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書籍詳細

ジキシンカゲリュウノケンキュウ

直心影流の研究

軽米克尊

発売日
2020/12/23
判型
A5判
ISBN
978-4-336-07079-1
ページ数
378頁

定価 6,600円(本体価格6,000円)

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内容紹介

直心影流とは剣術の流派の一つ。三大流派といわれる新陰流の流れをくみ、江戸時代中期にこの流派から出た長沼四郎左衛門国郷が防具や竹刀などを創案し、それまでの形を中心とした稽古に対し直接打ちあう試合中心の稽古を考案したことからいまにつながる剣道の祖のひとつとされている。幕末には講武所の剣聖と呼ばれた男谷下総守信友、島田虎之助、撃剣興行の榊原鍵吉といった名人が輩出したことで知られ、勝海舟もこの流派を学んだ(勝海舟は上記の剣聖・男谷の従兄弟であり、勝の父・小吉も同流を学んだ)。まさに幕末から明治にかけて一世を風靡した流派といえる。しかし、これほどまでに有名な流派でありながら直心影流についての研究は少なく、その全容は明らかにされていない。本書はこの謎に満ちた流派研究の決定版である。

著者紹介

軽米克尊 (カルコメヨシタカ)

1985年、千葉県出身。現在、天理大学体育学部准教授。専門は武道史、剣道史。埼玉大学教育学部卒。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程修了、博士(体育科学博士)。「直心影流の法定の形に関する一考察」で平成25年度身体運動文化学会優秀論文賞を受賞。また「近世剣術の剣術観に関する一考察 」で平成27年度日本武道学会優秀論文賞を受賞。ほか主な論文に「近世剣術の心身関係に関する研究」「直心影流における流祖の名前をめぐる論争について」など。

目次

序章

第一章 直心影流の成立過程と分派
 第一節 直心影流の伝系と伝承 
  第一項 直心影流の伝系 
  第二項 直心影流の伝書にみられる伝承 
 第二節 直心影流の伝系・伝承における問題点 
  第一項 流名と流祖の改変 
  第二項 後世における神話の付加 
 第三節 新陰流から真新陰流までの系譜 
  第一項 形の名称からみる流派の系譜 
  第二項 新陰流の創始からみる成立過程 
 第四節 直心流から直心影流の成立までの系譜 
  第一項 神谷伝心斎による直心流の創始 
  第二項 直心正統流から直心影流の成立 
 第五節 分派の発生と伝播 
  第一項 長沼四郎左衛門国郷以降の伝系 
  第二項 長沼派 
  第三項 藤川派 
  第四項 男谷派
 結節

第二章 法定とその修練過程
 第一節 法定の特徴 
  第一項 法定について 
  第二項 形としての法定の特徴 
 第二節 法定の修行過程 
  第一項 流派における修行過程の全容 
  第二項 法定の修行過程 
 第三節 初学の修行 
  第一項 太刀筋の矯正 
  第二項 身体の矯正 
 第四節 中学の修行 
  第一項 非切 
  第二項 仕懸
 結節 

第三章 十之形としない打ち込み稽古
 第一節 十之形 
  第一項 十之形について 
  第二項 十之形の特徴 
 第二節 直心影流におけるしない打ち込み稽古の導入と特徴 
  第一項 直心影流の伝系におけるしない打ち込み稽古の導入 
  第二項 他流からみた直心影流の特徴 
 第三節 直心影流の他流試合 
  第一項 『大禾一件』にみる鏡新明智流との試合 
  第二項 藤川弥司郎右衛門近義の試合 
  第三項 『加藤田平八郎東遊日記抄』にみる男谷派の試合 
 結節

第四章 分派による修練形態の分化と対立
 第一節 長沼派 
  第一項 長沼派のしない打ち込み稽古 
  第二項 長沼派の形稽古 
  第三項 長沼派の剣術観 
 第二節 藤川派 
  第一項 藤川派のしない打ち込み稽古 
  第二項 藤川派の形稽古 
  第三項 藤川派の剣術観 
 第三節 男谷派 
  第一項 男谷派のしない打ち込み稽古 
  第二項 男谷派の形稽古 
  第三項 男谷派の剣術観 
 結節

結章

注 
参考引用文献 
あとがき
索引