編集に携わり、ポーの翻訳や、友人たちの作品を紹介した。1850年にパリに戻ると精力的に創作に打ち込み、多くの短篇を発表した。1855年には初の中篇『赤い橋の殺人』をベルギーで出版。翌年『感動的な物語集』を刊行。1858年には本国フランスで『赤い橋の殺人』が出版され人気を博して版を重ねた。
亀谷乃里 (カメヤノリ)
慶應義塾大学および大学院でフランス文学を学ぶ。ニース大学で博士号取得。慶應義塾大学講師を経て、女子栄養大学教授、現在女子栄養大学名誉教授。ボードレール研究のほか、その友人で、長らく文学史から忘れ去られていた作家バルバラの作品を「発掘」、再評価した。
献辞
ある名演奏家の生涯の素描
ウィティントン少佐
ロマンゾフ
蝶を飼う男
聾者たち(後記)
訳者註
参考文献
解説