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書籍詳細

西尾幹二全集 21A

ゲンダイニホンノセイジトセイジカ

現代日本の政治と政治家

西尾幹二

発売日
2021/12/20
判型
ISBN
978-4-336-05400-5
ページ数
912頁

定価 8,800円(本体価格8,000円)

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内容紹介

「現代日本の政治と政治家」と題したこの一巻は、21世紀冒頭20年間の日本の政治を多角度からダイナミックに描いている。小泉純一郎首相の北朝鮮初訪問と拉致被害者一部の帰国に日本国内は騒然とするが、世界はニューヨーク同時多発テロからイラク戦争に向っていて、イスラム過激派のテロ行為をかつての「特攻隊」になぞらえる日本の保守派知識人の見当外れに対し、著者は保守の“軽薄な左翼帰り”と名づけて糾弾した。首相の非常かつ冷酷な郵政選挙に政治家の「自由」の行方、独裁的な危険を告知した。
 性格の温順な安倍晋三首相に代わって、政局は安定したが、自らの政策の一丁目一番地と名づけていた憲法改正をいつまでも棚ざらしにし、国民は首相のやる気を疑いだし、言葉が多いのはいいが、次第に空疎な多弁が目立ち、度胸の無さが何よりもこの人の欠点だと気がついた。
 「保守主義」とは何かが四方八方で問われだし、二大政党制は日本の政治に向かないと今の現実を見てあらためて疑われだしている。さりとて対決精神を持たない日本の政治家が、日本型全体主義を形成しつつあり、国際政治の修羅場に立たされたときにこの上なく危険だと危惧せざるを得ない。

著者紹介

西尾幹二 (ニシオカンジ)

評論家。電気通信大学名誉教授。1935年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。同大学院文学修士。文学博士。ドイツ文学者。ニーチェ、ショーペンハウアーの研究、翻訳をはじめ、文学、教育、社会、政治、国際問題等幅広く評論活動を行っている。最近では反原発を明確に打ち出し、人類の生命維持から訴えかける論点が注目されている。

目次

序に代えて 冷え冷えとした日本の夏(二〇〇四年)——朝鮮総聯、少子化、皇室の新しい危機、イラクの自衛隊、個と平等

Ⅰ モラリスト風に
道徳ははたして教育になじまない?
私の若い頃の生活と思想から
日本人は本当の敗戦体験をまだしていない
危機に弱い日本人の資質——シベリア抑留者のラーゲリ体験記より
歴史の古さからくる中国の優越には理由がない
中国に対する悠然たる優位が見えない日本人
日本が「孤独」に強くなる心得
「反日」は日本人の心の問題
「経済大国」と自ら言わなくなったことについて
鉄道は輸出になじまない
学者とイデオロギー——林健太郎先生の最後の日々(一)(二)
ノンポリ中立主義のうしろにある黒い影
国防のニヒリズム
民族の生命力をいかにして甦らせるか——政治と性の関係

Ⅱ 保守主義とは何か
生き方としての保守(二〇〇八年)
日本の歴史に「保守」は存在しない(二〇一二年)
『真贋の洞察』あとがき(二〇〇八年)
ニューヨーク同時多発テロ以後の保守派の反米主義に異議あり——おゝブルータスよ、お前もか。(長谷川三千子氏への友情をこめた危惧の表明、承服できない西部邁氏の暴力論)(二〇〇二年)
嘆かわしい保守思想界一部の左翼返り(二〇〇二年)
臆病者の思想を排す——小林よしのり氏を論ず(二〇〇二年)
西部邁氏追悼(二〇一八年)——我が好敵手への別れの言葉——
対談「日本にとって近代とは何か」(二〇〇二年)長谷川三千子 西尾幹二
『保守の真贋』(二〇一七年)あとがき

Ⅲ 靖國神社問題、「追悼・平和記念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会」(いわゆる「追悼懇」)をめぐって
1 サッカーW杯とナショナリズム(二〇〇二年)
2 詭弁の名人山崎正和氏の政府擁護の露骨なレトリック(二〇〇二年)
3 愛国者の死——孤軍奮闘した坂本多加雄氏の急逝(二〇〇三年)
共同討議「靖國問題」から西尾の発言を抜粋
無宗教の国立追悼施設という虚妄
政教分離について
靖國とナチスの施設

Ⅳ 戦後日本をリードした進歩的知識人の正体
1 アフォリズム
2 「贋物」の行列——竹内好、丸山眞男、鶴見俊輔、大塚久雄、小熊英二
羞恥心を失った「廃墟」のフェミニスト上野千鶴子
「正論」編集部企画「私の選んだリベラル砦の三悪人」
 中島健蔵、加藤周一、半藤一利——薄弱な、あまりに薄弱な知性
恥ずべき国辱もの「日中歴史共同研究」(二〇一〇年)の日本側代表北岡伸一
(一)許せない「西安事件」の無視
(二)日本は中国を含め世界のどの国をも侵略したとは言えない
朝日新聞問題
(一)「社説21」が唱える空理空論を嗤う(二〇〇七年)
(二)朝日新聞的なるもの(二〇一四年)
(三)ドイツの慰安婦と比較せよ(二〇一四年)

