アメリカナナジュウネンダイ
アメリカ70年代
激動する文化・社会・政治
発売日 2024/04/18
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-07583-3
ページ数 544 頁 Cコード 0030
定価 3,960円 (本体価格3,600円)
◆21世紀アメリカはここから始まった――NHK『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』シリーズで、1960年代以降のアメリカについて証言した異色の歴史学者が、70年代アメリカの文化・社会・政治を多角的・横断的に捉え、以後半世紀にわたってダイナミックに変容していく社会の萌芽を見出す。21世紀におけるアメリカの分断と南部化の予兆をヴィヴィッドに描き出して話題を呼び、《ニューヨーク・タイムズ》でも絶賛された著者の代表作がついに邦訳!
◆ニクソン、カーター、レーガン、ウォーターゲート、キング牧師、公民権運動、ウッドストック、ディラン、パンク、ラップ、『イージー★ライダー』、『サタデー・ナイト・フィーバー』、『ゴッドファーザー』、ディスコ、ヤッピー、移民、インフレ、金融革命、信仰復興運動、ニューエイジ、フェミニズム、規制緩和、サンベルト、フロストベルト、新右翼、新保守主義……「いま」に繫がるアメリカの光と影。
ブルース・J・シュルマン (ブルースジェイシュルマン)
1959年ニューヨーク市クイーンズ区生まれ。1981年、イエール大学歴史学科を最優等で卒業。1987年、スタンフォード大学大学院で歴史学博士号取得。以後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教、准教授を経て、1994年よりボストン大学歴史学教授。1997年よりアメリカ&ニューイングランド研究専攻長、 2010年より歴史学科長を歴任。『コットンベルトからサンベルトへ』(1991年)、『リンドン・B・ジョンソン大統領とアメリカのリベラリズム』(1994年)、『アメリカ70年代』(2001年)などの著書のほか編著書、共編著書多数。《ニューヨーク・タイムズ》や《ワシントン・ポスト》、《ロサンゼルス・タイムズ》の常連寄稿者であり、テレビやラジオではコメンテーターとして出演することも多い。NHK『世界サブカルチャー史 欲望の系譜』シリーズにも出演し、カート・アンダーセンと共に1960年代以降のアメリカについて語っている。
巽孝之 (タツミタカユキ)
1955年東京都生まれ。上智大学卒、コーネル大学大学院博士課程修了(Ph.D.,1987)。慶應義塾大学名誉教授、慶應義塾ニューヨーク学院第10代学院長。日本アメリカ文学会第16代会長(2014~17年)。主な著書に『ニュー・アメリカニズム』(青土社)、『リンカーンの世紀』(青土社)、『モダニズムの惑星』(岩波書店)、『パラノイドの帝国』(大修館書店)、編訳書にダナ・ハラウェイ他『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル)、ラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房)、共編書に『事典 現代のアメリカ』(大修館書店)、『脱領域・脱構築・脱半球』(小鳥遊書房)、『アメリカ文学と大統領』(南雲堂)等多数。
北村礼子 (キタムラアヤコ)
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒(英米文学専攻)。ニューヨーク市立大学留学を経て翻訳に従事。訳書多数。
序文
序章 六〇年代と戦後の遺産
「偉大なアメリカ車の時代」の終焉
コンセンサスの亀裂
ウッドストックの遺産
PART I 「いよいよ瀬戸際だ」 1969-1976
◆第一章 「荒療治への着手」――ニクソン大統領とアメリカの公共生活
トリッキー・ディック
収入保証を目指して?
物言わぬ多数派(サイレントマジョリティ)
ウォーターゲート
衰退の暗示
◆第二章 多様から成る多様性国家――人種統合から「多様性」までの道のり
公民権革命の採点表
統合主義者の理想の崩壊
「権力」から文化的ナショナリズムへ
「多様性」の発明
ディスコ・ナイト、ラッパーズ・ディライト
◆第三章 「プラグを差し込め」――七〇年代の探求と発見
汝のゴッドファーザーをたたえよ――白人民族の復活
汝の祖父母をたたえよ――高齢者の結集
大地へ還れ
第三次大覚醒
◆第四章 サンベルトの台頭とアメリカの「レッド化」
サンベルト・ブームと「第二次南北戦争」
垢抜けた南部白人労働者
PART II 「孤独なランナー」 1976-1979
◆第五章 ジミー・カーターと信頼の危機
出だしでつまずく
大インフレと金融革命
信頼の危機
◆第六章 「ばか騒ぎしている場合じゃない」――七〇年代のポピュラーカルチャーにおける反乱と権威
「俺に用か」――七〇年代文化における気高い無法者
ショック療法してくれ!
新たな感性に向かって
◆第七章 「男と女の戦い」――女性、男性、家族
メインストリームへ
男女平等憲法修正条項
カルチュラル・フェミニズムと差異の再主張
「デューク」からアラン・アルダまで――男性と男らしさ
家族の価値観をめぐる戦い
PART III 「真面目が一番」 1978-1984
◆第八章 「民兵は浮かばれない」――新右翼と納税者の反乱
新右翼のネットワーク
課税シフトから減税へ――納税者の反乱の起源
「現代のボストン茶会事件」
「レーガンの国」の勝利
◆第九章 レーガンの集大成
再び存在感を示す
悪の帝国を打ち負かす
「そもそも政府が問題なのだ」
「ヤッピーのお出ましだ!」――一九八〇年代の経済と文化
民営化の福音
結論 七〇年代の終わり、世紀の終わり
謝辞
長い70年代――時代研究と地域研究の交わるところ(巽 孝之)
注
索引