ディンマスノコドモタチ
ディンマスの子供たち
発売日 2023/03/24
判型 四六変型判 ISBN 978-4-336-05918-5
ページ数 324 頁 Cコード 0397
定価 3,080円 (本体価格2,800円)
その少年はすべてを目撃していた――イングランドの架空の港町ディンマス、人々は複雑な事情がありながらも平和な生活を営んでいる。しかし、一人の少年によって人々の意識の裏に潜む欲望・願望・夢が暴き出されていく。平凡な海辺の町を丸ごと描いて、読む者を戦慄させるトレヴァー初期の衝撃作、ついに邦訳!
イングランド・ドーセットの海辺の町ディンマス。復活祭を前に人々の生活は活気づいている。教会運営に悩む若い牧師夫婦、海岸を徘徊する退役軍人とその妻、息子に家出された老夫婦、互いの親が再婚して同居するようになった少年と少女、そしてタレント発掘番組に出演することを夢見る孤独な少年ティモシー。やがて彼は悪魔的な言動で人々の平和な生活の裏に潜む欲望・願望・夢を暴き出していく……トレヴァーのダーク面が炸裂する群像劇にして、1976年ウィットブレッド賞を受賞した傑作長篇がついに邦訳。
ウィリアム・トレヴァー (ウィリアムトレヴァー)
1928年、アイルランドのコーク州生まれ。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師、彫刻家、コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。65年、第二作「同窓」がホーソンデン賞を受賞、数多くの賞を受賞している(ホイットブレッド賞は3回)。短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合せた短篇全集(1992年)はベストセラー。現役の最高の短篇作家と称され、ノーベル文学賞候補にもたびたび名前が挙がった。長篇作に『フールズ・オブ・フォーチュン』(論創社)『フェリシアの旅』(角川文庫)『恋と夏』(小社刊)、短篇集に『聖母の贈り物』『アイルランド・ストーリーズ』『異国の出来事』『ふたつの人生』(以上小社刊)『密会』(新潮社)『アフター・レイン』(彩流社)などがある。2016年逝去。
宮脇孝雄 (ミヤワキタカオ)
1954年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。翻訳家・エッセイスト。訳書に、セイヤーズ「顔のない男」、マクロイ「ひとりで歩く女」(以上、創元推理文庫)、ダニング「死の蔵書」(ハヤカワ文庫)、著書に「書斎の達人」(早川書房)、「翻訳の基本」(研究社出版)他がある。