シンレイトブンガク ミウラキヨヒロロン
心霊と文学 三浦清宏論
発売日 2025/05/21
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07772-1
ページ数 232 頁 Cコード 0095
定価 2,970円 (本体価格2,700円)
肉体をはなれて 言霊たちがおどる――
多くの文学者は、心霊を素材として扱う。けれども三浦清宏にとって、心霊は素材ではない。心霊と文学は渾然一体となっている。文学を考えることは心霊を考えることであり、心霊を考えることは文学を考えることである。
小島信夫、サリンジャー、サローヤン、スウェーデンボルグ、良寛、アメリカ先住民、そしてアイヌへ。
芥川賞作家で心霊研究家、三浦清宏という作家とその作品を通して、読者を心霊と文学の境界へ誘うガイドブック。
付録「死想(メメント・モリ=死を想え)」は、より日常的なことがらを題材に、本論の周縁をそぞろ歩きするエッセイ。
陽羅義光 (ヒラヨシミツ)
1946年、神奈川県生まれ。早稲田大学卒。日本ペンクラブ会員。日本文芸家協会会員。全国同人雑誌作家協会会員。著書に『小説Saigo : 21世紀の西郷隆盛』、『太宰治新論』(第3回全作家文学奨励賞評論部門受賞)『道元の風』(第20回日本文芸大賞歴史小説奨励賞受賞)(以上国書刊行会)。共著に『江藤さんの決断』(朝日新聞社)、『私を変えたことば』(光文社)。
心霊と文学 三浦清宏論
三浦清宏を語るにあたって
英米文学者として/作家として/禅宗研究家として
心霊研究家として/七つの顔の男/詩人としての顔
小島信夫との出会い
禅とサリンジャー/芥川賞受賞とライフワーク
『ライ麦畑でつかまえて』と『坊っちゃん』
バナナフィッシュにうってつけの日
三浦清宏が語る夏目漱石
「アメリカ」というテーマ
芥川賞受賞作『長男の出家』
三浦清宏との対話1
サローヤンのアメリカ
「黒い海水着」「地下室のアメリカ」「摩天楼のインディアン」
近代スピリチュアリズムの歴史と心霊研究
最初はスウェーデンボルグ
「心霊と人生」の発行者浅野和三郎
イギリスの霧の中へ・心霊体験紀行
福来友吉と弘法大師空海
三浦清宏との対話2
三浦清宏文学の神髄『海洞──アフンルパロの物語』
主な参考文献
三浦清宏略年譜
あとがき
付録 死想(メメント・モリ)
それでも死にとうない
浜までは海女も蓑着る時雨かな
不易を知らざれば基立ちがたく
ゆく川の流れは絶えずして
死ぬる時節には死ぬるがよくそうろう
あわ雪の中に立ちたる三千大世界
文学は言霊である