ユキノフィアンセタチ
雪のフィアンセたち
スイス幻想民話集
発売日 2024/05/24
判型 A5判 ISBN 978-4-336-07634-2
ページ数 552 頁 Cコード 0097
定価 5,500円 (本体価格5,000円)
スイス・アルプスの村々を舞台に、親から子へ、子から孫へと語り継がれてきた伝説をもとに、生の世界と死の世界を行きかう者たちを描いた、怪奇と幻想の渦巻く短編集。
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「あの世の扉を開くと、そこでは毎日納骨堂で骸骨を目にすることができる人々が生きているさまに出くわすだろう。そのうえ死者たちは、絶えず我々の中に姿を現す。とりわけ夜中に戻ってきて、煉獄の炎の中で罪を贖わねばならない間はしつこく祈禱を求める。夜の亡霊たちは路上にも列をなして彷徨っている(『雪のフィアンセたち』「はじめに」より)。
装幀:岡本洋平(岡本デザイン室)
モーリス・ゼルマッテン (モーリス・ゼルマッテン)
スイス・ヴァレー州を代表する小説家、詩人、劇作家。
1910年、マッターホルンなど数多くの名峰で知られるスイス・ヴァレーアルプス山脈のサン・マルタン村で生まれる。
2001年シオン市において没。
中高等学校教員を務める傍ら故郷の村々の生活、民話、歴史を題材にした作品を120作近くも発表し、国内外から多数の文学賞を授与された。若い頃に親しく接したシャルル゠フェルディナン・ラミュやライナー゠マリア・リルケとの交流の思い出を綴った作品などもある。
2010年、シオン市のシンボルとして有名なヴァレール教会の丘とトゥルビヨン城址の丘へと向かう道の分岐点に「モーリス・ゼルマッテン広場」と名づけられた広場が造られ、胸像が設置されている。
佐原隆雄 (サハラタカオ)
1954年広島県呉市生まれ。東京外国語大学大学院外国語研究科ロマンス系言語専攻修了。専門は19 世紀フランス文学、スイス文学およびフランス語教育法。
翻訳書として、C.F. ラミュ『アルプス高地での戦い』(国書刊行会、2012 年)、同『アルプスの恐怖』(国書刊行会、2014 年)、同『スイス人サミュエル・ブレの人生』(国書刊行会、2016 年)、『もし太陽が戻らなければ』(国書刊行会、2018 年)。
‘La «séparation» entre la Suisse et le Japon’(Les Amis de Ramuz bulletin 35, 2014 年),‘Les Japonaise comprennent-ils Ramuz ?’ (Les Amis de Ramuz bulletin 38, 2017年) などフランス語圏作家に関する研究論文、『文法から学べるフランス語』(ナツメ社)ほかフランス語教育に関する著書も多数ある。C.F. ラミュ協会終身会員、ラミュ研究会会員、モーリス・ゼルマッテン協会会員。
日本語版への序……普遍的作家モーリス・ゼルマッテン
◆雪のフィアンセたち
はじめに
愛と死について
雪のフィアンセたち
アマンディーヌ
血の婚礼
ストラ
愛、憎しみ、死について
ラバの尻に乗った死神
杖
高地放牧地と山小屋の物語
親方の泉
コンベッタの原
イルグラーベンの牧童頭
司祭とバターの塊
騙したと思った者はこのようにして騙される
奇 跡
コルブランの聖母の奇跡
ル・プレレの聖母の奇跡
グラン・ジャンヴィエの奇跡
ル・ボンガールのジャンとクリスマスの宝
ラナの司祭はどうやって天国へ行ったか
同時に数か所でお目にかかれた司祭
捨て子
魔 力
なぜ椅子の真ん中に穴があるのか
悪魔が身体の中にいる娘
最も長い洗濯
司祭と粉挽きとロバ
〈インゼルナ〉にあった男
ミサに行かなかった男
悪魔の岩
獣たち
竜
赤い雄牛
マイウーの黒い雄山羊
リス
◆魂の中にいる悪魔
はじめに┅ ジャン゠ジョゼフ宅の夜の集い
熊の皮
亭主をローヌ河に突き落とした女の話
赤い雄羊
聖棘
エルビオの吞み屋の女将さん
エーソンの魔女ザブットの死
角のある猿
ナンダ村の魔女たち
二人の盗賊
擲弾兵の回心
ジュストコール
悪魔の金
モントルジュの赤いスイレン
トゥルビヨン城の妖精モネット
解説……モーリス・ゼルマッテンの民話と伝説について
訳者あとがき