「ウクライナセンソウ」カラニホンヘノケイショウ
「ウクライナ戦争」から日本への警鐘
有事、国民は避難できるのか
発売日 2022/10/04
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07392-1
ページ数 328 頁 Cコード 0031
定価 2,970円 (本体価格2,700円)
「ウクライナ戦争」が日本に突きつけた課題、民間防衛のない日本は本当に安全・安心か。
2022年2月24日に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、日本をはじめ世界中に深刻な衝撃を与えました。特に、戦後70数年、「戦争は起こり得る」という現実から目を背けてきた日本人にとって、その衝撃は計り知れないものとなりました。
ウクライナ戦争が日本人に突き付けた真実は、①戦争が始まれば国土全体が戦場となり、安全な場所などないという現実です。また、②民間人を保護することによって、戦争による被害をできる限り軽減することを目的で作られた国際法は安易に破られるという現実です。いま、国際情勢も安全保障環境も激変する中で、日本は空想的平和主義から現実的平和主義への大転換を迫られています。
戦争は、等しく主権をもつ対等平等の国家によって行われ、それを規律するのが国際法です。
グロチウスの著作「戦争と平和の法」では、第二編でJus ad Bellum(戦争法)を論じ、第三編でJus in Bello(戦争遂行中の合法性)を記述しています。
ウクライナ戦争では、ロシアは「国連憲章第51条に基づいて『特別軍事作戦』を行う」と述べ、ロシア軍がウクライナ国領土に侵攻しました。Jus ad Bellum(戦争法)に照らして大多数の国家が非合法であるとその意志を明確にしています。
ウクライナ戦争では、多数の民間人が犠牲になるとともに、国内外併せて1300万人の避難者が発生しています。このロシア軍による攻撃は、ジュネーヴ条約第1追加議定書52条2項の軍事目標主義を逸脱しています。つまり、Jus in Bello(戦争遂行中の合法性)の考え方に明らかに反しています。
国際社会を律する世界政府のような組織ができない限り、各主権国家は戦争に対する備えと国民を防衛する体制を整備することが責務となります。
本書では、特にJus in Bello(戦争遂行中の合法性)に違反する民間人への戦争被害をいかに極小化するかについて民間防衛というテーマで考察しています。
日本安全保障戦略研究所 (二ホンアンゼンホショウセンリャクケンキュウジョ)
共同執筆者略歴:
小川清史(おがわ きよし)
元・西部方面総監(陸将)
浜谷英博(はまや ひでひろ)
三重中京大学名誉教授。現在、防衛法学会名誉理事長。比較憲法学会名誉理事。
樋口譲次(ひぐち じょうじ)
元・陸上自衛隊幹部学校長(陸将)
はじめに
第1部 諸外国の民間防衛を知ろう ─ 諸外国との比較による真の「民間防衛」創設に向けた日本の課題
第1章 概説
第2章 「共同防衛」(Common Defense)を基本とする米国の民間防衛
第3章 「統合防衛」体制を支える韓国の民間防衛
第4章「全民国防」下の台湾の民間防衛
第5章 「永世中立」政策を国是とするスイスの民間防衛
第2部「 民間防衛」のあり方
第1章 日本の国民保護法と諸外国の民間防衛との比較
第2章 マルチドメイン作戦を前提とした民間防衛のあり方
第3章 民間防衛組織創設に向けての法的枠組み
第1節 憲法改正と国家緊急権に基づく包括的な基本法の制定
第2節 民間防衛体制構築に向けた法整備等
第3部 民間防衛組織創設についての提言
第1章 都道府県知事直属の民間防衛組織創設
第2章 戦後の予備役制度と民間防衛組織としての郷土防衛隊創設の検討
第3章 政策提言 民間防衛組織の創設とそれに伴う新たな体制の整備
おわりに
参考資料
解説 「日本の国民保護法を理解しよう」
第1章 国民保護法と国民の安全
第2章 国民保護法の概要と解説―- 国民保護法には何が書かれているか
第3章 国民保護法の将来と課題―- 実効性確保に向けた取り組み
付録「国民保護法の条文概要」
巻末資料「旧軍の予備役制度」