国書刊行会

内容紹介

日本のインテリジェンス・仲小路彰は、1953年、朝鮮戦争勃発に予見されたロシアの世界戦略を読み解き、比類なき洞察力で、日本が取るべき未来戦略を示した。
本書は、地球主義（グローバリズム）研究の成果として1953年（昭和28）12月に謄写版印刷で60部発行、政府・警察関係等の「特定の方々」に配布され非売品であった。全14篇の構成で、朝鮮戦争を「世界終末戦争・第三次世界大戦――世界総力戦」の始まりと位置づけ、「次期大戦は文明破壊戦争」という視点で究極の防衛を論じた大著である。同時期に著述され、今回、同時発刊の『日本防衛論――第三次世界大戦をいかに克服するか』と好一対を成している。
東西冷戦の真っ只中で書かれた先見的対ロシア論であり、「新冷戦」時代といわれる今日、軍事関係研究者はもとより、「国際関係未来論・日本防衛未来論」研究者の必読文献である。

「日本はアジアとの深い歴史的なつながりを直視し、その中から新しい文明を建設しなければならない。実質的には軍事力をしっかり築いていくことが最善である……占領中につくられたマッカーサー憲法を、日本の正しい歴史と伝統に立つ自主憲法に改正することもなされるべきだろう」

著者紹介

仲小路彰 （ナカショウジアキラ）

明治34年東京生まれ。旧制五高、東京帝国大学哲学科卒。昭和12年から「世界史話大成」「世界興廃大戦史」などの大著に取り組む。戦後著書はＧＨＱに没収され一時公職を追放される。間もなく地球主義、未来学という概念を提唱。「ロシア大革命史」「未来学原論」などの大著を刊行し、山中湖村に隠棲しつつも戦後の外交に隠然たる影響を与えた。

目次

序　世界終末戦争における最後の勝利
第一篇　世界総力戦史論
　第一章　地球戦争の文明史的本質
　第二章　地球戦争とアジアの運命
第二篇　世界総力戦戦略
　第一章　ソビエト世界戦略の根本問題
　第二章　アメリカ世界戦略の方向
　第三章　第三次大戦の戦略的様相
　第四章　第三次大戦はいかに戦われるか
第三篇　広域防衛論
　第一章　太平洋計画への主体的行動
　第二章　太平洋建設への創造的構想
第四篇　アジア太平洋兵要地政学
　第一章　世界危機とアジアの歴史的現実
　第二章　第三次大戦とアジア太平洋の覚醒
第五篇　世界心理戦学
　第一章　末期的ヒューマニズムの克服
　第二章　米ソの心理作戦
第六篇　超新兵器戦略論
　第一章　水素爆弾は人類に何をもたらすか
　第二章　原子爆弾と未来戦
第七篇　日本兵学
　第一章　世界危機に対する日本の行動原理
第八篇　東洋兵学
　第一章　東洋兵学における根本思想
第九篇　ソビエト戦略論
　第一章　世界戦略の現段階への予見
　第二章　レイモンドの“ソビエト戦力論”
　第三章　ソビエトの世界戦略
第一〇篇　毛沢東戦略論
　第一章　中共建設の実態
　第二章　スターリンの後継者毛沢東
第一一篇　列強軍事財政学
　第一章　アメリカの軍事政策
第一二篇　列強戦争経済論
　第一章　二つの世界経済戦略計画の対比
　第二章　「長期抗争のための戦力」
　第三章　ネスチェロフ計画
第一三篇　防衛国民組織論
　第一章　日本の歴史的自覚
　第二章　アジア義勇軍と日本の自衛力
第一四篇　日本防衛組織要綱
　第一章　日本の国連的形態はいかに創造されるか
　第二章　日本の根源的自覚について
　第三章　世界終末戦争と日本防衛の地球戦略的本質
　第四章　アメリカの水爆戦略と日本の自衛