ケットウショ
血統書
パトリック・モディアノ 著
松崎之貞 訳
発売日 2025/04/16
判型 四六判 ISBN 978-4-336-07713-4
ページ数 184 頁 Cコード 0098
定価 2,640円 (本体価格2,400円)
【内容紹介】
――わたしは血統書をもっているようなふりをする一匹の犬なのだ――
ノーベル文学賞を受賞したモディアノ自身による文学的自伝。
「わたしはこれらのページを調書や履歴書を書くようにして記している。つまり資料として、また、まちがいなくわたしのものではなかったひとつの人生にケリをつけるために」
本書はドイツ占領下のパリでの父母の出会いにはじまり、モディアノ自身が生まれ(1945年)、次いで弟が生まれ(1947年)、その弟を病気で亡くし(モディアノ11歳、弟9歳)、両親に放り出された孤独を生きながら、作家として立つ22歳までの日々を綴っている。
ドイツ占領下のパリでナチスやフランス当局の「ユダヤ人狩り」を逃れながらも闇市に暗躍した父親の怪しげな行動、子供を放り出して舞台や巡業あるいは遊びに飛び回る母親に触れながら、《わたしが生まれてきたのが腐植土――ないし堆肥――からだったとしても、どうしようもないのだ》と記す。
モディアノ文学の根源を指し示す書にして、混乱の時代の貴重なる証言。
【著者紹介】
パトリック・モディアノ
1945年生まれ。幼時から知人宅に預けられたり、寄宿舎に入れられたりするなかで生きる技術を学び、22歳「エトワール広場」で作家デビュー。その後もコンスタントに秀作を発表しつづけ、2014年ノーベル文学賞を受賞。現代フランス有数の作家のひとり。
松崎之貞 (マツザキユキサダ)
1947年埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。70年に徳間書店入社。一貫して編集部門を歩き、2002年ノンフィクション部門の編集局長を最後に退社。その後フリーとして書籍の編集に携わる。著書に『「語る人」吉本隆明の一念』(光文社)、『吉本隆明はどうつくられたか』(徳間書店)、『モディアノ中毒』(国書刊行会)などがある。