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サイチョウ・クウカイショウライ『サンギョウフセイロン』ノケンキュウ
最澄・空海将来『三教不斉論』の研究
藤井淳 編著
池田将則/倉本尚徳/村田みお/柳幹康 著発売日 2016/01
版型 A5判/上製函入 / ISBN 978-4-336-05966-6
ページ数 392 / Cコード C3015
価格 11,000円 (本体価格10,000円)
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最澄・空海の両大師により約1200年前に日本にもたらされた中国・唐代の姚ベン[功+言]撰『三教不斉論』。唐代には儒教・仏教・道教の三教の優劣について盛んに議論されたが、現存する著作は極めて少ない。
本書は、編者によって新たに検出された『三教不斉論』の校訂テキストを作成し、現代語訳を行い、内容を多角的に分析する。
Ⅰ「本文篇」は、本論写本の未公開の影印(高野山西南院所蔵本・東京都立図書館所蔵諸橋文庫本)、校訂テキスト、詳細な註を付した訓読、現代語訳で構成される。
Ⅱ「論文篇」は、本論の内容と特徴を多角的に解明し、史的に位置づける6本の論文で構成される。
藤井第1論文では、本論を唐代宗教史の中で広く位置づける。本論は禅や浄土教の勃興期に著された文献であり、唐代の主要な仏教文献と共通の思想的基盤にあることを確認する。
村田論文では、姚ベンの官職や出身を推定し、本論を女官・道士・聴衆の出したさまざまな見解に対する反論とする。本論の論調に共感した空海は『三教指帰』序を改訂したと推定。また、従来の三教交渉の議論を分類し、研究史の見直しを図る。
倉本論文では、本論の特徴を解明すべく、テキスト内外から検討を加える。姚ベンの活動地域では太上老君降臨説話が盛んであり、時の皇帝玄宗も重視し顕彰していた。また、本論と関係が深い護法僧・法琳の著作と比較し、本論には老子顕彰活動に対する対抗意識があると推測する。
池田論文では、本論と同名である劉晏述『三教不斉論』の文献的性格をあらためて検討し、「僧尼不応拝君親」を皇帝に建言する「議」であって、本文そのものではないと指摘する。併せて、本論同様仏滅年代に言及する敦煌文献『小乗録』(S5645)と『法王記』(P2722背)の翻刻を付す。
柳論文では、宋代に本論を改編して作られた『三教優劣伝』と本論を比較検討する。優劣伝は本論を承けつつ、それ以上に三教の別異を強調し、仏教の独尊を主張する。さらに釈尊と母である摩耶夫人の関係をクローズアップし、民衆教化の意味合いを持たせている。
藤井第2論文では、本論検出にともなって新たに得られた知見について、最澄・空海との関わりを中心に5点にわたって言及する。
写本発見当時に紙上でも報道され、その内容故に海外からも注目されている『三教不斉論』。気鋭の学者らが、三教交渉研究を新たに開拓し、最澄・空海研究に新たな資料を提供する。 -
はじめに
凡例
Ⅰ 本文篇
影印
西南院本(高野山別格本山西南院所蔵)
諸橋文庫本(東京都立中央図書館諸橋文庫所蔵)
校訂テキスト
訓読
現代語訳
Ⅱ 論文篇
唐代宗教史の結節点としての姚ベン[功+言]三教不斉論』 藤井淳
姚ベン[功+言]三教不斉論』執筆の経緯と三教論争における位置づけ 村田みお
――あわせて空海『三教指帰』序文への影響をも論じる
法琳の著作との比較から見た姚ベン[功+言]三教不斉論』の特徴について
倉本尚徳
劉晏述『三教不斉論』の再検討 池田将則
『三教不斉論』と『三教優劣伝』 柳幹康
最澄・空海請来になる姚ベン[功+言]『三教不斉論』より得られた知見について
藤井淳
執筆者略歴
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