書籍詳細

ジュウニガツノホン
12月の本
- 発売日
- 2025/09/22
- 判型
- B6変型判
- ISBN
- 978-4-336-07745-5
- ページ数
- 280頁
予価 3,080円(本体価格2,800円)
内容紹介
時代も場所もまったく異なる文学作品たちをつなぐテーマは〈12か月〉――
12か月のうちの〈12月〉をテーマに古今東西の小説・詩歌・随筆を集めたアンソロジー。
四季をあじわい、あの作品といま同じ季節を生きるよろこびをつくる本。シリーズ全12巻。
装丁:岡本洋平(岡本デザイン室)
著者紹介
西崎憲 (ニシザキケン)
翻訳家、作家、アンソロジスト。訳書にコッパード『郵便局と蛇』、『ヘミングウェイ短篇集』、『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』、『蕃東国年代記』『未知の鳥類がやってくるまで』『全ロック史』『本の幽霊』など。フラワーしげる名義で歌集『ビットとデシベル』『世界学校』。電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。
佐藤春夫 (サトウハルオ)
詩人、小説家。一八九二年生。詩集に「殉情詩集」、小説に「田園の憂鬱」「西班牙犬の家」など。一九六四年没。
岸田國士 (キシダクニオ)
劇作家、小説家、評論家、演出家。一八九〇年生。「文学座」創立者の一人。文学立体化運動を提唱して他分野で活躍する作家に戯曲執筆を勧め、芸術家集団「雲の会」を設立する。戯曲に「紙風船」、小説に「由利旗江」など。一九五四年没。演劇界に多くの作家を紹介し輩出した功績は岸田國士戯曲賞として顕彰され、その意志が継承され続けている。
ローズマリー・ティンパリー (ローズマリー・ティンパリー)
イギリスの小説家。一九二〇年生。学校教師やジャーナリストとして働くかたわら執筆活動に従事した。小説に「ハリー」「マーサの夕食」「レイチェルとサイモン」など。一九八八年没。
日影丈吉 (ヒカゲジョウキチ)
1908年~1991年。東京・木場に生まれ、中学時代からアテネ・フランセに通いフランス語を習得。1949年『宝石』誌の探偵小説コンクールに「かむなぎうた」を投稿し、江戸川乱歩に高く認められて二席入選、作家活動を開始。幻想的な作風で、熱狂的なファンを有する。1990年に『泥汽車』で第18回泉鏡花文学賞受賞。
武田麟太郎 (タケダリンタロウ)
小説家。一九〇四年生。プロレタリア文学作家として出発して転向。庶民生活の風俗にリアリズムを追求する作風を確立した。小説に「日本三文オペラ」「銀座八丁」など。一九四六年没。
国木田独歩 (クニキダドッポ)
小説家、詩人。一八七一年生。田山花袋、柳田國男、太田玉茗らと共に詩集「抒情詩」を刊行。小説に「源おじ」「武蔵野」「牛肉と馬鈴薯」など。一九〇八年没。
石垣りん (イシガキリン)
詩人。一九二〇年生。一四歳から定年まで銀行員として勤めながら詩作を続けた。詩集に「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」「略歴」など。二〇〇四年没。
マルセル・シュオッブ (マルセルシュオッブ)
フランスの小説家。一八六七年生。小説に「架空の伝記」「モネルの書」「少年十字軍」など。一九〇五年没。
大濱甫 (オオハマハジメ)
仏文学者。一九二五年生。著書に「イシス幻想」、翻訳にシュオッブ「モネルの書」リラダン「残酷物語」など。二〇一二年没。
目次
冬至〔「写況雑記」より〕(永井荷風)
われらが四季感(佐藤春夫)
英国の厳冬とエヴェレスト征服(吉田健一)
クリスマスの出会い(ローズマリー・ティンパリー/安野玲訳)
メリイ・クリスマス(山川方夫)
いまわのきわ(アルベルト・モラヴィア/関口英子訳)
十二月的感想(岸田國士)
年末の一日(芥川龍之介)
冬の日(永井龍男)
セルノグラツの狼(サキ/中村能三訳)
藤の実(寺田寅彦)
クリスマスの夜(アントン・チェーホフ/松下裕訳)
変身(日影丈吉)
十二月の路(尾形亀之助)
年の瀬の音(山本周五郎)
銀座にて(獅子文六)
大凶の籤(武田麟太郎)
私の日記(岡本かの子)
十二月八日(太宰治)
十二月の夜(アルフレッド・ド・ミュッセ/沢木譲次訳)
彼女の逃亡について〔「モネルの書」より〕(マルセル・シュオッブ/大濱甫訳)
真鶴(志賀直哉)
たき火(国木田独歩)
年を越える(石垣りん)
跋 ターミナル 十二月(西崎憲)