国書刊行会

買物カゴを見る

書籍詳細

江戸怪談文芸名作選 2

ゼンキヨミホンカイダンシュウ

前期読本怪談集

飯倉洋一 校訂代表
有澤知世浜田泰彦篗田将樹 校訂

発売日
2017/07/19
判型
四六判
ISBN
978-4-336-06036-5
ページ数
400頁

定価 5,940円(本体価格5,400円)

※在庫あり

オンライン書店で購入する

  • amazon.co.jp
  • セブンネットショッピング
  • 楽天ブックス
  • 紀伊国屋書店
  • e-hon
  • Honya Club

店頭在庫を確認する

内容紹介

東雅夫氏、ロバート キャンベル氏推薦! 
妖しくも豊沃な江戸の怪談文芸の世界へと誘う選集。

第二巻は前期読本時代の怪奇譚の名品四篇を集成。

近年、近世読本の始祖・都賀庭鐘作という説が再浮上する奇談集の佳品『垣根草』。
怪異に託し志の是非を述べた、高踏的内容を有する怪異譚『新斎夜語』正篇・続篇。
水谷不倒をして「幻の奇談中の逸品」と言わしめた、本文の紹介が長らく俟たれた傑作『唐土の吉野』。

奥妙にして高邁な、無上の寓言論的怪異譚!


***作品別 各話目次***

『垣根草』/草官散人(都賀庭鐘作説有) 明和7年(1770)刊
校訂=有澤知世
<全13話>
 ・深草の翁相字の術虵妖を知る事
 ・伊藤帯刀中将重衡の姫と冥婚の事
 ・塩飽正連荒田の祠を壊事
 ・在原業平文海に託して冤を訴ふる事
 ・覚明義仲を辞して石山に隠るる事
 ・鞆晴宗夫婦再生の縁をむすぶ事
 ・宇野六郎廃寺の怪に逢ふ事
 ・小桜奇縁によつて貴子をうむ事
 ・山村が子孫九世同居忍の字を守る事
 ・藪夢庵鍼砭の妙遂に道を得たる事
 ・松村兵庫古井の妖鏡を得たる事
 ・千載の斑狐一条太閤を試むる事
 ・環人見春澄を激して家を興さしむ事


『新斎夜語』/梅朧館主人(三橋成烈)  安永4年(1775)刊
校訂=浜田泰彦
<全9話>
 ・北野の社僧昭君の詩を難ず
 ・渡辺満綱古今の射法を弁ず
 ・小西氏の処女天遇の嫁をなす
 ・売茶翁数奇の正道を語る
 ・岐阜の老尼出離の縁を明かす
 ・戸田茂睡つれづれ草を読む
 ・室の妓女松風が任侠幸いを迎ふ
 ・嵯峨の隠士三光院殿を詰る
 ・鍛冶国助家業に託して士を諷ず


『続新斎夜語』/梅朧館主人(三橋成烈) 安永8年(1779)刊
校訂=篗田将樹
<全11話>
 ・蕉堅道人細川右典厩を貶す
  附:妓女但馬籠鳥を放せし話
 ・浪華の五子父の命を贖はん事を訴ふ
 ・売茶翁再び竺叟が許に語る
 ・乞丐の老婆梅若大夫を詰る
 ・吉野の遁世者佐川田が歌を評す
 ・伏見の妓女呉竹遊女の趣を知る
  附:両翁男女対斃の可否を論ず
 ・医官某剱相幷びに七つ目の支象を難ず
 ・奥州白河山中地仙墳の来由
 ・三光院殿再び嵯峨の草廬を訪ひ給ふ
 ・一品法親王寺門の遁災を知り給ふ
 ・一農夫の信義公廰を感ぜしむ


『唐土の吉野』/前川来太(伊丹屋善兵衛) 天明3年(1783)刊
校訂=飯倉洋一
 <全10話>
 ・江州の儒士妖夢に惑て従類を害する事
 ・磯野が家の画幅為妖主を罪する事
 ・津川勇を好で怪異の為に冤を得る事
 ・木偶恋慕に感じて処女と同穴を契事
 ・大隅小平太奸計を以て寡婦を犯す事
 ・桂の方金龍の法を修して肉身を煞ぐ事
 ・無為翁盗賊を暁して善に帰せし事
 ・土塊の霊惟界坊が慢心を醒す事
 ・幽霊芭蕉の舞を奏て実誼を告る事
 ・樵夫白蛇を追て兜の瑞を見たる事



解説=飯倉洋一、有澤知世、篗田将樹

著者紹介

飯倉洋一 (イイクラヨウイチ)

一九五六年大分県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、大阪大学教授。専攻、日本近世文学。
上田秋成の思想・表現に関わる研究、近世中後期の上方文壇における人的交流に関わる研究、近世中期の「奇談」書の研究などを行う。
著書に『叢書江戸文庫 佚斎樗山集』(国書刊行会、一九八八年、校訂)、『秋成考』(翰林書房、二〇〇五年)、『上田秋成―絆としての文芸』(大阪大学出版会、二〇一二年)、編著に『秋成文学の生成』(森話社、二〇〇八年、共編)、『なにわ古書肆 鹿田松雲堂五代のあゆみ』(和泉書院、二〇一二年、共編)、『小澤蘆庵 自筆六帖詠藻 本文と研究』(和泉書院、二〇一七年、共編)、『アプリで学ぶくずし字―くずし字学習支援アプリKuLA の使い方』(笠間書院、二〇一七年)など。

有澤知世 (アリサワトモヨ)

一九九〇年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員。専攻、日本近世文学。
山東京伝の諸活動を中心として、江戸戯作の研究を行う。論考に、「京伝合巻と図会もの―京伝の挿絵利用方法についての一考察―」(『日本文学』第六五巻六号、二〇一六年六月)、「戯作者という〈ブランド〉―式亭三馬の広告文を例に―」(『上方文藝研究』一三号、二〇一六年六月)、「京伝作品における異国意匠の取材源―京伝の交遊に注目して―」(『近世文藝』一〇四号、二〇一六年七月)など。

浜田泰彦 (ハマダヤスヒコ)

兵庫県生まれ。大阪大学大学院文学研究科修了。現在、佛教大学専任講師。専攻、日本近世文学。井原西鶴の浮世草子作品研究を中心に従事。
共著に、『西鶴諸国はなし』(三弥井書店、二〇〇九年)など。論文に、「「慰改て咄しの点取」考―西鶴の「物は尽し」―」(『西鶴と浮世草子研究』第三号、二〇一〇年五月)、「『世間親仁形気』〈祝言〉の方法―「老を楽しむ果報親父」の『文正草子』利用をめぐって―」(『京都語文』第二三号、二〇一六年一一月)、「『色里三所世帯』の再検討―「天子」を真似る外右衛門―」)『鯉城往来』第一九号、二〇一六年一二月)など。

篗田将樹 (ワクダマサキ)

名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。愛知淑徳大学助教。
現在、江戸時代中期の文人旗本三橋成烈が安永期の大坂在番中に江戸在住の親族朋友と交わした往復書簡集『飛檄』『飛檄随筆』の校注作業などを行う。
論考に、「季吟の一丁―『伊勢物語拾穂抄』成立私見―」(『上方文藝研究』第三号、二〇〇六年五月)、「平間長雅の箱伝受と『堺浦天満宮法楽百首和歌』」(『上方文藝研究』第五号、二〇〇八年五月)、「『古今集誹諧歌解』の出版と懐徳堂」(『近世文藝』第九四号、二〇一一年七月)など。

目次

垣根草
新斎夜語
続新斎夜語
唐土の吉野

解説