書籍詳細
キンダイニホンチョウコクシ
近代日本彫刻史
- 発売日
- 2018/02/21
- 判型
- A5判
- ISBN
- 978-4-336-06199-7
- ページ数
- 896頁
定価 15,400円(本体価格14,000円)
内容紹介
彫刻という領域を工芸的な造形なども含めて広く考察し、江戸時代から明治期、および昭和戦前・戦中期から戦後期という大きな時代の変化を連続的にとらえる視点を踏襲しつつ、個々の作家や作品についての記述を充実。近代日本彫刻史の通史として先例のない、包括的かつ学術的な書籍。今後の近代日本彫刻史研究における基本文献になるとともに、より広く、日本美術史や西洋の彫刻史を研究するうえでの必須参考文献。
著者紹介
田中修二 (タナカシュウジ)
1968年京都生まれ。大分大学教育学部教授/博士(文学)。1999 年成城大学大学院文学研究科美学・美術史専攻博士課程後期修了。専門は近現代日本美術史、とくに彫刻と京都の絵画。主な著書に、『近代日本最初の彫刻家』(吉川弘文館、1994年)、『彫刻家・新海竹太郎論』(東北出版企画、2002年)、『近代日本彫刻史』(国書刊行会、2018年)、共著に、『海を渡り世紀を超えた竹内栖鳳とその弟子たち』(ロータスプラン、2002年)、『Since Meiji: Perspectives on the Japanese visual arts, 1868-2000』(University of Hawai'i Press、2012年)、主な論文に、「入江波光の法隆寺金堂壁画模写について」、「西山翠嶂と画塾・青甲社」、「京都の日本画と仏教の「空間」」などがある。編著『近代日本彫刻集成』(全3 巻、国書刊行会、2010-2013年)で第26 回倫雅美術奨励賞受賞。
目次
第一章 江戸から明治へ
1 日本彫刻史のつながり
2 彫刻の境界
3 江戸時代の彫刻とは
4 江戸時代の仏像
5 名工、名匠たち
6 西洋彫刻との出会い
7 西洋人にとっての日本と彫刻
コラム①『光雲懐古談』に見る江戸の彫刻
第二章 彫刻のはじまり
1 破壊と形成
2 「像」から「彫刻」へ
3 職人から彫刻家へ
4 工部美術学校の開校
5 工部美術学校の教育と最初の洋風彫刻家たち
6 「彫刻」の成立
7 表現技法の交流
コラム②彫刻と解剖学
第三章 「彫塑」の時代
1 東京美術学校
2 明治二〇年代の展開
3 銅像の時代
4 銅像、仏像、置物、人形
5 「彫刻」と「彫塑」
6 転換期としての明治三〇年代
7 文展へ
コラム③アール・ヌーヴォーと日本彫刻
第四章 文展とロダニズム
1 明治四〇年代におけるそれぞれの世代
2 試みの場としての文展
3 文展の「進歩」
4 彫刻を見る速度と距離
5 「ロダン彫刻入京記」の時間と時代
6 ロダニズムと近代日本彫刻史観
7 再興日本美術院彫刻部の創設
8 第一次世界大戦とロダンの死
コラム④彫刻を支える人たち
第五章 大正期における展開
1 両大戦間期の西洋彫刻
2 帝展、院展、二科展の彫刻
3 発表の場の多様化―東台彫塑会と曠原社など
4 彫刻を語る言葉
5 「古寺巡礼」の時代
6 彫刻家の生活
7 彫刻の普及と「地方」
8 関東大震災以後の彫刻
コラム⑤描く彫刻家
第六章 華やかな活気と戦争への道程
1 昭和期のはじまりと構造社
2 彫刻と建築の新たな関係
3 昭和前期における工芸の展開
4 プロレタリア彫刻の動向と帝展彫刻の位置
5 在野展の興隆
6 近代・清楚・古代―二科会、国画会の彫刻など
7 近代日本彫刻の歴史化
8 「地方」への拡がり
コラム⑥画家と彫刻
第七章 戦争から戦後へ
1 帝展改組と彫刻界
2 戦時下における彫刻の主題
3 遠く離れたものへ―古典主義、植民地、シュルレアリスム
4 抽象とモニュメント
5 戦時下の彫刻の位置
6 戦争と彫刻と敗戦
7 戦後彫刻の出発点
8 平和の象徴としての彫刻
コラム⑦近代日本彫刻とアジア
第八章 戦後彫刻の展開
1 セメントと空と花と
2 在野団体の隆盛と抽象彫刻
3 具象表現の追求とその思想
4 欧米からの影響
5 「近代日本彫刻史」の成立
6 マネキンと怪獣
7 「彫刻」の変貌
コラム⑧木彫表現の拡がり
第九章 現代の彫刻へ
1 ネオ・ダダと読売アンデパンダン展
2 グループ展と団体展
3 画廊の空間
4 彫刻を展示する場所
5 新たな素材、技法、表現への試み
6 彫刻教育の様相
7 「彫刻」への問いかけ
8 彫刻の「環境」―「もの派」の誕生
9 大阪万博とその前後
コラム⑨彫刻の自由──結びにかえて
年表
文献一覧
掲載図版一覧
索引