ガルシアロルカトミシマユキオ
ガルシア・ロルカと三島由紀夫
二十世紀 二つの伝説
発売日 2013/01/22
判型 A5判 ISBN 978-4-336-05624-5
ページ数 400 頁 Cコード 0098
定価 4,840円 (本体価格4,400円)
20世紀における二つの詩的な伝説、ガルシア・ロルカと三島由紀夫。両作家の作品の比較検討を通じ、その類似点の追究、知られざる文学的側面の発見、東洋と西洋における文化的出会いの地平の開拓、その伝説としての解明を試みた画期的論考。
小阪知弘 (コサカトモヒロ)
1976年兵庫県生まれ。関西外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。スペイン政府給費生として、スペイン国立サラマンカ大学大学院博士課程に入学。スペイン国立サラマンカ大学大学院博士課程修了。スペイン国立サラマンカ大学文学博士(Doctor en filología hispánica por la Universidad de Salamanca)。現在、南山大学准教授。専攻、現代スペイン演劇、スペイン映画、比較文学。
著書に、『ガルシア・ロルカと三島由紀夫 二十世紀 二つの伝説』(国書刊行会、2013年)、『村上春樹とスペイン』(国書刊行会、2017年)、訳書に、『現代スペイン演劇選集Ⅲ』(カモミール社、2016年、共訳)などがある。
序章 ロミオとジュリエットの薔薇
第一章 ガルシア・ロルカの作品世界に投影された日本文化と俳句
1 ロルカの作品世界に投影された東洋世界と日本文化
2 日本をめぐる二つの友情 ミゲル・ピサロと中山幸一
3 一九二〇年代スペインにおける俳句の流行
4 青年期の詩作における俳句の影響
5 『タマリット詩集』(一九三六)における俳句の影響
6 ロルカが抱いた俳句の概念
7 日本文化をモティーフにしたロルカデッサン
第二章 三島由紀夫 スペイン文化と文学への憧れ
1 三島 スペイン文化への接近
2 スペイン語の響きへの愛着
3 三島とディエス・デル・コラールの出会い
4 三島とオルテガ・イ・ガセット
5 三島とスペイン建築
6 三島とスペイン絵画
7 三島とフラメンコ
8 三島と闘牛
9 三島と二つのスペイン人気質――カルメンとドン・フアン――
10 三島とドン・キホーテ
11 三島とロルカ文学
12 スペイン文化の不死性への憧れ
第三章 仮面の神秘
1 『観客』(一九三〇)
2 仮面の諸機能
3 両義的な記号としての仮面――隠蔽と暴露――
4 仮面の諸相
5 慣例社会を表象する仮面としての女性登場人物
6 変身を促す仮面
7 演劇の仮面
8 魔術的かつ神秘的な仮面
9 重ね合わされた仮面
10 永遠の仮面とその神秘
第四章 聖セバスチャンの伝説
1 聖セバスチャンの伝説
2 聖画としての聖セバスチャン
3 スペイン黄金世紀演劇における聖セバスチャン
4 二十世紀文学における聖セバスチャン
5 二十世紀における聖セバスチャンの図像
6 同性愛を表象する図像としての聖セバスチャン
7 同性愛を表象する図像としての水夫
8 同性愛を表象する記号としての白手袋
9 サド・マゾヒズムを表象する図像としての聖セバスチャン
10 作品世界内に見られる聖セバスチャン的な登場人物
11 二十世紀における聖セバスチャンの伝説
第五章 夢が創造する時間の伝説
1 二十世紀文学と時間論
2 『五年経ったら』(一九三一)
3 『近代能楽集』(一九五六)
4 演劇装置としての夢
5 フロイトの精神分析理論の影響
6 〈不可能の愛〉を表象する記号としての二つの扇
7 二十世紀における非人間化された世界
8 待つことに恋する女性たち
9 時間の経過と待つ行為の関係
10 円環する時間
11 時計を媒介とする年代順的・直線的な時間の破壊
12 一瞬と永遠の交差
13 存在の不安定感と二十世紀の孤独
14 伝統と現代の融合
15 夢によって創造された詩的な時間の伝説
第六章 男性不在の伝説と女性の自由
1 『ベルナルダ・アルバの家』(一九三六)
2 『サド侯爵夫人』(一九六五)とスペイン
3 フェミニズム演劇批評
4 家族劇
5 女性の小宇宙
6 数学的体系
7 ラシーヌ風古典劇作法
8 女性の声の対位法
9 母親
10 自由と反逆を表象する娘たち
11 劇的状況
12 積木の理念
13 母親の小宇宙を表象する舞台空間
14 唯一の男性をめぐる娘たちの争い
15 女中の役割
16 伝統と現代の融合
17 不在の男性の詩的な伝説
18 女性の自由
最終章 二十世紀 二つの伝説
1 性の問題
2 残酷さ
3 近現代における男女関係の破壊
4 フロイトの精神分析理論の影響
5 映画
6 年代順的・直線的な時間への反逆
7 世界解釈
8 非人間化された世界
9 不条理性
10 男女間におけるコミュニケーションの不在
11 存在の不安定感
12 二十世紀の孤独
13 現実批判
14 虚無と空虚
15 伝統と現代の融合
16 再生の文学
17 二十世紀世界文学
18 二十世紀 二つの詩的な伝説
註
付録 ガルシア・ロルカと日本 資料と作品集
付録一 「仏陀(BUDDHA)」(一九一八)
付録二 「ミゲル・ピサーロ!」
付録三 「母を祝う俳諧」「俳諧についての覚書」「俳諧についての批評」
付録四 スペイン語に翻訳された三島由紀夫の作品一覧
付録五 三島由紀夫が所有したスペイン文学及び文化に関する蔵書一覧
付録六 三島由紀夫が愛蔵した『ロルカ選集 全三巻』(一九五八)の内容
付録七 スペイン・バルセロナにおける『サド侯爵夫人』の初演記録(一九八六)
付録八 スペイン・マドリッドにおける『サド侯爵夫人』の初演記録(一九八七)
引用文献一覧
図版出典
あとがき
主要書名・論文名・雑誌名・新聞名・作品名索引
人名索引