書籍詳細
ゴトウメイセイコレクション5ヒョウロンエッセイ
後藤明生コレクション5 評論・エッセイ
- 発売日
- 2017/10/20
- 判型
- 四六変型判
- ISBN
- 978-4-336-06055-6
- ページ数
- 448頁
定価 3,300円(本体価格3,000円)
内容紹介
円と楕円、ゴーゴリとロシア、雨月物語、千円札文学論、アミダクジ式文学論、日本作家論、団地、自分史、読書遍歴――小説との境目を自在に往復して織りなされる思考のアラベスク。昭和40年代から平成年代まで、約30年のあいだに書かれ、後藤明生のエッセンスが凝縮された、50篇を越える評論・エッセイを厳選してこの一冊に収録。詳細な年譜付き。
月報=高橋源一郎・斎藤美奈子・円城塔
装画=タダジュン
装訂=川名潤(川名潤装丁事務所)
著者紹介
後藤明生 (ゴトウメイセイ)
1932年、旧朝鮮咸鏡南道永興郡永興邑(現在の朝鮮民主主義人民共和国)で生まれる。1946年、38度線を越境、福岡県に引き揚げる。1953年、早稲田大学露文科入学。1955年、「赤と黒の記憶」が第4回全国学生小説コンクール入選。大学卒業後、博報堂を経て平凡出版(現マガジンハウス)入社。1962年、「関係」が第1回文芸賞中短篇部門の佳作となる。1968年、平凡出版を退社し、小説家専業に。1989年、近畿大学文芸学部教授、1993年に学部長となる。1977年に『夢かたり』で平林たい子文学賞、1981年に『吉野大夫』で谷崎潤一郎賞、1982年に『笑いの方法―あるいはニコライ・ゴーゴリ』で池田健太郎賞、1990年に『首塚の上のアドバルーン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。
いとうせいこう (イトウセイコウ)
作家・クリエイター。1961年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て、音楽や舞台、テレビなどの分野でも活躍。1988年『ノーライフキング』で作家デビュー。1999年『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞、2013年『想像ラジオ』で第35回野間文芸新人賞、第2回静岡書店大賞(小説部門)を受賞。
奥泉光 (オクイズミヒカル)
1956年山形県生まれ。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業。同大学院博士前期課程修了。1986年、すばる文学賞の最終候補作『地の鳥 天の魚群』を「すばる」に発表しデビュー。主な著作に『ノヴァーリスの引用』(第15回野間文芸新人賞)、『石の来歴』(表題作で第110回芥川龍之介賞)、『神器―軍艦「橿原」殺人事件』(第62回野間文芸賞)、『東京自叙伝』(第50回谷崎潤一郎賞)などがある。
島田雅彦 (シマダマサヒコ)
1961年東京都生まれ、川崎育ち。東京外国語大学ロシア語学科在学中の1983年『優しいサヨクのための嬉遊曲』が芥川賞候補となり、作家デビュー。1984年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、1992年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、2008年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2010年下半期より芥川賞選考委員を務める。現在、法政大学国際文化学部教授。
渡部直己 (ワタナベナオミ)
1952年東京都生まれ。現在、早稲田大学文学学術院教授。主な著書に、『中上健次論』、『不敬文学論序説』、『日本小説技術史』『日本批評大全』などがある。
目次
【昭和40年代】
団地の中の花
『私的生活』後記
『笑い地獄』後記
不精者宣言
読書遍歴
上京前後
『何?』後記
二歳の距離
円と楕円の世界
〈無名氏〉の話――『書かれない報告』後記――
日本語とわたし
〈無名氏〉の論理
〈時代〉との出遇い
『司馬遷』と失業の思い出
『関係』前後
流人島と女護ガ島
散文の問題
男の十字架
ロシアの雪
〔『疑問符で終る話』〕後記
〔『四十歳のオブローモフ』〕後記
朝鮮経験者の感想
友よ、許せ
【昭和50年代】
「矛盾」
他者の世界
菊花の約
吉備津の釜
〔『めぐり逢い』〕後記
〔『夢かたり』〕後記
内向の世代
嘘のような話
三つの故郷
〔『行き帰り』〕後記
愚行の自覚
〔『虎島』〕後記
小説の構造
小説の場所
〔『嘘のような日常』〕後記
〔『八月/愚者の時間』〕後記
文体―接続詞とは何か――宇野浩二『蔵の中』
『槿』を読む 〈亡者〉としての男女
「九等官」をいかに書くか
アパートの中の往復書簡
【昭和60年代】
「ノアの方舟」のみなし児たち
東京の“奇跡”
奇妙な驚き
誕生日の赤飯
【平成年代】
分裂した楕円
〔『スケープゴート』〕後記
菊池寛文学の普遍性
講義録より――二葉亭四迷『浮雲』
小説の快楽
“ブンガク”としての後藤明生(市川真人)
後藤明生年譜