ヒゲキジンノシセイ
悲劇人の姿勢
発売日 2012/04/24
判型 A5判 ISBN 978-4-336-05381-7
ページ数 616 頁 Cコード 0310
定価 6,380円 (本体価格5,800円)
小林秀雄、福田恆存、三島由紀夫にとって価値の尺度は「真贋」だった。三者三様に真の概念が異なっていたのは、行為の概念が異なっていたことに由る。ただし、「自己」を知る困難が問題の要で、知ることは行為することに及ばないとした点で三者は共通していた。
西尾幹二 (ニシオカンジ)
評論家。電気通信大学名誉教授。1935年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。同大学院文学修士。文学博士。ドイツ文学者。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究、翻訳をはじめ、文学、教育、社会、政治、国際問題等幅広く評論活動を行っている。最近では反原発を明確に打ち出し、人類の生命維持から訴えかける論点が注目されている。
西尾幹二全集 第二巻 悲劇人の姿勢
Ⅰ 悲劇人の姿勢
アフォリズムの美学
小林秀雄
福田恆存(一)
ニーチェ
ニーチェと学問
ニーチェと言語観
論争と言語
政治と文学の状況
政治の宿命―現代日本文学にみる終末意識
「死」から見た三島文学
不自由への情熱―三島文学の孤独
Ⅱ 続篇
行為する思索―小林秀雄再論
福田恆存小論五題
福田恆存(二)
夏期大学講師の横顔
大義のために戦う意識と戦う――福田恆存著『生き甲斐といふ事』
現実を動かした強靭な精神――福田恆存氏を悼む
「私に踏み絵をさせる気か」
三十年前の自由論
高井有一さんの福田恆存論
田中美知太郎氏の社会批評の一例
田中美知太郎先生の思い出
竹山道雄先生を悼む
Ⅲ 書評
福田恆存『総統いまだ死せず』 三島由紀夫『宴のあと』 三島由紀夫『裸体と衣裳』 竹山道雄『時流に反して』 竹山道雄『ビルマの竪琴』 吉田健一『ヨオロッパの世紀末』 中村光夫『芸術の幻』 佐伯彰一『内と外からの日本文学』
Ⅳ 「素心」の思想家・福田恆存の哲学
一 知識人の政治的行動について
二 「和魂」と「洋魂」の戦い
三 ロレンスとキリスト教
四 「生ぬるい保守」の時代
五 エピゴーネンからの離反劇
六 「眞の自由について」
Ⅴ 三島由紀夫の死と私
はじめに――これまで三島論をなぜまとめなかったか
第一章 三島事件の時代背景
第二章 一九七〇年前後の証言から
第三章 芸術と実生活の問題
第四章 私小説的風土克服という流れの中で再考する
あとがき
Ⅵ 憂国忌
三島由紀夫の死 再論(没後三十年)
三島由紀夫の自決と日本核武装(没後四十年)
追補 福田恆存・西尾幹二対談「支配欲と権力欲への視角」
同対談解説 エゴイズムを克服する論理
後記