ヘンリースティムソントアメリカノセイキ
ヘンリー・スティムソンと「アメリカの世紀」
発売日 2014/02/21
判型 四六判 ISBN 978-4-336-05779-2
ページ数 376 頁 Cコード 0022
定価 3,080円 (本体価格2,800円)
20世紀前半の半世紀近い間、国務長官や陸軍長官など、アメリカ政府の要職に就き、原爆投下など、数々の政策決定に参画したヘンリー・スティムソンの人物像を多角的な視点から描き出す評伝。高潔な賢人と言われながら、なぜスティムソンは原爆投下を進言したのか?第2次世界大戦後の核管理の問題は、アメリカ政府内でいかに捉えられていたのか?スティムソンの生涯と思想を辿りながら、現代世界にも通ずる平和と戦争の問題に迫る。
中沢志保 (ナカザワシホ)
1955年長野県生まれ。津田塾大学大学院国際関係学研究科博士後期課程修了。博士(国際関係学)。現在、文化学園大学国際文化学部教授。専攻、国際関係学・国際政治史。
著書に、『オッペンハイマー――原爆の父はなぜ水爆開発に反対したか――』(中央公論新社、1995年)、『ヘンリー・スティムソンと「アメリカの世紀」』(国書刊行会、2014年)、訳書に『ヘンリー・スティムソン回顧録(上・下)』(国書刊行会、2017、共訳)などがある。
はじめに
第1章 公職者への道
第1節 スティムソンの人物像
ヘンリー・スティムソンとは/生い立ちと教育/二人のロールモデル
第2節 『日記』と『文書』
膨大な政務記録
第2章 アメリカのリーダーシップを求めて
第1節 革新的な国内改革
連邦検事として/陸軍改革
第2節 第一次世界大戦とスティムソン大佐
中立から参戦へ/戦場からの手紙
第3節 ニカラグア特使
ニカラグア内戦/「建設的」介入/ティピタパ会談/スティムソンのニカラグア外交
第4節 フィリピン総督
アメリカのフィリピン支配/「責任ある統治」/自治と独立/離任
第5節 スティムソン・ドクトリン
ヴェルサイユ体制とワシントン体制/ロンドン会議と対中南米政策の転換/スティムソン・ドクトリンの形成過程/スティムソン・ドクトリンの内容/スティムソン・ドクトリンの意味
第3章 第二次世界大戦と勝利の追求
第1節 二度目の陸軍長官
「ファシズムと戦え」
第2節 徴兵法と武器貸与法
選抜訓練徴兵法/武器貸与法
第3節 アメリカの参戦
パールハーバー攻撃/日系人の強制収容
第4節 第二戦線
ボレロ計画の延期/オーヴァーロード作戦/実践的政策と政治的戦略
第4章 「最も恐ろしい兵器」
第1節 原爆開発
科学と軍事の結婚/「はた迷惑でまったく信頼できない男」
第2節 原爆投下へのプロセス
「ターゲットは日本」/「最も恐ろしい兵器」/「ロイヤルストレートフラッシュ」/「京都をはずせ」
第3節 暫定委員会
「特別な資格を有する委員会」/五月三十一日の暫定委員会
第4節 ポツダム会談
ポツダム日誌/ポツダムでのスティムソンと立場/
第5節 ヒロシマとナガサキ
「とてつもなく大きな責任」/戦後に向けた十三日間
第5章 ハーパーズ論文と「公式解釈」
第1節 原爆投下決定に関する先行研究
三つの立場
第2節 スミソニアンの「原爆展」論争
「企画」の挫折/「原爆展」論争
第3節 ハーパーズ論文
コナントの懸念/「論文」の概要/「論文」の再考
第6章 戦後構想
第1節 ヨーロッパとの協調
米英協調は「救命いかだ」/ドイツの戦後処理は長期的な視点から
第2節 モーゲンソー・プラン
ドイツ経済を「生存」レベルに/スティムソンの反論/「復讐の発想は危険」
第3節 天皇制を護持せよ
グルーの進言/ポツダム宣言の起草/天皇制に基づく対日構想
第4節 米ソ関係と核の国際管理案
科学顧問の核管理案/「警察国家」への警戒/失われた機会
第7章 次世代への提言
第1節 九月覚書
「相手を信頼に足る人物にするための唯一の方法」
第2節 「最大の試練」
独善主義を克服せよ
おわりに
注
主要参考文献
スティムソンの生涯と時代背景
あとがき
主要人名索引