書籍詳細
内容紹介
ビット文学の歴史、未来言語による百科事典、細菌の未来学、コンピュータGOLEMの講義録など、〈実在しない書物〉の序文を収録。フィクションの新たな可能性を切り開いたレムが到達した文学の極北。
著者紹介
スタニスワフ・レム (スタニスワフレム)
1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。
長谷見一雄 (ハセミカズオ)
1948年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、東京大学教授。訳書に、ムロージェック『象』、レム『虚数』(いずれも国書刊行会)、『ポーランドの民話』(恒文社、共訳)などがある。
沼野充義 (ヌマノミツヨシ)
1954 年東京都生まれ。東京大学卒、ハーバード大学スラヴ語学文学科博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教授を経て、現在名古屋外国語大学教授、東京大学名誉教授。著書に『徹夜の塊』三部作(『亡命文学論』『ユートピア文学論』『世界文学論』、作品社)、『W文学の世紀へ』(五柳書院)、『チェーホフ 七分の絶望と三分の希望』(講談社)、編著書に『東欧怪談集』『ロシア怪談集』(河出文庫)、『世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義』全5巻(光文社)、訳書にスタニスワフ・レム『ソラリス』(国書刊行会およびハヤカワ文庫SF)、ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』(未知谷)、クラシツキ『ミコワイ・ドシフャトチンスキの冒険』(岩波書店)、ウラジーミル・ナボコフ『賜物』(新潮社)、『新訳 チェーホフ短篇集』(集英社)などがある。
西成彦 (ニシマサヒコ)
1955年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。
著書に、『固体化する欲望』(朝日出版社)、『マゾヒズムと警察』(筑摩書房)、『移動文学論Ⅰ イディッシュ』(作品社)、『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波同時代ライブラリー)、『耳の悦楽』(紀伊國屋書店)、『〔新編〕森のゲリラ宮澤賢治』(平凡社ライブラリー)などが、共訳書に、レム『虚数』(国書刊行会)、『文学の贈物』(未知谷)などがある。
目次
日本語版への序文
序文
『ネクロビア』ツェザーリ・シチシビシ
序文
『エルンティク』レジナルド・ガリヴァー
序文
『ビット文学の歴史』第1巻 ジュアン・ランベレーほか
序文
第二版への序文
『ヴェストランド・エクステロペディア』
プロッファーティンク
見本ページ
『GOLEM ⅩⅣ』
まえがき
序文
注意
GOLEM就任講義――人間論三態
第四十三講――自己論
あとがき