発売日 2021/07/21
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07206-1
ページ数 480 頁 Cコード 0097
定価 4,180円 (本体価格3,800円)
残念ながら自分には
いささか陰鬱な傾向があるに違いない――
英国屈指のユーモア作家に隠された、もう一つの顔。
ユーモア小説『ボートの三人男』で知られるジェローム・K・ジェロームによる異色作品集。
西洋骨董のように古風な趣と気品をそなえた、知られざる逸品の数々。
心和ませる幽霊小説、冷たく怖い怪奇小説、優しく美しい幻想小説、不思議な現代ファンタジイ、数千年の時を跨ぐケルト・ファンタジイ等々、多彩な味わいの奇譚17篇を収録。
1篇ごとに異なる魅力の、世にも稀なる短篇小説集。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
ジェローム・K・ジェローム (ジェローム・クラプカ・ジェローム)
Jerome Klapka Jerome。1859年、スタッフォードシャー生まれ。ユーモア小説『ボートの三人男』で知られるイギリスの作家。ロンドンの貧しい地区イースト・エンドで貧困に苦しむ幼少時代を送った後、13歳から15歳のときに両親を相次いで亡くし、学業を諦めて働き始める。18歳のときに移動劇団に加わるが3年で役者の道を諦め無一文でロンドンに戻り、弁護士事務所の事務員などをしながらエッセイや短篇小説を発表するようになる。新婚旅行のあと発表した『ボートの三人男』(1889年)が評判になったのを機に専業作家となり、小説、エッセイ、戯曲を書き、また雑誌の編集にも携わる。しかし『ボートの三人男』を超える評価を得ないまま、1927年、自動車旅行中に脳出血で逝去。
中野善夫 (ナカノヨシオ)
1963年アメリカ合衆国テキサス州生まれ。立教大学理学研究科博士課程修了(理学博士)。英米幻想小説研究翻訳家。主な訳書に、ヴァーノン・リー『教皇ヒュアキントス』、ロード・ダンセイニ『ウィスキー&ジョーキンズ』、F・マクラウド/W・シャープ『夢のウラド』、J・B・キャベル『ジャーゲン』、J・K・ジェローム『骸骨』(いずれも国書刊行会)など。共訳書に、ロード・ダンセイニ『世界の涯の物語』(河出文庫)、ケネス・モリス『ダフォディルの花』(国書刊行会)などがある。
食後の夜話
ダンスのお相手
骸骨
ディック・ダンカーマンの猫
蛇
ウィブリイの霊
新ユートピア
人生の教え
海の都
チャールズとミヴァンウェイの話
牧場小屋(セター)の女
人影(シルエット)
二本杉の館
四階に来た男
ニコラス・スナイダーズの魂、あるいはザンダムの守銭奴
奏でのフィドル
ブルターニュのマルヴィーナ
訳者あとがき