スクリーンノナカニエイコジクガミエル
スクリーンの中に英国が見える
発売日 2005/03/01
判型 A5判 ISBN 978-4-336-04672-7
ページ数 578 頁
定価 4,950円 (本体価格4,500円)
ハリウッドとは似て非なる「イギリス映画」を通して、イギリス人に特有の価値観を探り、イギリスの歴史を学び、イギリスが抱える問題をブラックにえぐりだす、画期的映画評論。図版八十点収録。
狩野良規 (カノウヨシキ)
1956年東京都生まれ。東京外国語大学外国語学研究科修士課程修了。東京都立大学人文学部(史学専攻)卒業。オックスフォード大学留学(1991―92年)。現在、青山学院大学国際政治経済学部教授。専攻、イギリスおよびヨーロッパ文学・演劇学・映像論。
主な著書に、『シェイクスピア・オン・スクリーン』(三修社)、『スクリーンの中に英国が見える』、『ヨーロッパを知る50の映画』正・続、『現代を知るための文学20』、『ポジティブシンキングにならないために』、『シェイクスピアとの対話』(以上、国書刊行会)、『えみゅーる――狩野良規自選エッセイ集』(シーズ・プランニング)などがある。
はじめに
第1部 イギリス的なるもの
1 イギリスは暗い
『モーリス』、『アナザー・カントリー』、『キャリントン』
2 二つの国民と言語
『マイ・フェア・レディ』
3 底辺から見たイギリス
『ケス』、『レディバード・レディバード』、他
4 E・M・フォースターのイタリア
『眺めのいい部屋』、『天使も許さぬ恋ゆえに』
5 ピーター・シェイファーの世界
『フォロー・ミー』、『アマデウス』、『エクウス』
6 ヒロイックな正義
『死と処女(おとめ)』
7 舞台の映画化
『逢びき』、『旅路』、『ドレッサー』
8 イギリスの喜劇
『マダムと泥棒』、『ウィークエンド・ラブ』、『ピーターズ・フレンズ』、『フォー・ウェディング』
9 イギリスのブラック・ユーモア
『ワンダとダイヤと優しい奴ら』、『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』
10 諷刺とは何か
『未来世紀ブラジル』、『時計じかけのオレンジ』、他
第2部 歴史と文学
1 イギリスの王室
『冬のライオン』、『ヘンリー八世の私生活』
2 譲れない正義
『わが命つきるとも』
3 正史にあらず
『エリザベス』、『恋におちたシェイクスピア』
4 ジェントルマンの世界
『トム・ジョーンズの華麗な冒険』、『バリー・リンドン』
5 ディケンズとデヴィッド・リーン
『オリヴァ・ツイスト』、『大いなる遺産』
6 女流作家たち
『いつか晴れた日に』、『待ち焦がれて』、『ジェーン・エア』、『嵐が丘』、他
7 ヴィクトリアニズムの破壊者たち
『ケン・ラッセルのサロメ』、『まじめが肝心』、『理想の結婚』、『テス』、『遥か群衆を離れて』、『日蔭のふたり』、他
8 D・H・ロレンスとケン・ラッセル
『レインボウ』、『恋する女たち』
9 階級の和解、そして人間の交流
『ハワーズ・エンド』、『ダロウェイ夫人』
10 英国流ミステリー
『情婦』、『バルカン超特急』、『海外特派員』
第3部 大英帝国-地方そして植民地
1 アイルランド的なるもの
『アラン』、『静かなる男』
2 アイルランドの独立運動
『マイケル・コリンズ』、『男の敵』、『ライアンの娘』
3 IRAもの
『邪魔者は殺(け)せ』、『父の祈りを』、『クライング・ゲーム』
4 アイルランドの青春
『ザ・コミットメンツ』、『スナッパー』、『サークル・オブ・フレンズ』、『アンジェラの灰』、『マイ・レフトフット』
5 ジェームズ・ジョイスの世界
『ザ・デッド「ダブリン市民」より』
6 スコットランドとウェールズ
『ブレイブハート』、『ロブ・ロイ』、『トレインスポッティング』、『わが谷は緑なりき』
7 砂漠の英雄伝説
『アラビアのロレンス』
8 イギリスの見たインド
『インドへの道』、『熱砂の日』、『大地のうた』、他
9 インド独立
『ガンジー』
10 日本軍捕虜収容所における「文明の衝突」
『戦場にかける橋』、『戦場のメリークリスマス』
第4部 現代イギリス-ふたたびイギリス的なるものについて
1 第二次大戦、そして戦後
『空軍大戦略』、『赤い靴』、『プレンティ』
2 グレアム・グリーンとキャロル・リード
『落ちた偶像』、『第三の男』
3 フリー・シネマの登場
『怒りを込めて振り返れ』、『年上の女』、『蜜の味』
4 アラン・シリトーと労働者階級
『土曜の夜と日曜の朝』、『長距離ランナーの孤独』
5 一九六〇年代の心理映画
『コレクター』、『反撥』、『召使』
6 青春、学校、孤独
『ダーリング』、『ミス・ブロディの青春』、『if もしも…』、『真夜中のカーボーイ』
7 移民とポスト帝国主義
『マイ・ビューティフル・ランドレット』、『ぼくの国、パパの国』、『ベッカムに恋して』、『秘密と嘘』
8 イギリスの青春
『司祭』、『SWEET SIXTEEN』、『ノッティングヒルの恋人』
9 労働者階級映画の流行
『ブラス!』、『フル・モンティ』、『リトル・ダンサー』
10 永遠にイギリス的なるもの
『炎のランナー』、『日の名残り』
注
おわりに
フィルモグラフィー
索引 人名/映画題名