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書籍詳細

ドイツ・ロマンシュギトゲイジュツカショウセツ

ドイツ・ロマン主義と〈芸術家小説〉

ティーク『シュテルンバルト』の成立と性質

片山耕二郎

発売日
2020/03/24
判型
A5判
ISBN
978-4-336-06650-3
ページ数
416頁

定価 6,380円(本体価格5,800円)

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内容紹介

〈芸術家小説〉とは何か。その元祖、また典型と言われるドイツ・ロマン派の作家ルートヴィヒ・ティーク『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』の分析を通じて、「埋もれた作家」ティークとその作品の重要性を明らかにする。芸術家と社会の関係を巡る、怜悧で清新な新研究。

著者紹介

片山耕二郎 (カタヤマコウジロウ)

東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、共立女子大学文芸学部専任講師。専門はドイツを中心とした西洋近代文学。著書に『ドイツ・ロマン主義と〈芸術家小説〉——ティーク『シュテルンバルト』の成立と性質』(国書刊行会)がある。

目次

はじめに

序章 ルートヴィヒ・ティークの略歴に代えて 
 1、ロマン主義を代表し、かつ関心を持たれない作家ティーク
 2、小説家以外としてのティーク
 3、小説家としてのティーク
第1章 芸術家小説史における位置づけ 
 1、本書における芸術家小説の定義
 2、芸術家小説の「元祖」
 3、『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』の評価
 4、E・T・A・ホフマンと狂気の芸術家、Künstlerromanと異なる枠組み
 5、ティークに続くKünstlerromanの作家たち、そして芸術家小説の展開

第2章 ヴァッケンローダーとの共作
 1、ヴァッケンローダーの略歴
 2、ヴァッケンローダーとティークの友情
 3、ヴァッケンローダーと「ロマン主義」
 4、『真情の披瀝』と『芸術に関する幻想』の発生と内容の検討
  4―1 ヴァッケンローダーのテクストと芸術観
  4―1―1 文体
  4―1―2 ヴァザーリらによる伝記の影響
  4―1―3 ラファエロ賛美
  4―1―4 デューラー礼讃
  4―1―5 ダ・ヴィンチとミケランジェロの軽視
  4―1―6 狂気と信仰
  4―1―7 神の前の芸術
  4―2 ティークの関与
  4―3 「ヨゼフ・ベルクリンガーの注目すべき音楽的生涯」
 5、『シュテルンバルト』におけるヴァッケンローダーの役割

第3章 『シュテルンバルト』までのティークの活動
 1、教養人としてのティーク
  1―1 外国語教育と読書
  1―2 演劇
  1―3 その他の芸術
 2、ティークの修業時代と初期作品の背景
  2―1 ランバッハとの共作とゴシック小説
  2―2 ニコライと啓蒙主義、風刺小説
 3、『シュテルンバルト』と初期作品の類似と相違
  3―1 感傷性
  3―2 小説内の詩
  3―3 教えを受け成長する若者
  3―4 知られざ陰謀、宿命
  3―5 遍歴とイタリアの解放感
  3―6 書簡と友情
  3―7 恋愛
  3―8 幻想・メルヒェン
  3―9 自然描写
  3―10 ニヒリズム・メタフィクション性

第4章 芸術家と社会
 1、芸術家小説と社会
 2、ティークとヴァッケンローダーの共作における芸術家と社会
 3、ティークの後期小説における芸術家と社会
 4、『シュテルンバルト』における芸術家と社会
  4―1 芸術家と漠然とした社会/世界
  4―2 社会と社交
  4―3 商工業と都市
  4―4 職人と有用性
  4―5 貴族と庶民――芸術家の自尊心
  4―6 自然・農業・子供・宗教――素朴な共感

第5章 狂気の芸術家――あるいは芸術家の感じやすさ
 1、狂気の芸術家を扱った小説と『シュテルンバルト』の位置付け
 2、『シュテルンバルト』における芸術家の狂気
  2―1 山上の狂気の芸術家アンセルム
  2―2 主人公の狂気への接近
  2―3 ルーカスによる狂気の否定とデューラーの価値観
  2―4 イタリアにおけるコジモとカミッロの狂気

第6章 現実の美と理想の美
 1、ティーク以外の作家
  1―1 カルデロン『不名誉の画家』
  1―2 ホフマン「G市のイエズス会教会」「アーサー王宮」
  1―3 バルザック「知られざる傑作」
 2、『シュテルンバルト』と関連作品における理想の美と現実の美
  2―1 『真情の披瀝』の「ラファエロの幻視」におけるラファエロの理想美
  2―2 『真情の披瀝』の「アントニオがヤコボに宛てた手紙」
  2―3 『芸術に関する幻想』の「イタリアの書物から翻訳した物語」
  2―4 マリー以外の女性の絵画とシュテルンバルトの態度
  2―5 マリーと理想の美
  2―6 葛藤の消滅と物語の終了

終章 『シュテルンバルト』の芸術家小説性 
 1、『シュテルンバルト』の登場人物の役割による分類
 2、作品の駆動力としての登場人物
  2―1 デューラー
  2―2 ゼバスティアン
  2―3 シュテルンバルトの家族
  2―4 マリー
 3、芸術の意味を問いかける登場人物
 4、南北ヨーロッパの芸術の違いを示す登場人物
  4―1 ルーカス・ファン・ライデン
  4―2 ボルツ
  4―3 アンドレア・デル・サルトとルスティチ
 5、芸術論を披露する登場人物
  5―1 カステラーニ
 6、芸術家の遊興性・官能性を表現する登場人物
  6―1 ゲルトルート
  6―2 エンマ
  6―3 レノーレ
 7、遍歴を体現する登場人物
  7―1 フロレスタン
  7―2 ロデリーゴ
  7―3 ルドヴィーコ

【付録1】 『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』各章の出来事一覧
【付録2】 『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』より抜粋訳
 1、デューラーとルーカスの対面と芸術談義(第1部2巻2章)
 2、山上の画家アンセルムとの芸術談義(第2部1巻5章)
 3、評論家カステラーニの芸術論と主人公の《最後の審判》体験(第2部2巻5章)

参考文献 
人名・作品名索引

おわりに