アラバスターノテ
アラバスターの手
マンビー古書怪談集
発売日 2020/09/11
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07034-0
ページ数 264 頁 Cコード 0097
定価 2,970円 (本体価格2,700円)
少年を誘う不気味な古書店主、呪われた聖書台の因果、年代物の時禱書に隠された秘密、ジョン・ディーの魔術書の怪……ケンブリッジ大学図書館フェロー、英国書誌学会長を務めた特異な経歴の作家による、全14篇の比類なき書物愛に満ちた異色の古書怪談集!
【荒俣宏氏推薦!】
英国は「学者が怪談を書く」国だ。開祖M・R・ジェイムズは教室でホラーを朗読し、マンビーはナチの捕虜収容所でこれを書いた!
解説=紀田順一郎「怪奇小説の正統を目ざした文献学者」
A・N・L・マンビー (アラン・ノエル・ラティマ・マンビー)
イギリスの作家・書誌学者・ライブラリアン。1913年ロンドン・ハムステッド生まれ。ケンブリッジ大学卒業後、大手古書店のバーナード・コーリッチ、サザビーズに勤務。1936年陸軍銃砲隊へ編入され、フランス戦線で捕虜となり、アイヒシュテット近郊の捕虜収容所へ収容され、そこで雑誌に怪奇小説を寄稿。戦後、1949年に好古的怪奇小説集『アラバスターの手』を発表。M・R・ジェイムズの衣鉢を継ぐ作家と目される。のちにケンブリッジ大学キングズ・カレッジ図書館フェロー、英国書誌学会長などを歴任。書誌学関連の著作として、写本収集家トマス・フィリップス卿の伝記『書物に取りつかれた男の肖像』(1967年)などもある。1974年没。
羽田詩津子 (ハタシズコ)
英米文学翻訳家。お茶の水女子大学英文科卒。M・C・ビートン「英国ちいさな村の謎シリーズ」(原書房)をはじめ、リリアン・J・ブラウンの「シャム猫ココ・シリーズ」、アガサ・クリスティ『予告殺人』『アクロイド殺し』、スーザン・オーリアン『炎の中の図書館』、ヴィッキー・マイロン『図書館ねこデューイ』(いずれも早川書房)、ティラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』『イレナの子供たち』(いずれも東京創元社)、フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』(角川文庫)など、ミステリ、ノンフィクションなどの分野で訳書多数。著書に『猫はキッチンで奮闘する』(ハヤカワ文庫)。
紀田順一郎 (キダジュンイチロウ)
評論家・作家。1935年横浜市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。著書に『幻想と怪奇の時代』(松籟社)『古本屋探偵の事件簿』(東京創元社)『紀田順一郎著作集(全8巻)』(三一書房)、翻訳に『M・R・ジェイムズ怪談全集(全2巻)』『書物愛(日本篇・海外篇)』(いずれも東京創元社)、編集に『世界幻想文学大系(全45巻)』(荒俣宏共編、国書刊行会)、監修に『幻想と怪奇』(新創刊。荒俣宏共監修、牧原勝志編、新紀元社)など。怪奇幻想文学の紹介をはじめ、書物論、近代史、翻訳、創作などの分野で幅広く活躍。
前書き
甦ったヘロデ王
碑文
アラバスターの手
トプリー屋敷の競売
チューダー様式の煙突
クリスマスのゲーム
白い袋
四柱式ベッド
黒人の頭
トレガネット時禱書
霧の中の邂逅
聖書台
出品番号七十九
悪魔の筆跡
解説「怪奇小説の正統を目ざした文献学者」紀田順一郎