書籍詳細
ロマン
新装版
ロマン
- 発売日
- 2023/02/24
- 判型
- 四六変型判
- ISBN
- 978-4-336-07461-4
- ページ数
- 808頁
定価 5,940円(本体価格5,400円)
内容紹介
【国書刊行会 創業50周年記念復刊】
《現代ロシア文学のモンスター》ソローキンの傑作長編が復活!!
〈彼女が目を上げ、二人の目は出会った。「どうか教えて下さい」彼女の視線に胸の内に熱い波がわきたち、思わず身が震えるのを感じながら、ロマンは言った。「教えて……」彼が繰り返すと、彼女はすべてを悟ってまた目を外した。その頬がさっと赤く染まった。「ああ、なんと早く!」ロマンの頭にそんな思いがよぎった……〉
優秀な弁護士としての首都での暮らしにピリオドをうった青年ロマンは、画家として第二の人生を歩むために、故郷の村クルトイ・ヤールへと戻ることにした。旧知の友や親類に囲まれた素晴らしく愉快な日々。都会では忘れていた人間としての生活に、彼は大きな喜びを感じる。そして、やがて彼は運命の女性にめぐり会う……
「現代文学のモンスター」の異名をとる作者が、ツルゲーネフ、チェーホフ、ゴーゴリといった十九世紀ロシア文学の精髄を戯画化しながら描く、衝撃のスプラッター・ノヴェル。
「創造的破壊とはこのことか。
文学界きってのデストロイヤーが小説《ロマン》をぶっ壊し、フィクションの未来を切り拓く衝撃的な大傑作」
――豊崎由美(書評家)
◎装幀=松本久木(松本工房)
Роман, 1994
*本書は、1998年に小社より刊行した『ロマン』Ⅰ・Ⅱを合本し、若干の改訂を行った上で、新装版として刊行したものです。
著者紹介
ウラジーミル・ソローキン (ウラジーミルソローキン)
Владимир Сорокин
1955年、ロシア生まれ。もともとブックデザイナー・画家だったが、1970年代後半からイリヤ・カバコフらのコンセプチュアリズム芸術に関わるようになる。1985年『行列』をパリで発表し作家デビュー。以後、『短編集』(1992)、『ダッハウの一月』(1992)、『ノルマ』(1994)などを次々に発表。実験的かつ過激な作風で、〈現代文学のモンスター〉の異名を取り、最もスキャンダラスな作家として本国でも注目を浴びる。1994年に『ロマン』を刊行した後も、『マリーナの三十番目の恋』(1995)、『青い脂』(1999)、《氷三部作》(2002~05)、『親衛隊士の日』(2006)、『吹雪』(2010)、『テルリア』(2013)、『マナラガ』(2017)、『ドクトル・ガーリン』(2021)、『女性たち』(2022)など、小説・戯曲・映画シナリオなどを旺盛に発表。2010年『氷』でゴーリキー賞受賞。近年ではウクライナ情勢に関する政治的発言でも、大いに注目を集める。
望月哲男 (モチヅキテツオ)
1951年静岡県生まれ。ロシア文学者、翻訳家。東京大学大学院博士課程単位取得退学。中央学院大学現代教養学部教授、北海道大学名誉教授。著書に『ドストエフスキー・カフェ 現代ロシアの文学風景』(東洋書店)、『現代ロシア文化』(共著、国書刊行会)、『名場面でたどる「罪と罰」』(NHK出版)、『ロシア文化事典』(共編、丸善出版)ほか。訳書に、ウラジーミル・ソローキン『ロマン』(国書刊行会)、『青い脂』(共訳、河出文庫)、ミハイル・バフチン『ドストエフスキーの詩学』(共訳、ちくま学芸文庫)、トルストイ『アンナ・カレーニナ』(全4巻)『戦争と平和』(全6巻)『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』、プーシキン『スペードのクイーン/ベールキン物語』、ドストエフスキー『死の家の記録』(いずれも光文社古典新訳文庫)、ドストエフスキー『白痴』(全3巻、河出文庫)など。
目次
ロマン
第一部
第二部
解説
新装版 訳者あとがき
ソローキンの主要作品と邦語での関連文献(旧版より増補改訂)