書籍詳細
ヒカクシュウキョウガク
比較宗教学
ひとつの歴史/物語
- 発売日
- 2023/12/22
- 判型
- A5判
- ISBN
- 978-4-336-07119-4
- ページ数
- 596頁
定価 7,480円(本体価格6,800円)
内容紹介
人はなぜ宗教を比較するのか
1970〜80年代——
宗教研究が国際的共通言語になった時代。
比較宗教という人間の営みをめぐって
「学問史」というかつてない切り口で一石を投じた画期的なる著作。
古代ギリシアから19世紀までの各時代における比較宗教(第一章)、
19世紀英国の文化的背景とマックス・ミュラー(第二章)、
タイラー、ラング、マレットら19世紀英国の民族学(第三章)、
ロバートソン・スミス、デュルケームらのトーテミズム論(第四章)、
ジェイムズほか19世紀末から20世紀初頭にかけての心理学(第五章)、
アカデミズムにおける宗教研究の定着(第六章)、
ゼーデルブロム、オットー、ハイラー、ベイリーら神学者における宗教理解(第七章)、
マリノフスキ、シュミット、ボアズら民族学・人類学における宗教理解(第八章)、
フロイト、ユング、エリアーデらの広義の心理学(第九章)、
ファン・デル・レーウをはじめとした宗教現象学(第十章)、
宗教間対話との関係(第十一章)、
宗教研究の国際的ネットワーク(第十二章)、
1970〜80年代の研究状況、「比較宗教学」と「宗教研究」という名称(第十三章)と、
神学、歴史学、心理学、社会学、人類学の動向に目を配りながら、
近代における諸展開を跡付ける。
これら紡ぎ出された「比較宗教学」という「ひとつの物語」は、
宗教研究の来し方を回顧し、行く末を展望する。
宗教研究史理解に必須の一冊。
著者紹介
エリック・J・シャープ (エリック・ジェイ・シャープ)
Eric John Sharpe 1933-2000
1933年イングランド・ランカスター生まれ。マンチェスター大学でS・G・F・ブランドンから比較宗教学を学んだのち、スウェーデンのウプサラ大学神学部に留学し、Dr. theol.取得。1966年マンチェスター大学、1970年ランカスター大学に着任、アメリカとカナダの大学でも客員教員を務める。ブランドンの死後、1971年から1975年まで国際宗教史学協会(IAHR)の事務局長代理。1977年シドニー大学に新設された宗教学講座の教授に就任。インドおよびヒンドゥー教について、キリスト教宣教と西洋における受容の観点から研究する一方、比較宗教学・宗教研究の方法論に強い関心を持ち続けた。主著として『比較宗教学』『宇宙的ギーター』『宗教を理解する』など。
久保田浩 (クボタヒロシ)
1965年島根県生まれ。2003年ドイツ連邦共和国テュービンゲン大学にてDr. phil. (Religionswissenschaft) 取得。明治学院大学国際学部教授。主な著書にReligionswissenschaftliche Religiosität und Religionsgründung, Frankfurt am Main、Religion and National Identity in the Japanese Context, Münster(共編著)、The Study of Religion under the Impact of Fascism, Leiden(共著)、『宗教とファシズム』(共著、水声社)など。
江川純一 (エガワジュンイチ)
1974年福井県生まれ。2008年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。明治学院大学国際学部付属研究所研究員、桐朋学園大学非常勤講師。著書に『イタリア宗教史学の誕生――ペッタッツォーニの宗教思想とその歴史的背景』(勁草書房)、翻訳書にマルセル・モース『贈与論』(共訳、ちくま学芸文庫)。
シュルーター智子 (シュルータートモコ)
1974年岩手県生まれ。2015年立教大学大学院キリスト教学研究科博士課程後期課程満期退学。博士(文学)。北海道大学高等教育推進機構特任助教。著書に『宗教科にみる〈他者〉表象――ドイツにおける宗派混成学校の登場とバイエルン州効率ギムナジウム宗教科指導要領の分析』(晃洋書房)。
シュルーター智子 (シュルータートモコ)
1974年岩手県生まれ。2015年立教大学大学院キリスト教学研究科博士課程後期課程満期退学。博士(文学)。北海道大学高等教育推進機構特任助教。著書に『宗教科にみる〈他者〉表象――ドイツにおける宗派混成学校の登場とバイエルン州効率ギムナジウム宗教科指導要領の分析』(晃洋書房)。
藁科智恵 (ワラシナチエ)
1983年静岡県生まれ。2016年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(学術)。日本大学国際関係学部助教。著書に『ルドルフ・オットー「聖なるもの」と世紀転換期ドイツ――信仰と近代学問の相克』(晃洋書房)。
渡邉頼陽 (ワタナベライヒ)
1980年東京都生まれ。2019年一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。
小藤朋保 (コフジトモヤス)
1988年埼玉県生まれ。2018年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。
目次
初版への序文
第二版への序文
第一章 比較宗教学の先駆者たち
第二章 「ひとつしか知らない者は、何も知らない」
第三章「ダーウィニズムがそれを可能にする」
第四章 トーテミズムと呪術
第五章 宗教的経験の諸相あれこれ
第六章 学問的な承認を求めて
第七章 比較可能な宗教、絶対的な宗教
第八章 文化と歴史
第九章 宗教と無意識
第十章 宗教現象学
第十一章 宗教間の対話に向けて?
第十二章 二十年間にわたる国際的な論争―一九五〇―一九七〇年
第十三章 比較宗教学から宗教研究へ
原註
解題 シュルーター智子
解説 久保田浩、江川純一
あとがき
索引/参考文献