書籍詳細
内容紹介
カズオ・イシグロ(ノーベル文学賞作家)絶賛!
「美しく、怖ろしい……近ごろ私が発見した最高に面白い小説」
――ガーディアン紙「今年のベスト・ブック(2021)」
〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉エンリケスによる、12篇のゴシカルな恐怖の祭典がついに開幕!!!
寝煙草の火で老婆が焼け死ぬ臭いで目覚める夜更け、
庭から現れどこまでも付き纏う腐った赤ん坊の幽霊、
愛するロック・スターの屍肉を貪る少女たち、
死んだはずの虚ろな子供が大量に溢れ返る街……
「もっと 火をつけねば」
〈スパニッシュ・ホラー文芸〉とは
エルビラ・ナバロ、ピラール・キンタナ、サマンタ・シュウェブリン、フェルナンダ・メルチョール、グアダルーペ・ネッテル――今、スペイン語圏の女性作家が目覚ましい躍進を遂げている。作家によっては三十か国以上で翻訳され、世界中で好評を博すなど、現代文芸シーンにおける一大ブームとなっている。中でも、社会的なテーマを織り込みながら、現実と非現実の境界を揺るがす不安や恐怖を描いた作品群である〈スパニッシュ・ホラー文芸〉は、特に高く評価され、全米図書賞などの著名な賞の候補にも作品が上がるなど、今、最も注目すべき熱い文芸ジャンルの一つである。本書の著者マリアーナ・エンリケスは、〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉と称され数々の賛辞を受ける、現代アルゼンチン文学の頂点に君臨する作家である。
【2021年度国際ブッカー賞最終候補作】
LOS PELIGROS DE FUMAR EN LA CAMA, Mariana Enriquez, 2009
著者紹介
マリアーナ・エンリケス (マリアーナ・エンリケス)
Mariana Enriquez
作家・ジャーナリスト。1973年ブエノスアイレス生まれ。ラ・プラタ大学卒業後、1995年に長篇『下りるのは最悪』でデビュー。若者のリアルを描いた長篇で評価を高めたのち、ホラー短篇集『寝煙草の危険』(2009年)、『わたしたちが火の中で失くしたもの』(2016年)で、国際的に批評面・商業面で大成功を収めた。作品は20か国語以上に訳されており、『寝煙草の危険』の英訳は、2021年度国際ブッカー賞最終候補にも選出。ノーベル賞作家カズオ・イシグロからも絶賛された。ノンフィクションや伝記の分野でも活躍。2019年刊行の長篇『夜のこちら側』は、同年のエラルデ賞とスペイン批評家賞、翌年のセルシウス賞を受賞。ゴシカルな超自然的モチーフを用いて、現実の恐怖や不安を鮮烈に生々しくあぶりだす作風から、〈アルゼンチンのホラー・プリンセス〉〈文学界のロック・スター〉と称され、現代スペイン語圏作家の中でも、国際的に最も高い評価を受ける一人。
宮﨑真紀 (ミヤザキマキ)
スペイン語圏文学・英米文学翻訳家。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業。近年の主な訳書に、エルビラ・ナバロ『兎の島』、マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』(ともに国書刊行会)、マネル・ロウレイロ『生贄の門』(新潮社)、ポー/ラヴクラフト/ギルマン他『怖い家』(エクスナレッジ)、フェリクス・J・パルマ『怪物のゲーム』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、トーマス・フィッシャー『いのちの選別はどうして起こるのか ER緊急救命室から見たアメリカ』(亜紀書房)、ガブリ・ローデナス『おばあちゃん、青い自転車で世界に出逢う』(小学館)、グウェン・アズヘッド/アイリーン・ホーン『そして、「悪魔」が語りだす 司法精神科医が出会った狂気と共感の物語』(海と月社)などがある。
目次
ちっちゃな天使を掘り返す
湧水池の聖母
ショッピングカート
井戸
哀しみの大通り
展望塔
どこにあるの、心臓
肉
誕生会でも洗礼式でもなく
戻ってくる子供たち
寝煙草の危険
わたしたちが死者と話していたとき
訳者あとがき