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書籍詳細

タイワンゴデウタエニホンノウタ

台湾語で歌え日本の歌

陳明仁
酒井亨 監訳

発売日
2019/09/19
判型
四六変判
ISBN
978-4-336-06458-5
ページ数
400頁

定価 3,080円(本体価格2,800円)

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内容紹介

北京語に依らない“台湾語”文学の本邦初紹介!

古くからの習俗が残る田園に、因習にしばられながらも
永々たる時の流れに生きる明朗なる人々。
歌え、彼らの口唇には歌を!
少年時代の幸福な記憶と都会の外省人との軋轢、
ときに二二八事件等政治的モチーフが絡みあう。
台湾語文学の旗手による傑作群。

都会のエリート校で外省人にコンプレックスを抱く中学生が、同じ台湾語を話す女教師に憧れる悲恋……(「青春謡」)。
無学ながらも誰よりも敬虔なキリスト教徒のイエス栄さん、みんなが結婚させようと奔走して……(「イエス栄さんの結婚」)。
民衆蜂起の二二八事件、同じ日田舎で起こったのは鶏料理の諍い。それが妙な誤解から、政治的裁判に巻き込まれて……(「二二八事件」)。
小説21篇、詩4篇、戯曲3篇による個人選集。

他民族、他言語の台湾において、7割の母語人口を誇りながら、いち方言として扱われてきた「台湾語」。台湾の公用語は「北京語」であり、国民党政権下では抑圧の対象にあった。1980年代の台湾ナショナリズムの高まりとともに、「台湾語文学」も胎動をはじめる。「台湾」が象徴するものは、新しく、開放的で、躍動的な海洋文化であり、「中国」が象徴するものは、古く、封建的で、硬直化した大陸文化とされた。1990年代に入るとその動きは活発になり、台湾語詩社、台湾語雑誌、台湾語文壇が生まれる。
民衆の物語、口伝の農民の、市井の文学的志向をもっていた。誕生して30年ほどたらずながらも、自分たちの文学として現在進行形で文学の深みを広げつつある。

著者紹介

陳明仁 (チンメイジン)

ちん・めいじん、Tan Beng-jin、タン・ビンジン
台湾語詩人・作家、台湾独立運動家。ペンネームにBabuja A. Sidaia、Asia Jilimpo、懐沙など。1954年台湾中部彰化県二林鎮原斗竹囲仔生まれ。中国文化大学中国文学科卒業、同大学哲学修士。1985年より台湾語による創作を開始。1990年詩作団体「笠詩社」に参加、1991年初めての台湾語詩作団体「蕃薯詩社」結成。1996年台湾語雑誌『台文BONG報』創刊、編集長。2009年台文筆会(台湾語ペンクラブ)創立、理事長。2013年台湾語雑誌『台湾文芸咱的冊』創刊、編集長。主な著書に、詩集『走找流浪的台湾(流浪の台湾を探し求めて)』『流浪記事(流浪の記録)』『陳明仁台語歌詩』、小説集『A-chhun(アーツン)』『抛荒的故事(荒れ果てた村の物語)』等。

酒井亨 (サカイトオル)

1966年石川県金沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、台湾大学法学研究科修士課程修了。共同通信社記者を経て、台湾・新境界文教基金会専門研究員。現在、公立小松大学国際文化交流学部准教授。主な著書に、『台湾入門 増補改訂版』(日中出版)、『日本のアニメはなぜ世界を魅了し続けるのか―アニメ聖地と地方インバウンド論』(ワニブックスPLUS新書)、『この国のかたち2020』(エムディエヌコーポレーション)等。訳書に李筱峯『台湾・クロスロード』(日中出版)、陳明仁『台湾語で歌え日本の歌』(国書刊行会)等。

目次

序文・文学人生を探し求めて
日本語版序文・これまで語れなかったこと

【小説・詩】
大崙の阿太と砂鼊
牛飼い少年の蛙普度
道中に少年時代の記憶を辿る
クソ真面目な水耳おじさん
爪の花
牽尪姨
シアウ徳仔の牛選び
濁水清んで清水濁る
愚直な清仔宝くじ購入で大賞を獲る
入口番と弁士
来惜と罔市の結婚話
純情王宝釧
ヤクザの松さん
十姉妹事件の記録
発おばさんのお見合い話
アーツン
二二八事件
番婆殺人事件
イエス栄さんの結婚
青春謡
菜の花

〈流浪の記録〉風に吹かれるススキ
〈生命の記録〉何もなくても暗闇は残る
〈詩人の記録〉詩人は話をしない
〈田園の記録〉その晩の鐘の音――私の子供のころ

【戯曲】
老人たち
二二八の花嫁――二二八事件五十周年記念作品
夕焼けを待つ日々

解説「台湾語およびその文学の歴史」酒井亨