「このような企画が通る時代を迎えられたことには、感涙を禁じえない。全600ページに及ぶ大冊であるが、オカルティズムやタロットに関心のある人なら、ページをめくる手が止まらなくなる、圧倒的な情報量と面白さ。まさに極上の愉悦である」
『オカルトタロットの歴史 1870-1970年』(ロナルド・デッカー、マイケル・ダメット 著/今野喜和人 訳)
タロットの秘儀化はいかにして生まれ、いかにして解体し、さらに広い文化的事象へと展開していったのか?――黄金の夜明け団やアレイスター・クロウリーによるタロットの扱い、現代において最も流通している「ウェイト=スミス版タロット」の誕生にまつわる経緯など、日本でも関心が高い主題を取り上げ、基本的には遊戯用のカードに過ぎなかったタロットが18世紀末以降、古代以来のありとあらゆる神秘思想を担う図像の集成となり、また人間の運命を見通す占いの道具となっていった歴史を、世界各地で活動したタロティストたちの人生と思想、社会の動きを織り交ぜながら興趣あふれる筆致で描き出した決定的大著。