シンペンニホンゲンソウブンガクシュウセイ 1
新編・日本幻想文学集成 第1巻
発売日 2016/06/20
判型 A5判 ISBN 978-4-336-06026-6
ページ数 750 頁 Cコード 0393
定価 5,500円 (本体価格5,000円)
●安部公房 [1924-93]
安藤礼二編
ふしぎな植物に変身したコモン君の話「デンドロカカリヤ」(初出雑誌版)。奇妙な味の恐怖小説「家」。文明批評的SF「鉛の卵」。『砂の女』の原型作品「チチンデラ ヤパナ」。ほか、「カーブの向う」「詩人の生涯」「ユープケッチャ」の全7編の小説。言語論の極北「クレオールの魂」と「砂漠の思想」の2評論も併録。
●倉橋由美子[1935-2005]
山尾悠子編
KとLの眼の前で卵から生まれた両性具有者は内部に暗黒の宇宙を孕んでいた……(「宇宙人」)。内側へ内側へと下降螺旋をえがく寂滅の図書館の幻想「ある老人の図書館」。ほか、「囚人」「夢のなかの街」「隊商宿」「白い髪の童女」「虫になつたザムザの話」「アポロンの首」等全10編。
●中井英夫[1922-93]
高原英理編
世界一小さな密室に閉じこもる少年たちと月光魔人の話「卵の王子たち」。中世趣味・ゴシック嗜好が横溢する「薔薇の縛め」。現代から昭和初期へと逆流する時間を描く「星の砕片」。ほか、「火星植物園」「影の舞踏会」「薔薇の獄」「薔人」「幻戯」「日蝕の子ら」「銃器店へ」「夕映少年」等全14編。
●日影丈吉 [1908-91]
諏訪哲史編
破格のグロテスクと狂ったユーモアが全編を覆う「ある生長」。南仏の架空の町ヨンの時計塔を舞台にした「猫の泉」。怪談「浮き草」。ほか、「屋根の下の気象」「墓碣市民」「山姫」「こわい家」「壁の男」「さんどりよんの唾」「硝子の章」「かぜひき」「角の家」等全15編。
安部公房 (アベコウボウ)
1924年~1993年。著作に『砂の女』『他人の顔』『燃えつきた地図』『箱男』『友達』ほか。
倉橋由美子 (クラハシユミコ)
1935年~2005年。著作に『聖少女』『スミヤキストQの冒険』『アマノン国往還記』ほか。
中井英夫 (ナカイ英夫)
1922年~1993年。著作に『虚無への供物』『とらんぷ譚』『人形たちの夜』ほか。
日影丈吉 (ヒカゲジョウキチ)
1908年~1991年。東京・木場に生まれ、中学時代からアテネ・フランセに通いフランス語を習得。1949年『宝石』誌の探偵小説コンクールに「かむなぎうた」を投稿し、江戸川乱歩に高く認められて二席入選、作家活動を開始。幻想的な作風で、熱狂的なファンを有する。1990年に『泥汽車』で第18回泉鏡花文学賞受賞。
安藤礼二 (アンドウレイジ)
1967年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。多摩美術大学美術学部芸術学科准教授。著書に『神々の闘争 折口信夫論』(講談社)、『近代論 危機の時代のアルシーヴ』(NTT出版),
『霊獣』(新潮社)ほか。『光の曼荼羅 日本文学論』(講談社)で大江健三郎賞を受賞。
山尾悠子 (ヤマオユウコ)
1955年、岡山市生まれ。同志社大学文学部国文科卒。 著書に『夢の棲む街』『仮面物語』『オットーと魔術師』『角砂糖の日』『山尾悠子作品集成』『ラピスラズリ』『歪み真珠』『夢の遠近法』『山の人魚と虚ろの王』ほか。『飛ぶ孔雀』で泉鏡花文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、日本SF大賞を受賞。
高原英理 (タカハラエイリ)
1959年生。立教大学文学部日本文学科卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了(価値システム専攻)。博士(学術)。1985年、第1回幻想文学新人賞受賞(選考委員は澁澤龍彦・中井英夫)。1996年、第39回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞(選考委員は柄谷行人、後藤明生、高橋源一郎、中沢けい、李恢成)。
主要著作 『少女領域』(国書刊行会)『闇の司』(ハルキ・ホラー文庫)『無垢の力』『ゴシックハート』『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社)『ゴシックスピリット』(朝日新聞社)『抒情的恐怖群』『神野悪五郎只今退散仕る』(毎日新聞社)『月光果樹園』(平凡社)『アルケミックな記憶』(書苑新社)『うさと私』(書肆侃侃房)『怪談生活』『歌人紫宮透の短くはるかな生涯』(立東舎)。
編著 『書物の王国6 鉱物』(国書刊行会)『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』『ファイン/キュート』(ちくま文庫)『ガール・イン・ザ・ダーク』(講談社)。
諏訪哲史 (スワテツシ)
1969年名古屋市生まれ。國學院大学文学部哲学科卒業。恩師は独文学者の故種村季弘。
2007年小説「アサッテの人」で群像新人文学賞・芥川賞受賞。
著書に『アサッテの人』『りすん』『ロンバルディア遠景』(講談社刊)、『領土』『岩塩の女王』(新潮社)ほか。