シジンタチノシゼンシ
詩人たちの自然誌
一九世紀初頭ドイツ語圏の文学と科学
発売日 2025/02/18
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07731-8
ページ数 312 頁 Cコード 0098
定価 3,520円 (本体価格3,200円)
四大元素、探検博物学、自動人形、動物磁気、ホムンクルス……
近代ドイツ語文学において「科学」的事物はいかに探求され、作品に胚胎したか。
動乱する19世紀初頭の自然科学的文脈を辿りつつ、ノヴァーリス、ホフマンらロマン派の小説、ゲーテ、シラーの諸作品、フンボルト、シャミッソーら探検博物者の詩的テクストを紐解く。
ドイツ語文学に新たな読みの歓びをもたらす無二の論考。
かつて文学者も科学者も、ひとしく綜合知を追究せんとする《詩人》であった。
装丁:長井究衡
時田郁子 (トキタユウコ)
東京大学人文社会系研究科博士課程修了、博士(文学)。成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科准教授。近代ドイツ語圏の文学・文化・思想を研究する。著書に、『ムージルと生命の樹:「新しい人間」の探究』(松籟社)。
はじめに
第1章 精霊たち
1.精霊譚の復活
2.地の精
2-1.鉱山
2-2.ノヴァーリス『ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン』
2-3.ティーク『ルーネンベルク』
2-4.タンホイザー伝説
3.水の精
3-1.河川
3-2.メリュジーヌ
3-3.ウンディーネ
3-4.ローレライ
4.火の精
4-1.ワイン
4-2.火蜥蜴
5.風の精
5-1.ハンノキの王たち
5-2.飛行
5-3.ホフマンの歌姫たち
コラム1 サロン文化
第2章 探検博物学
1.一八世紀後半の世界周航
1-1.金星の太陽面通過観測プロジェクト
1-2.クック船長の世界周航
2.ゲオルク・フォルスター
2-1.父ヨハン・ラインホルト・フォルスター
2-2.レゾリューション号の世界旅行
2-3.航海後のフォルスター
コラム2 ジョゼフ・バンクス
3.アレクサンダー・フォン・フンボルト
3-1.探検旅行出発まで
3-2.アメリカ探検旅行
3-3.探検後のフンボルト
コラム3 ベルリンのフランス人
4.アーデルベルト・フォン・シャミッソー
4-1.『ペーター・シュレミールの不思議な物語』
4-2.リューリック号の世界旅行
4-3.探検後のシャミッソー
コラム4 ユリウス・エドゥアルト・ヒッツィヒ
5.自由主義へ
第3章 自然という不可思議
1.幽霊
2.カリオストロ伯爵
2-1.シラー『視霊者』
2-2.ゲーテ『大コフタ』
3.メスメリスム
3-1.ドイツ語圏のメスメリスム
3-2.クライスト『ハイルブロンのケートヒェン』
4.人形
4-1.蠟人形
4-2.操り人形
4-3.自動人形
5.人間を造る夢
5-1.人造人間
5-3.ゲーテのホムンクルス
終章
あとがき
註
参考文献
図版出典
作品名索引
人名索引