1494ネン
1494年
中世スペイン王家の内紛はいかにして世界を二分させたのか
スティーブン・R・バウン 著
小林政子 訳
発売日 2025/07/22
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07767-7
ページ数 336 頁 Cコード 0022
定価 3,960円 (本体価格3,600円)
【内容紹介】
1493年、コロンブスが意気揚々とスペインに帰還したそのとき、彼の発見はスペインのフェルナンド王とイサベル女王、およびポルトガル王ジョアン二世の間でくすぶっていた対立に火をつけた。世界の海洋を支配するのはどの国なのか。緊張緩和を目的として、教皇アレクサンデル六世は1494年のトルデシリャス条約の基礎となった勅令を発した。それは大西洋上に想像上の線を引き、既知の(そして未知の)世界をスペインとポルトガルで二分割するというものだった。
コロンブスの画期的な航海で海洋が世界に開かれようとしていた矢先に、同条約は地球上の海洋を特権的なカトリックの二大国の支配下に限定しようとした。勅令は世界史に大きな影響を与える。すなわち、スペインとポルトガルは超大国となり、他のヨーロッパ諸国は両国との衝突が避けられなくなる。以後二百年間、世界は国家間の陰謀と海賊たちの跋扈、戦争の脅威に晒されることになった。
これはまた「海洋の自由」のための闘い――世界の海洋、世界貿易は独裁権によって支配されるのか、それとも、すべての国の船舶に開放されるべきなのか、という壮大な闘争の始まりでもあった。この難問に対し、17世紀のオランダ人法学者フーゴー・グロティウスは、ようやく国際法の基礎となったきわめて近代的な発想を唱えるのである。
「本書は、教皇アレクサンデル六世の勅書を含む三勅書および勅書に基づくスペイン・ポルトガル間の1494年のトルデシリャス条約が、今日でも重要な歴史的事実であることを教えてくれる」(ナショナル・ポスト紙)
「波瀾万丈の海洋の歴史を分析する本書は、宗教上の狂信、貪欲な奴隷商人、邪悪な独裁者、不運な先住民、そして危険を犯して運命を切り開こうとする冒険者たちで溢れる危険な大海への航海を活写する。実に面白く、かつ格調高い」(グローブ&メール紙)
【著者紹介】
スティーブン・R・バウン (スティーブン・R・バウン)
カナダのオタワ生まれ。アルバータ大学で歴史学を専攻後、メディア界に身を置く。
2002年から科学や航海の歴史に変革をもたらした事件や人物に関わる作品、冒険と交易の接点に注目した作品を発表。日本では第二作目の『壊血病』(国書刊行会、2014年)、『最後のヴァイキング ロアール・アムンセンの生涯』(国書刊行会、2017年)等が刊行されている。多様な事実の累積から思わず引き込まれる興味深い物語を紡ぎ出す才能は「カナダのサイモン・ウィンチェスター」とも呼ばれている。
小林政子 (コバヤシマサコ)
明治学院大学英文学科を中退し外務省入省。リスボン大学留学。1988年に外務省を早期退職して翻訳を志す。
〈主な訳書〉
『私の見た日本人』(パール・バック著、2013年)、『壊血病』(2014年)、『最後のヴァイキング』(2017年)(共にスティーブン・R・バウン著)、『現代の死に方』(シェイマス・オウマハニー著、2018年)、『2084年報告書』(ジェームズ・ローレンス・パウエル著、2022年)、『極地探検家 シャクルトンの生涯』(ラヌルフ・ファインズ著、2024年)など(以上 国書刊行会)。『ギリシャ人ピュテアスの大航海』(バリー・カンリフ著、2023年 青土社)。