1974〜75年に新聞連載された瀬戸内晴美(寂聴)による時代小説「幻花」のために、横尾忠則が
描いた挿絵は、ユニークで謎めいた図像と執拗なまでの精緻な線描によって、観る者に鮮烈なイ
ンパクトを与えます。横尾が自らの「イラストレーションの総決算」と述べるとおり、画面一つ一つに
高い緊張感と強度を備えたこれらの挿絵は、横尾の仕事の中でも特筆すべき存在であるといえる
でしょう。
横尾は、室町後期を舞台とするこの小説に対して、ストーリーと関係のない現代的なモチーフや、
作者である瀬戸内自身の肖像を登場させたり、数回にわたって画面をアニメーションのように徐々
に変化させる仕掛けを施したりと、自由な遊び心を随所に散りばめながら、イメージを自在に展開
していきました。時には、瀬戸内の原稿よりも横尾の挿絵の方が先に描かれることもあり、本来、
文章に従属するはずの「挿絵」のあり方を超えたこれらの挿絵は、それ自体が独立した一つの世
界を形作っているといっても過言ではありません。
本展では、横尾のグラフィック・ワークの最高傑作の一つである「幻花」挿絵の貴重な原画全371
点を一堂に展示し、その魅力に迫ります。私たちのイマジネーションを刺激する濃密で幻惑的な世
界を、ぜひご堪能ください。 (横尾忠則現代美術館HPより)
「開館3周年記念展 横尾忠則 幻花幻想幻画譚」
◆会期:2015年12月12日(土)〜2016年3月27日(日)
◆開館時間:10時~18時 ※金・土曜日は~20時(入場は閉館の30分前まで)
◆休館日:月曜日(ただし3月21日(月・祝)は開館、3月22日(火)は休館)
年末年始・メンテナンス休館[12月31日(木)〜1月15日(金)]
◆会場:横尾忠則現代美術館
〒657-0837 兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
TEL.078-855-5607(総合案内)
◆観覧料:一般700(560)円/大学生550(440)円/高校生・65歳以上350(280)円
中学生以下:無料
※( )内は20名以上の団体および前売(高校生、65歳以上は前売なし)料金
※障がいのある方とその介護の方(1名)は各当日料金の半額(65歳以上除く)
【開館3周年記念展 横尾忠則 幻花幻想幻画譚 告知ページ】
http://www.ytmoca.jp/exhibitions/2015/09/3.html
***展覧会公式図録***
『幻花幻想幻画譚』
横尾忠則 画/瀬戸内寂聴 原作
定価 4,104円(本体価格3,800円)
1974〜75年にかけて新聞連載された瀬戸内晴美(寂聴)による時代小説
「幻花」のために横尾忠則が描いた挿絵全371点を完全収録した、横尾忠
則のイラストレーションの総決算にしてグラフィック・ワークの最高傑作。