Ⅴ 日本がアメリカから見捨てられる日
相似国家「米朝」のはざまにある苦悩(二〇〇三年)
『日本がアメリカから見捨てられる日』(二〇〇四年)より
(一)いざというとき軍事意志の片鱗も示せない国(二〇〇三年)
(二)国家なら他国に頼る前に自分に頼れ(二〇〇三年)
(三)「対中戦略」以外にアメリカが日本を気にかける理由はない(二〇〇三年)
(四)やがて日本は香港化する(二〇〇三年)
(五)日本の国防を内向きにしているのは憲法が原因ではない(二〇〇三年)
第四次世界大戦に踏み込んだアメリカ——他方、北朝鮮人権法で見せた正義(二〇〇四年)
あわや極左に潰されかかった日本——「女性国際戦犯法廷」から「人権擁護法」まで(二〇〇五年)

Ⅵ 二十一世紀冒頭二十年間の日本の政治を考える
1 小泉純一郎
北朝鮮初訪問(二〇〇二年九月十七日)とそれ以後の観察記
郵政解散——『「狂気の首相」で日本は大丈夫か』の刊行とそのまえがき(二〇〇五年八月八日いわゆる郵政選挙始まる)
ハイジャックされた漂流国家(二〇〇五年)
自由の涯【はて】には破壊しかない(二〇〇五年)——皇室典範改定と人権擁護法案の恐しさ
狂人宰相、許すまじ(二〇〇五年)
2 小泉純一郎から安倍晋三へ
『「狂気の首相」で日本は大丈夫か』をめぐって(二〇〇六年)
安倍晋三氏よ、「小泉」にならないで欲しい(二〇〇六年八月十五日の一般公開講演)
3 安倍政権への信頼は早くも揺らぎだす
「慰安婦」謝罪は安倍政権に致命傷(二〇〇七年)
二大政党制という妄想(二〇〇七年)
保守論壇は二つに割れた(二〇〇七年)
小さな意見の違いこそが決定的違い(二〇〇六年)
八木秀次君には「戦う保守」の気概がない(二〇〇六年)
核武装について考える(二〇〇六年)
九段下会議の創設
4 経済界の暗躍と自由民主党の無力
日米軍事同盟と米中経済同盟の衝突(二〇〇七年)——なすところなき小泉、安倍、福田
日本をここまで壊したのは誰か(二〇一〇年)——自由民主党の罪と罰
トヨタバッシングの教訓(二〇一〇年)——国家意識のない経営者は職を去れ(十年後につながるトヨタ対中接近の闇)
5 第二次安倍政権の成立(二〇一二年)
第二次安倍政権の世界史的使命(二〇一三年)
総理、歴史家に任せるとは言わないで下さい!(二〇一三年)
同盟国アメリカに日本の戦争の意義を説く時が来た(二〇一三年)
西欧の内戦の歴史に日本はもうこれ以上左右される理由はない(二〇一三年)
総理、迷わずに「憲法改正」に向かってください(二〇一三年)
6 安倍政権の終幕への曲り角
総理に「戦後七十五年談話」を要望します(二〇一五年)
「安倍さん大好き人間」はどのようにして生まれ、日本政治をどう歪めたか(二〇一七年)
思考停止の「改憲姿勢」を危ぶむ(二〇一七年)
相手の剣幕にひるむ日本外交(二〇一七年)
岸田文雄外相の器を問う(二〇一七年)——今ほど政治家や官僚たちの見識、勇気、人格が問われているときはない
7 安倍晋三と国家の命運——惜別の辞(二〇二〇年)
8 中曽根康弘
亡国の大勲位、中曽根康弘の許されざる勘違い(二〇一二年)
9 小沢一郎
さらけ出された小沢一郎の正体(二〇一〇年)
小沢一郎国賊論
10 安倍政権下の遺憾とすべき内政
「移民国家宣言」に呆然とする(二〇一八年)
外国人問題で困るのは国内メディアの一斉沈黙(二〇一〇年)
日本国民は何かを深く諦めている(二〇一八年)
保守の立場から保守政権批判の声をあげよ(二〇一七年)
アメリカへの依頼心こそが最大の敵(二〇一六年)

追補一 対談 高市早苗vs西尾幹二 保守政権を考える
追補二 西尾幹二は保守主義者か 『真贋の洞察』をよむ 岩田 温
追補三 西尾幹二論——『国民の歴史』の思想史的位置 杉原志啓
後記