国書刊行会

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書籍詳細

ジンロウヴァグナー

人狼ヴァグナー

ジョージ・W・M・レノルズ
夏来健次

発売日
2021/07/16
判型
A5判
ISBN
978-4-336-07109-5
ページ数
648頁

定価 5,280円(本体価格4,800円)

※在庫あり

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内容紹介

◆荒俣宏氏
「1ペニー恐怖文庫(ドレッドフル)」?!──近年、これが英語圏で大復活している。19世紀に大流行した娯楽小説群は、一般市民に読書という新趣味を広げる原動力となった。日本でいうなら、まさしく、山東京伝の黄表紙・曲亭馬琴の合巻にあたる。怪奇も残虐も色恋も陰謀も、同時代に生きた作者でないと書けない生々しさで、よみがえる。そしてついに、その代表作が、日本語で読める日が来た!

◆1516年、ドイツ〈黒き森〉。嵐が吹きすさび、あたり一面を異様な轟音が覆いつくす漆黒の夜、老醜の境にあるヴァグナーは見知らぬ人物の訪問を受け、奇怪なる契約を交わす。それは、若さと美貌、富と不死の命を手に入れる代価として狼に変身する運命を背負うというものであった。それからおよそ5年後、フィレンツェでも指折りに大きな城館の、贅を尽くした家具調度の揃う一室で、リヴェロラ伯爵アンドレアは死の牀にあった。父に寄り添う二人の姉弟ニシダ姫とフランシスコに伯爵は、自らとリヴェロラ家にかかわる秘密を明らかにしてくれるものが収められているという秘密の衣裳室の鑰を渡し、フランシスコが婚姻を果たすその日に扉をあけるよう遺言を残して息絶える。父の死を看取り二人はそれぞれの寝所に戻るが、ほどなくして、艶やかな黒い瞳に不吉とも言える異様な光を宿らせたニシダ姫は、フランシスコの部屋に忍びこんで鑰を盗みだし、秘密の衣裳室へ歩を進めていく。数日後、伯爵の葬儀が執り行なわれ、そこに若さを取り戻したヴァグナーの姿があった――交錯する愛憎と怨恨、野望と戦乱、フィレンツェ、コンスタンチノープル、エーゲ海のロードス島、さらには地中海のいずことも知れぬ孤島を舞台に繰り広げられる、ゴシック・ロマンスの後裔ともいうべき波瀾万丈の物語がここに開幕!

著者紹介

ジョージ・W・M・レノルズ (ジョージ・W・M・レノルズ)

1814年イギリスのケント州サンドウィッチ生、1879年没。ヴィクトリア朝期の大衆小説家・雑誌編集者・社会運動家。若年時フランスにわたり、帰国後ロンドンで安価な通俗小説(ペニー・ドレッドフル)の人気作家となった。主著The Mysteries of London, The Mysteries of the Court of London, Faust: A Romance of the Secret Tribunals, Wagner,the Wehr-Wolf(本書)他。

夏来健次 (ナツキケンジ)

英米小説翻訳者。訳書にジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『赤い右手』『恐ろしく奇妙な夜――ロジャーズ中短編傑作集』、ジョージ・W・M・レノルズ『人狼ヴァグナー』(以上国書刊行会)、R・L・スティーヴンスン『ジキル博士とハイド氏』、 C・ディケンズ他『英国クリスマス幽霊譚傑作集』、W・コリンズ他『ロンドン幽霊譚傑作集』(以上創元推理文庫)、G・G・バイロン他『吸血鬼ラスヴァン』(東京創元社、共編訳)他。

目次

序章

第一章 死の牀──誓い──今際の言いつけ
第二章 秘密の衣裳室
第三章 ある文書──フロラ・フランカテッリ
第四章 葬儀──およびその中断
第五章 遺言書を読む
第六章 肖像画の秘密──アグネスと謎の男
第七章 秘密の暴露
第八章 アグネスの遍歴
第九章 アグネスの遍歴の結末
第十章 フランシスコとニシダ姫とヴァグナー
第十一章 ニシダ姫とヴァグナー──フランシスコとフロラ──迫る日没
第十二章 人狼
第十三章 ニシダ姫の激情──変装と策略
第十四章 アグネスと謎の婦人との最後の邂逅
第十五章 官憲──逮捕
第十六章 ニシダ姫と女子修道院長
第十七章 牢獄のヴァグナー──ある訪問者
第十八章 フロラ・フランカテッリ──三人の尼僧とひとつの椅子
第十九章 地下へ──〈改悛の獄〉
第二十章 フランシスコとニシダ姫──デュラ博士と書簡
第二十一章 クローチェ街──老ユダヤ人──盗賊団頭目の恋
第二十二章 アレスティーノ伯爵夫人
第二十三章 伯爵夫人の恋──ジウリアとその愛人
第二十四章 瑕負いし夫、罪深き妻、無礼なる愛人
第二十五章 オルシーニ侯爵マヌエル
第二十六章 決闘──蔑視され迫害されるユダヤ人
第二十七章 ステファーノとマヌエル──盗賊団の砦
第二十八章 恐るべき告発
第二十九章 リヴェロラ伯爵館への盗賊の訪問
第三十章  囚われのフロラ──新たな朋輩──生者の墓
第三十一章 盗賊団
第三十二章 吊り椅子の秘密──壊滅
第三十三章 ロメリーノの脱出──ステファーノのもくろみ
第三十四章 誘拐
第三十五章 ヴァグナーと誘惑者──その幻惑
第三十六章 ヴァグナーの裁判
第三十七章 難破
第三十八章 地中海の島
第三十九章 人狼
第四十章  ニシダ姫を探索するヴァグナー
第四十一章 島の女王
第四十二章 誘惑──大蛇
第四十三章 ニシダ姫とヴァグナー
第四十四章 アレッサンドロ・フランカテッリ
第四十五章 コンスタンチノープルの貴婦人
第四十六章 背教者イブラヒム
第四十七章 ロードス島包囲戦
第四十八章 捕囚
第四十九章 新たなる大宰相
第五十章  アレスティーノ伯爵──深き策謀
第五十一章 再会
第五十二章 ある召使い──ギリシャの若人の歌──啓示
第五十三章 皇太后──三人の黒人奴隷
第五十四章 島でのニシダ姫とヴァグナー──呪文
第五十五章 呪文の最初の効果
第五十六章 ニシダ姫と悪魔
第五十七章 人狼
第五十八章 悪魔からの助言の効能
第五十九章 互いの告白
第六十章  船団
第六十一章 ヴァグナーの葛藤──幻夢──結ばれた契約
第六十二章 大宰相の旗艦──盗み聞くニシダ姫──フィレンツェの出来事の仔細
第六十三章 大宰相と密偵──小舟で眠る者
第六十四章 話好きの理容師
第六十五章 薔薇十字団
第六十六章 帰館
第六十七章 ニシダ姫とデミトリウス
第六十八章 異端審問
第六十九章 盗賊団に対するデミトリウスの挑戦
第七十章  ニシダ姫の復讐のつぎなる一歩
第七十一章 病者の部屋──フィレンツェの混乱
第七十二章 大宰相の大天幕
第七十三章 迫る破滅
第七十四章
第七十五章 手記
第七十六章 ニシダ姫の告白
第七十七章 フィレンツェの大宰相

大団円

訳者あとがき――作品と作者について