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テンノウトゲンバク

天皇と原爆

発売日 2022/12/23

判型 A5判   ISBN 978-4-336-07219-1

ページ数 848 頁   Cコード 0310

定価 8,580円 (本体価格7,800円)

内容紹介

本巻収録『天皇と原爆』は、先の大戦が宗教戦争であったこと、アメリカはそのことを強く意識し、日本は迂闊にもこの観点を欠いていたことを主題としている。欧州が主舞台になった世界大戦は、西欧文明内部のいわば「内戦」であって、巻き込まれた地球の他の部分はいい迷惑であった。
本巻に収めたもう一つの論考『アメリカと中国はどう日本を「侵略」するのか』は、歴史というより、歴史に仮託した未来の我が国のあるべき戦略への心がけの一作である。いかに用意周到に我が国は籠絡されて来たか、「至誠」や「真心」といった善のモラル一辺倒では世界に太刀打ちできない、もっとしたたかにならなければいけないことを歴史の諸相から学ぼうとした著作である。
本巻のもう一つの特徴は、「追補」の欄が充実していることである。秦郁彦氏との記念的大論争が収録されていることと、水島達二「『少年記』のダイナミズム」と阿由葉秀峰「『少年記』の故地を訪ねて──浦島太郎の錯覚と眩暈」という二人の新人の鮮やかな深読みと分析が光る。前者は戦争論、後者は紀行文の違いはあるが、どちらも『少年記』のテキストをよく読み抜き、それぞれ違った角度から新しい西尾論、未知の西尾像の確立に寄与する礎を作っている。

著者紹介

西尾幹二 (ニシオカンジ)

評論家。電気通信大学名誉教授。1935年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。同大学院文学修士。文学博士。ドイツ文学者。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究、翻訳をはじめ、文学、教育、社会、政治、国際問題等幅広く評論活動を行っている。最近では反原発を明確に打ち出し、人類の生命維持から訴えかける論点が注目されている。

目次

序に代えて 米国覇権と「東京裁判史観」が崩れ去るとき

Ⅰ 現代世界史放談
広角レンズを通せば歴史は万華鏡(二〇一六年)
イスラムと中国、「近代」を蹂躙する二大魔圏(二〇一六年)
世界の「韓国化」とトランプの逆襲(二〇一七年)

Ⅱ 変化する多面体アメリカにどう対するか
アメリカへの複眼(二〇〇三年)
真珠湾攻撃七十年の意味(二〇一一年)
百年続いたアメリカ独自の世界システム支配の正体(二〇一二年)
アメリカよ、恥を知れ――外国特派員協会で慰安婦問題を語る(二〇一三年)
不可解な国アメリカ(二〇一〇年)
「反米論」に走らずアメリカの「慎重さ」を理解したい(二〇一四年)
アメリカの政治意志「北朝鮮人権法」に見る正義(二〇〇四年)
ありがとうアメリカ、さようならアメリカ(二〇一二年)
「なぜわれわれはアメリカと戦争をしたのか」ではなく、「なぜアメリカは日本と戦争をしたのか」を問うてこそ見えてくる歴史の真実(二〇一一年)
日本はアメリカに何をどの程度依存しているのか(二〇一六年)

Ⅲ 朝鮮半島とオーストラリア
朝鮮は日本とはまったく異なる宗教社会である(二〇〇三年)
『日韓大討論』余聞(二〇〇三年)
金完燮氏の予期せぬ素顔(二〇〇三年)
石原慎太郎氏の発言に寄せて(二〇〇三年)
竹島・尖閣――領土問題の新局面(二〇〇四年)
韓国人はガリバーの小人(二〇〇五年)
「十七歳の狂気」韓国(二〇一四年)
韓国との交渉は「国交断絶」の覚悟で臨め――世界文化遺産でまた煮え油!(二〇一五年)
世界にうずまく「恨」の不気味さ(二〇一六年)

