書籍詳細
カルデロンノゲキゲイジュツ
カルデロンの劇芸術
聖と俗の諸相
- 発売日
- 2019/02/21
- 判型
- A5判
- ISBN
- 978-4-336-06340-3
- ページ数
- 352頁
定価 4,180円(本体価格3,800円)
内容紹介
シェイクスピアを凌駕するほどの技法を披露し、17世紀のバロック演劇に華をそえたカルデロン。広大無辺な想像のキャンヴァスに、聖と俗の劇世界を洗練された筆致で描出し、バロック演劇に特有の鮮やかなコントラストが織りなす百花繚乱の劇空間を創出した、カルデロン独特の劇芸術の神髄に迫る!
著者紹介
佐竹謙一 (サタケケンイチ)
アメリカ・イリノイ大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。南山大学名誉教授。
主な著訳書に、『スペイン黄金世紀の大衆演劇』(三省堂、2001年)、『浮気な国王フェリペ四世の宮廷生活』(岩波書店、2003年)、『概説スペイン文学史』(研究社、2009年)、『スペイン文学案内』(岩波文庫、2013年)、『バロック演劇名作集』(国書刊行会、1994年、共訳)、『スペイン黄金世紀演劇集』(名古屋大学出版会、2003年、共訳)、『ラテンアメリカ現代演劇集』(水声社、2005年)、『カルデロン演劇集』(名古屋大学出版会、2008年)、マンリーケ『父の死に寄せる詩』(『死の舞踏』収録)(岩波文庫、2011年)、エスプロンセーダ『サラマンカの学生 ほか六篇』(岩波文庫、2012年)、ティルソ『セビーリャの色事師 ほか一篇』(岩波文庫、2014年)、『ドン・キホーテ 人生の名言集』(国書刊行会、2016年、共編訳)、モラティン『娘たちの空返事 ほか一篇』(岩波文庫、2018年)などがある。
目次
序章
1 十七世紀のスペイン演劇
1-1 ロペ・デ・ベーガ以前の演劇
1-2 ロペ・デ・ベーガの大衆演劇
1-3 マドリードの芝居事情
1-4 宮廷芝居
1-4-1 旧王宮
1-4-2 ブエン・レティーロ宮
2 カルデロンの劇芸術
2-1 カルデロンの技法
2-2 文学と絵画
2-3 カルデロンとベラスケス
2-4 劇空間に見る絵画的技法
2-5 詩的世界──イメージ、シンボル、メタファー
3 名誉劇──名誉・嫉妬・復讐
3-1 悲劇のかたち
3-2 名誉の悲劇三部作
3-3 名誉のかたち
3-4 セルバンテスの小説空間に見る名誉の扱い
3-5 カルデロンの冷酷非道な名誉療法──名誉は命よりも大事
3-5-1 『密かな恥辱には密かな復讐を』
3-5-2 『不名誉の画家』
3-5-3 『名誉の医師』
4 〈マントと剣〉の喜劇
4-1 喜劇のかたち
4-2 夜の暗闇と秘密の隠れ場所
4-2-1 『淑女「ドゥエンデ」』
4-3 隠匿の妙味
4-3-1 『時には禍も幸いの端(はし)となる』
4-4 性格の異なる姉妹
4-4-1 『緩やかな水流にご用心』──従順な姉と自由奔放な妹
4-4-2 『愛に愚弄は禁物』──才媛と愚女
4-5 『四月と五月の朝』──捻くれた女と身勝手な男
4-6 変装の妙味
4-6-1 『白き手は侮辱にあらず』
5 人生の糸
5-1 運命と自由意志の相克
5-2 『人生は夢』──自由意志の力
5-3 『風の娘』──権力志向と傲慢さの顛末
6 宗教劇──カトリック信仰の強化
6-1 『驚異の魔術師』──改宗の妙味
6-2 『十字架の献身』──神はいかなる罪も赦される
6-3 『不屈の王子』──カトリック信仰の高揚
7 歴史的背景
7-1 歴史を背景とする作品
7-2 『イングランド国教会分裂』
7-3 アメリカ新大陸(インディアス)の話題性
7-3-1 『コパカバーナの黎明(れいめい)』
8 聖体劇
8-1 聖体劇とは
8-2 聖体劇の起源
8-3 聖体劇の終焉
8-4 カルデロンの聖体劇
8-4-1 『世界大劇場』
8-4-2 『人生は夢』
おわりに
参考文献
年譜
作者名・作品名索引