ティムールイゴ
ティムール以後 上
世界帝国の興亡 1400-2000年
発売日 2020/11/20
判型 四六判 ISBN 978-4-336-06574-2
ページ数 472 頁 Cコード 0020
定価 3,960円 (本体価格3,600円)
世界の歴史は、ユーラシア大陸における諸力の均衡が変動することによって決定的に形作られてきた――ヨーロッパの膨張の歴史として理解されてきた世界史を、ヨーロッパがコントロールできなかった力学の産物として捉えなおす。グローバルヒストリー研究の第一人者が、西洋中心主義とは異なる視座でグローバルヒストリーを叙述し、その行方をも展望した、「グローバル化」時代の必読書。【2008年ウルフソン歴史賞受賞作】
【収録内容】
日本語版への序文
序文
第一章 オリエンテーション
第二章 ユーラシアと「発見の時代」
第三章 近世の均衡
第四章 ユーラシア革命
第五章 時間との競争
ジョン・ダーウィン (ジョンダーウィン)
1948年イギリス・エクセター生まれ。オクスフォード大学で博士号取得(DPhil)。レディング大学講師を経て、2017年までオクスフォード大学で帝国史・グローバルヒストリーを教え、ナフィールドカレッジ・フェローであった。本書のほかに、Britain, Egypt and the Middle East: Imperial Policy in the Aftermath of War, 1918-1922 (1981)、Britain and Decolonisation: The Retreat from Empire in the Post-war World (1988)、The Empire Project: The Rise and Fall of the British World-System, 1830-1970 (2009)、Unfinished Empire: The Global Expansion of Britain (2012)、Unlocking the World: Port Cities and Globalization in the Age of Steam, 1830-1930 (2020)などの著書がある。
秋田茂 (アキタシゲル)
1958年広島県生まれ。広島大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専門、イギリス帝国史、東アジア国際関係史、グローバルヒストリー。
主要著訳書―『イギリス帝国とアジア国際秩序――ヘゲモニー国家から帝国的な構造的権力へ』(名古屋大学出版会、2003年、第20回大平正芳記念賞)、『イギリス帝国の歴史――アジアから考える』(中公新書、2012年、第14回読売・吉野作造賞)、P・J・ケイン、A・G・ホプキンズ『ジェントルマン資本主義の帝国Ⅰ 創生と膨張1688-1914』(名古屋大学出版会、1997年、共訳)。
川村朋貴 (カワムラトモタカ)
1968年北海道生まれ。立命館大学大学院文学研究科単位取得退学。博士(経済学)。現在、東京大学ヒューマニティーズセンター学術支援職員(URA)。専門、イギリス帝国史。
主要著書―『扉の向こうの帝国――「イースタン・バンク」発展史論』(ナカニシヤ出版、近刊予定)。“The British Eastern exchange banks and their performance in the Anglo-Dutch international economic order in Southeast Asia, 1860-1890” in A. Webster and N. White (eds.), Singapore: Two Hundred Years of the Lion City (Routledge, 2000).
中村武司 (ナカムラタケシ)
1975年兵庫県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、弘前大学人文社会科学部准教授。専門、18世紀イギリス史、イギリス帝国史。
主要著書―『空間のイギリス史』(山川出版社、2005年、共著)、『アニメで読む世界史』(山川出版社、2011年、共著)、『グローバルヒストリーと帝国』(大阪大学出版会、2013年、共著)、『新しく学ぶ西洋の歴史──アジアから考える』(ミネルヴァ書房、2016年、共著)。
宗村敦子 (ムネムラアツコ)
1988年新潟県生まれ。関西大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。現在、千葉経済大学経済学部専任講師。専門、イギリス帝国史、南部アフリカ経済史。
主要論文―「1930年代〜1940年代西ケープにおける缶詰産業の成立―—南アフリカの第二次工業化と地域経済」『アジア太平洋論叢』20、2014年、「南アフリカの工業化」北川勝彦・北原聡・西村雄志・熊谷幸久・柏原宏紀編『概説世界経済史』(昭和堂、2017年)所収。
山口育人 (ヤマグチイクト)
1973年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、奈良大学文学部教授。専門、イギリス帝国史、イギリス現代史。
主要著書―『コモンウェルスとは何か――ポスト帝国時代のソフトパワー』(ミネルヴァ書房、2014年、共著)、『イギリスとアメリカ――世界秩序を築いた四百年』(勁草書房、2016年、共著)、『冷戦変容期の国際開発援助とアジア――1960年代を問う』(ミネルヴァ書房、2017年、共著)。
日本語版への序文
序文
◆第一章 オリエンテーション
ティムール以後
複数のグローバルヒストリー
ヨーロッパの膨張の歴史を再考する
中世のユーラシア
◆第二章 ユーラシアと「発見の時代」
西洋の勃興
イスラーム世界がもたらしたつり合い
東アジアの「長期の一六世紀」
ヨーロッパとの比較
結論
◆第三章 近世の均衡
野心の限界――「広い世界」におけるヨーロッパ人
陸の帝国主義――モスクワ大公国からロシアへ
東アジアの刷新
緊張下のイスラーム帝国
ユーラシアにおけるヨーロッパの位置
◆第四章 ユーラシア革命
地政学上の革命
大分岐
諸文化の比較
展望
◆第五章 時間との競争
ユーラシアの節目
西洋を創造する
世界経済に向かって
「大ヨーロッパ」の最前線
不確かな帝国
時間との競争
原註