オーストラリア史管見

Ⅳ 二十一世紀の幕開け――世界の金融危機と中国の台頭
日本とアメリカは共産主義中国に「アヘン戦争」を仕掛けている――本来中国は「鎖国」文明である(二〇〇七年)
金融カオスの起源――ニクソンショックとベルリンの壁の崩落(二〇〇八年)
アメリカの「中国化」 中国の「アメリカ化」(二〇〇八年)
金融は軍事以上の軍事なり――米中は日本の「自由」を奪えるか(二〇〇八年)

Ⅴ あの戦争はどうしたら日本の本当の歴史になるのか
政府は何に怯えて空幕長(田母神俊雄氏)の正論を封じたか(二〇〇九年)
米国覇権と「東京裁判史観」が崩れ去るとき(「諸君!」二〇〇九年三月号・本巻「序に代えて」に掲載)
アメリカ占領軍が消し去った歴史(二〇〇九年)
しつこく浮上する半藤一利氏の『昭和史』を討つ(二〇〇九年)
共同討議の書『自ら歴史を貶める日本人』(福地惇・柏原竜一・福井雄三・西尾幹二共著)の序文(二〇一二年)
旧敵国の立場から自国の歴史を書く現代日本の歴史家たち(二〇一二年)
戦後日本は「太平洋戦争」という名の新しい戦争を仕掛けられている(二〇一〇年)
「世界で最も道義的で公明だといわれる日本民族を信じる」(フランス紙)――日本が列強の一つであった時代に(二〇〇九年)
日本的王権の由来と「和」と「まこと」――『國體の本義』(昭和十二年)の光と影(二〇〇九年)

Ⅵ 天皇と原爆
第一回 マルクス主義的歴史観の残骸
第二回 すり替った善玉・悪玉説
第三回 半藤一利『昭和史』の単純構造
第四回 アメリカの敵はイギリスだった
第五回 アメリカはなぜ日本と戦争をしたのか
第六回 日本は「侵略」国家ではない
第七回 アメリカの突然変異
第八回 アメリカの「闇の宗教」
第九回 西部開拓の正当化とソ連との未来の共有
第十回 第一次大戦直後に第二次大戦の裁きのレールは敷かれていた
第十一回 歴史の肯定
第十二回 神のもとにある国・アメリカ
第十三回 じつは日本も「神の国」
第十四回 政教分離の真相
第十五回 世界史だった日本史
第十六回 「日本国改正憲法」前文私案
第十七回 仏教と儒教にからめ取られる神道
第十八回 仏像となった天照大御神
第十九回 皇室への恐怖と原爆投下
第二十回 神聖化された「膨脹するアメリカ」
第二十一回 和辻哲郎「アメリカの國民性」
第二十二回 儒学から水戸光圀『大日本史』へ
第二十三回 後期水戸学の確立
第二十四回 ペリー来航と正気の歌
第二十五回 歴史の運命を知れ
単行本版あとがき
付録 帝國政府聲明(昭和十六年十二月八日 午後零時二十分)

Ⅶ アメリカと中国はどう日本を「侵略」するのか
まえがき
〔年表〕 欧米ソ列強の地球侵略史
第一章 米中に告ぐ! あなた方が「侵略者」ではないか
第二章 中国人の「性質」は戦前とちっとも変わっていない
第三章 「失態」を繰り返すアメリカに、大いに物申すとき
第四章 十六世紀から日本は狙われていた!
第五章 「日米戦争」はなぜ起こったのか?
第六章 敢えて言おう、日本はあの戦争で「目的」を果たした!
第七章 アメリカの可笑しさ、自らの「ナショナリズム」を「グローバリズム」と称する
あとがき

Ⅷ 歴史へのひとつの正眼仲小路彰論(二〇一〇年)
仲小路彰がみたスペイン内戦からシナ事変への潮流(二〇一一年)
『第二次大戦前夜史 一九三七』の解説

追補一 秦郁彦vs西尾幹二――田母神俊雄=真贋論争

追補二 秦・西尾論争の意味・柏原竜一

追補三 『天皇と原爆』論・渡辺 望

追補四 『少年記』のダイナミズム・水島達二

追補五 「坦々塾」とともに

後 記

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