ワールズ・エンド
ワールズ・エンド
発売日 2012/05/21
判型 A5判 ISBN 978-4-336-05365-7
ページ数 644 頁 Cコード 0097
定価 3,740円 (本体価格3,400円)
舞台は現代イギリス。何千年も前に追放された古代ケルトの神々が戻ってきた。扉が開き、異界との境界線を越えて伝説の魔物たちも現れる。世界を人類の手に取り戻すため、五人の「竜の仲間」たちが選ばれた。もっとも彼ら自身は自分たちの行く末に皆目見当もつかないのだが・・・。ケルト神話やアーサー王伝説に関する記述は、巻末の膨大な「参考文献」が示すとおり専門的だ。ファンタジーのジャンルを借りつつ、自然と人間、科学と神秘などに対する著者独特の哲学的考察には確信と説得力があり、楽しみながら知らずに啓蒙される。それぞれ精神的問題を抱えた主人公たちがロンドンからブリテン各地、ウェールズ、湖水地方、スコットランドと、神話や伝説で知られる各地をめぐるうちに、憎しみを克服し友情を育むロード・ノヴェルでもある。
マーク・チャドボーン (マーク・チャドボーン)
1960年イングランドのミッドランド地方生まれ。経済史で学位取得後、ジャーナリストを経て、90年代より本格的な作家活動に入る。以後現在までに20冊を超える長篇小説を発表し、'03年に中篇『フェアリー・フェラーの神技』、'07年に短篇『Whisper Lane』で英国幻想文学賞を受賞した他、数多くの賞にノミネートされている。「現代の吟遊詩人」と称せられ、彼の幻想小説にはリミックスされた神話、幽玄な舞台装置、効果的なシンボル、奇妙なイメージ、異ジャンルの魅惑的な融合が凝縮されている。BBCドラマ『Doctors』の脚本も担当。
木村京子 (キムラキョウコ)
1964年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。専攻は英米文学。訳書にマーク・チャドボーン『フェアリー・フェラーの神技』(バベルプレス)。