書籍詳細
内容紹介
ユダヤ神秘主義、スーフィズム、新プラトン主義などが混沌たる〈知〉の坩堝を作っていた13世紀スペインで、天啓博士ライムンドゥス・ルルスの「結合術」〈アルス・コンビナトリア〉は誕生した……9個のアルファベットの組み合わせで宇宙という巨大な〈書物〉を解読せんとしたルルスの思想は、ギリシャ・ローマ以来の「記憶術」、さらにヘルメス・カバラの魔術的伝統と混交しながらルネサンス、宗教改革以降のヨーロッパ思想に甚深な影響を与え続けてきた。本書は今日まったく顧みられることのないこの「結合術」の系譜を資料に即して解明、ブルーノ、ベーコン、デカルト、コメニウス、ライプニッツ等を通し百科全書思想、世界劇場構想、薔薇十字運動、普遍言語構想などを生み出してゆく経緯を解明する、驚異と知的興奮に満ちた思想・科学史研究の名著である。
著者紹介
パオロ・ロッシ (パオロロッシ)
1923年~2012年。フィレンツェ大学教授(哲学史)
清瀬卓 (キヨセタカシ)
1949年兵庫県生れ。京都大学大学院博士課程修了。現在、京都外国語大学教授(イタリア文学)。主要訳書にリッツォーリ版世界美術全集『セザンヌ』(集英社)、『カルダーノ自伝』(共訳、海鳴社)、『十六・七世紀イエズス会日本報告集第一巻』(共訳、同朋舎出版)など。