国書刊行会

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書籍詳細

フクダヘイハチロウ ヒトトコトバ

福田平八郎 人と言葉

田中修二 編著

発売日
2024/03/08
判型
A5判
ISBN
978-4-336-07600-7
ページ数
624頁

定価 9,460円(本体価格8,600円)

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内容紹介

自然を真摯に見つめ、その深奥をとらえて《鯉》《漣》《新雪》など繊細かつ斬新な画面に凝縮した稀有な日本画家・福田平八郎。描く歓びに溢れた彼の絵画は、いかにして生まれたのか?
大分・京都・東京といった場所や時代状況など、さまざまな視点を交差させ、その生涯を丹念にたどる評伝〈人〉篇と、友人ら多くの人びとに慕われた純朴な人柄や、写生や趣味の釣りを通じて培われた豊かな感性の発露を感じさせる福田自身の文集〈言葉〉篇によって、近現代日本画に革新をもたらしたその豊かな作品世界を探求する。没後50年記念出版。

〈人〉篇=367頁/〈言葉〉篇=255頁

著者紹介

田中修二 (タナカシュウジ)

1968年京都生まれ。大分大学教育学部教授/博士(文学)。1999 年成城大学大学院文学研究科美学・美術史専攻博士課程後期修了。専門は近現代日本美術史、とくに彫刻と京都の絵画。主な著書に、『近代日本最初の彫刻家』(吉川弘文館、1994年)、『彫刻家・新海竹太郎論』(東北出版企画、2002年)、『近代日本彫刻史』(国書刊行会、2018年)、共著に、『海を渡り世紀を超えた竹内栖鳳とその弟子たち』(ロータスプラン、2002年)、『Since Meiji: Perspectives on the Japanese visual arts, 1868-2000』(University of Hawai'i Press、2012年)、主な論文に、「入江波光の法隆寺金堂壁画模写について」、「西山翠嶂と画塾・青甲社」、「京都の日本画と仏教の「空間」」などがある。編著『近代日本彫刻集成』(全3 巻、国書刊行会、2010-2013年)で第26 回倫雅美術奨励賞受賞。

目次

〈人〉篇

カラー口絵

はじめに

第一章 「日本画」の時代のなかで
1 大分と京都と東京─日本画と地域性
2 福田平八郎とその時代
3 福田平八郎の視覚とかたち
4 絵と言葉

第二章 大分 1892~1910年
1 大分のまちの空間と歴史
2 大分の南画と明治期の動向
3 少年時代
4 神輿と凧
5 中学生の頃
6 美術への目覚め

第三章 京都 1910~1918年
1 京都市立美術工芸学校
2 変貌する京都の地で
3 京都市立絵画専門学校
4 卒業の頃

第四章 帝展での活躍 1918~1923年
1 卒業後の進路
2 帝展初入選まで
3 《安柘榴》と《鯉》
4 《鯉》とその後
5 京都と大分での時間

第五章 古典と革新 1922~1930年
1 写実と古典と
2 京都画壇の中心へ
3 「自然」と「古典」の間で
4 新たな模索と中国旅行
5 六潮会

第六章 《漣》とその後 1930~1939年
1 桃山での生活と釣り
2 《漣》
3 色彩への関心と試み
4 「帝展騒動」とその後
5 大分と《青柿》

第七章 日本画の危機の時代に 1940~1954年
1 戦争の時代のなかで
2 新たな時代の表現と主題
3 「日本画滅亡論」と《新雪》
4 《雲》から《雨》へ
5 戦後の大分で

第八章 新たな表現の探究 1955~1974年
1 《氷》と《水》
2 言葉と回想
3 《花の習作》
4 晩年
5 描かれた世界の可能性

あとがき

略年譜
福田平八郎著述一覧
主要関連文献一覧
図版一覧
索引(人名/事項/作品名)


〈言葉〉篇

第一章 大分から京都へ
解題
01 豊後の行事と食べ物(1946年12月)
02 古郷の秋(年代不明・自筆原稿)
03 首藤積先生を憶ふ(1943年6月)
04 ふるさとものがたり(1936年1月)
05 九洲から素仙(1929年4月)
06 大正の頃(1943年5月)

第二章 師、友人など
解題
01 絵専時代・写生 ─栖鳳先生を追憶して─(1942年10月) ……竹内栖鳳
02 思い出の断片(1966年7月) ……中井宗太郎
03 青甲社三十五週年を祝す(1956年12月) ……西山翠嶂
04 好きだつた国展の人達の絵(1928年9月) ……土田麦僊・榊原紫峰・村上華岳・小野竹喬
05 作家の一面(1942年7月) ……土田麦僊
06 富田さんの思ひ出(1936年8月) ……冨田溪仙
07 山口君への期待(1928年2月) ……山口華楊
08 金島の好転機(1928年3月) ……金島桂華
09 僕と堂本君(1930年5月) ……堂本印象
10 朝倉文夫氏をいたむ 彫刻界にとって大打撃 京都で 福田平八郎氏が語る(1964年4月) ……朝倉文夫

第三章 表現の探究
解題
01 先生になつた心持(1924年10月)
02 京都の方が研究的態度である(1925年1月)
03 画道経断簡(1927年9月)
04 絵を上手に描く特別の方法の話(1928年3月)
05 学校と近所の人達(1928年12月)
06 杜北画屋画談(1929年5月)
07 若い画家を通じて 自己を話す(1930年2月)
08 写真即絵(1930年7月頃)
09 裸体の税関吏(1930年9月)
10 自然・芸術・画学生(1931年5月)
11 今の私の方向(1931年9月)

第四章 旅と釣り
解題
01 美の遍路 ─支那に行く気持─(1928年4月)
02 南支の旅(一) 上海から(1928年7月)
03 南支の旅(二) 名園と名水(1928年8月)
04 魚釣(1932年8月)
05 魚釣り漫談(1933年7月)
06 激湍の鮎(1933年11月)
07 鮎!解禁日!(1942年5月)

第五章 《漣》と、伏見桃山での暮らし
解題
01 旧廬新居(1932年4月)
02 風と日光の中から(1932年11月)
03 ルツソーからピカソへ ─健康が生み出す芸術の新─(1933年2月)
04 植物描法 〔抄〕(1933年6月)
05 秋ふかし(1934年11月)
06 夜叉王のやうに(1935年2月)
07 個展の収穫(1935年8月)
08 初夏の写生(1942年9月)

第六章 自由なる画境へ
解題
01 私の写生帖1(1949年9月)
02 私の写生 ─花鳥─(1950年5月)
03 技法随想(1951年6月)
04 私のスケッチ展(1954年10月)
05 必要な基礎勉強 日展日本画県出品作に寄す(1955年11月)
06 ブールデルに感服(1957年7月)
07 私の画境 福田平八郎 きく人 高山辰雄(1962年1月)

第七章 自作について
解題
01 綿羊 (高サ三尺―四枚折一双)(1950年頃・自筆原稿)
02 雪の想い出(1968年2月)
03 「鯉」が水を離れるまで(大正十年第三回帝展特選)(1935年8月)
04 私の作(1922年10月)
05 つぼみ(1933年3月)
06 花菖蒲(1934年12月)
07 山桜(1944年2月)
08 「青柿」について(1951年1月)
09 自作回想(1958年5月)

再録文献一覧
図版一覧
索引(人名)

関連リンク

没後50年 福田平八郎展(大阪中之島美術館