朝日新聞「好書好日」で『探偵小説と〈狂気〉』が紹介されました。
評者は怪奇幻想ライター朝宮運河氏。
「探偵小説における〈狂気〉といっても、その描かれ方は千差万別。著者は科学と〈狂気〉の関わり、
刑法上の〈狂気〉、民俗学的な〈狂気〉など五つの角度を設定し、その多面性を示してゆく」
「本書の実証的研究の向かう先は、探偵小説の再評価にある。日本の探偵小説は〈狂気〉をめぐる同
時代の言説をさかんに取り入れ、ドラマ作りに生かしながらも、それを批評するという役目も担っ
てきた。本書には探偵作家たちのそんなしたたかな戦略が、鮮やかに刻まれているのだ」
「〈狂気〉というレンズによって探偵小説の新たな魅力を発見するという本書の目論見は、成功した
といえるだろう」
朝日新聞「好書好日」
鈴木優作
定価 3,850円(本体価格3,500円)
近代は何を狂わせたか――江戸川乱歩・小栗虫太郎・夢野久作ほか、
探偵小説がいかに〈狂気〉を描いたかを読み解き、時代に潜む文化と
制度の裡面、そして文学によってなされた企みを明らかにする文学論。