書籍詳細
オトコトオンナヲイキタサッカ
男と女を生きた作家
ウィリアム・シャープとフィオナ・マクラウドの作品と生涯
- 発売日
- 2012/01/20
- 判型
- 四六判
- ISBN
- 978-4-336-05480-7
- ページ数
- 228頁
定価 3,410円(本体価格3,100円)
内容紹介
1855年にスコットランドで生まれたウィリアム・シャープは、本名を用い男性作家・批評家として活動する一方、女性名であるフィオナ・マクラウドを名乗り、ケルトを題材とした創作や随筆を発表した。二つの性を用い方向性の異なる多彩な作品を生みだし、実生活においても女性名を使用した、特異な作家シャープ=マクラウドの魅力とその試みに迫る。
著者紹介
有元志保 (アリモトシホ)
1980年岡山県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科共生文明学専攻博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、東洋大学非常勤講師。専攻、19世紀イギリス文学。主な論文に「ウィリアム・シャープによる『フィオナ・マクラウド』のペルソナ構築」(『スコットランドの歴史と文化』、明石書店、2008年)などがある。
目次
はじめに
第一章 自己の二重性に対する意識と変身願望――『明日の子供たち』、『男とその妻』
一 文壇への挑戦
二 『明日の子供たち』での社会批判
三 ユダヤ表象にみられる恣意性
四 女性の神秘化の萌芽
五 『男とその妻』と「新しい女」
六 自己の流動性
七 慣習社会への回帰
第二章 第二のペルソナの構築――『楽園』
一 マクラウドの誕生の背景
二 近代の言説としてのケルト
三 第二のペルソナの構築
四 『楽園』における異界への航海
五 楽園の創出
六 「ケルト」世界とマクラウドの類似性
第三章 女性を他者として見る視線――「ジプシーのキリスト」、『山の恋人たち』
一 自己の女性性の構築
二 男性の破滅を招く魅惑的女性
三 「ジプシーのキリスト」における魅力と脅威を併せ持つ女性
四 女性の台頭に対する男性の集団的な不安と怒り
五 男性のアイデンティティを揺るがす女性
六 『山の恋人たち』における交錯しない男女の眼差し
七 外側から描写される女性と内側から描き出される男性
八 他者としての女性
第四章 統合と分裂の間での揺らぎ――『緑の火』
一 二重生活の行き詰まり
二 『緑の火』での二項対立の融解
三 分身との統合
四 作品の分裂
五 分裂する女性
六 「アマゾンの女王」と「女性の救い主」
おわりに
注
あとがき
Bibliography
Selected Bibliography of the Publications
Index