書籍詳細
ニンギョウツクリ
人形つくり
- 発売日
- 2016/05/25
- 判型
- 四六変型判
- ISBN
- 978-4-336-06058-7
- ページ数
- 386頁
定価 2,640円(本体価格2,400円)
内容紹介
新海外文学シリーズ〈ドーキー・アーカイヴ〉創刊!
知られざる傑作、埋もれた異色作を幻想怪奇・ホラー・ミステリ・SF・自伝・エンターテインメント等ジャンル問わず年代問わず、本邦初訳作品を中心に紹介する新海外文学シリーズ〈ドーキー・アーカイヴ〉全10巻が刊行開始! 責任編集=若島正+横山茂雄
独特のエロティシズムと精緻な文章で綴られた、徹底した被支配関係から生じる恍惚と恐怖……謎の英国作家サーバンによる戦慄の幻想譚を2篇収録。本邦初訳。
田舎屋敷に家庭教師として雇われた女子大生が謎めいた子供たちと過ごす夏休みは、次第に奇怪な様相を帯びていく……古代異教世界が顕現する「リングストーンズ」(1951年)。女子寄宿舎学校を舞台に、少女が人形つくりが趣味の青年と出会い、やがて彼の人形のモデルになる。しかし、その青年の真の正体とは……服従と束縛の快楽が横溢する怪異譚「人形つくり」(1953年)。繊細で喚起力の強い文体を通じて、徹底した被支配関係から生じる魅惑と恐怖が織りなす荒々しいマゾヒズム的快感が描写される、知られざる英国作家サーバンによる幻想中篇を2篇収録。
〈サーバンは自分の生きる社会、時代の規範的、標準的な性愛の概念には強い違和感を覚えていたに違いない。彼は「愛」という西欧社会の発明を信じていないのだろう。そして、それこそ彼が異界を舞台にした小説を書かずにはいられなかった理由のひとつかと思われる。(……)本書に収録したふたつの中篇は、巧繊に織りなされたペルシャ絨毯のように魅惑的な超自然譚であり、日本ではこれまで知られることのなかった幻想小説の佳什として楽しんでいただければ幸いである〉(横山茂雄:本書解説より)
〈ドーキー・アーカイヴ〉全10巻 責任編集=若島正+横山茂雄
虚構の男 L.P.Davies The Artificial Man L・P・デイヴィス/矢口誠訳 定価:本体2200円+税
人形つくり Sarban The Doll Maker サーバン/館野浩美訳
鳥の巣 Shirley Jackson The Bird’s Nest シャーリイ・ジャクスン/北川依子訳 定価:本体2400円+税
誰がスティーヴィ・クライを造ったのか? Michael Bishop Who Made Stevie Crye? マイクル・ビショップ/小野田和子訳 定価:本体2600円+税
さらば、シェヘラザード Donald E. Westlake Adios, Scheherazade ドナルド・E・ウェストレイク/矢口誠訳【次回配本】
アフター・クロード Iris Owens After Claude アイリス・オーウェンズ/渡辺佐智江訳
煙をあげる脚 John Metcalf Selected Stories ジョン・メトカーフ/横山茂雄他訳
イワシの缶詰の謎 Stefan Themerson The Mystery of the Sardine ステファン・テメルソン/大久保譲訳
救出の試み Robert Aickman The Attempted Rescue ロバート・エイクマン/今本渉訳
ライオンの場所 Charles Williams The Place of the Lion チャールズ・ウィリアムズ/横山茂雄訳
著者紹介
サーバン (サーバン)
館野浩美 (タテノヒロミ)
一九七二年神奈川県生まれ。翻訳者。自身のウェブサイト影青書房(http://far-blue.com/)でフィオナ・マクラウド、ケネス・モリス等のケルト幻想文学の翻訳を公開中。訳書にサーバン『人形つくり』(国書刊行会)、共訳書にケネス・モリス『ダフォディルの花』、ジーン・ウルフ『ピース』(以上国書刊行会)がある。
若島正 (ワカシマタダシ)
1952年生まれ。京都大学大学院修了。京都大学大学院文学研究科教授。著書に『乱視読者の英米短篇講義』(研究社、第55回読売文学賞随筆・紀行賞受賞)、『乱視読者の帰還』(みすず書房、平成14年度本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)、訳書にナボコフ『ロリータ』(新潮社)、『透明な対象』(国書刊行会、共訳)、スタージョン『海を失った男』(晶文社、編訳)など。
横山茂雄 (ヨコヤマシゲオ)
1954年大阪府生まれ。別名:稲生平太郎・法水金太郎。京都大学文学部卒、博士(文学)。英文学者、作家。横山名義の著書に『聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム』(書肆風の薔薇/増補版:創元社)『異形のテクスト 英国 ロマンティック・ノヴェルの系譜』(国書刊行会)、『神の聖なる天使たち ジョン・ディーの精霊召喚一五八一~一六〇七』(研究社)、訳書にマーヴィン・ピーク『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』、ヒレア・ベロック『子供のための教訓詩集』、ジョン・メトカーフ『死者の饗宴』(北川依子と共訳)、ウィリアム・フライアー・ハーヴィー『五本指のけだもの』(いずれも国書刊行会)、編著に『遠野物語の周辺』(国書刊行会)、『危ない食卓 十九世紀イギリス文学にみる食と毒』(新人物往来社)など。稲生名義の著書に『何かが空を飛んでいる』(新人物往来社/定本版:国書刊行会)、『アクアリウムの夜』(書肆風の薔薇/角川スニーカー文庫)『アムネジア』(角川書店)、『映画の生体解剖』(高橋洋と共著、洋泉社)、『オカルトがなぜ悪い!』(井村宏次・吉永進一と共著、ビイング・ネット・プレス)など。