シリーズ 宗教学再考 7
ユウゲンセイトザイセキセイ
有限性と罪責性
『過ちやすき人間』/『悪のシンボリズム』
ポール・リクール 著
杉村靖彦 訳
発売日 2025/03/05
判型 A5判 ISBN 978-4-336-07117-0
ページ数 660 頁 Cコード 0314
定価 7,480円 (本体価格6,800円)
- シリーズ: シリーズ 宗教学再考 (シリーズ シュウキョウガクサイコウ)
- 世界的な古典とされる重要文献を本邦初訳及び新訳で収録し、古今東西の宗教現象を21世紀に再考する宗教学の一大叢書。 近代以降、「宗教」という言葉を用いて、我々はいかに思考してきたのか。古今東西の宗教現象をつかもうとしたこの営みを、21世紀の今、我々はどのように評価すべきか。英、仏、独、蘭の各言語圏の重要文献を本邦初訳、および別々に翻訳されていたものを一冊に新訳で収録し、「宗教」をめぐる基礎概念の始まりから、「宗教」という言葉そのものの問い直しに至るまでを見渡し、宗教学という枠組を今再考する。 編集委員/島薗進・鶴岡賀雄・山中弘・松村一男・深澤英隆・山﨑亮・奥山倫明・杉村靖彦・久保田浩・江川純一 企画協力/南山宗教文化研究所
【内容紹介】
悪の問いに応答する
アクチュアルな宗教哲学――
人間の「過ちやすさ」を精緻に解き明かす哲学的反省が、象徴的・神話的表現の渉猟によって、悪の経験を表現する豊穣で多彩な諸宗教の象徴言語に接続する。
20世紀フランス哲学の巨人リクールは〈解釈学的哲学〉の泰斗として知られるが、初期の〈意志の哲学〉では哲学と宗教ははるか近くで呼応していた。
リクールの歩みの一大転機となり、新たな宗教哲学への展望を開く記念碑的著作!
1960年に刊行された本書は、〈意志の哲学〉の第2巻で、『過ちやすき人間』と『悪のシンボリズム』の2分冊からなる。『過ちやすき人間』は、人間の「過ちやすい」存在構造として「悪の可能性」を哲学的に考察し、『悪のシンボリズム』は、悪の象徴的・神話的表現の解釈を通して、「悪の現実性」を照らす宗教的象徴の世界を開き出す。
3冊に分かれて邦訳されたために見えなくなっていたこの大著の広大かつ豊穣なる展望が、全巻通しての新訳によって鮮やかに浮かび上がる。
〈シリーズ 宗教学再考〉第4回配本
【著者紹介】
ポール・リクール (ポール・リクール)
Paul Ricœur 1913-2005
1913年フランス・ドローム県のヴァランス生まれ。レンヌ大学、パリ・ソルボンヌ大学で哲学を学ぶ。第二次大戦に出征し、ドイツ軍の捕虜となり捕虜収容所に拘留。戦後に取り組んだ「意志の哲学」の第一巻『意志的なものと非意志的なもの』により国家博士号を取得(本書『有限性と罪責性』は第二巻にあたる)。1949年ストラスブール大学助教授、1956年パリ・ソルボンヌ大学教授、1964年に新設のパリ・ナンテール大学に移る。1970年代にはシカゴ大学神学部でも教え、エリアーデなどと交友をもつ。20世紀後半のフランスを代表する哲学者の一人であり、実存哲学、現象学、解釈学、構造主義等々、時代を代表する諸思潮との粘り強い対話を通して独自の哲学的立場を確立した。また、フランスでは少数派の改革派プロテスタントの出自であり、哲学著作と並行して、キリスト教思想や聖書解釈に関する論考も数多く発表してきた。主著に、『生きた隠喩』(岩波書店)、『時間と物語』『記憶・歴史・忘却』(新曜社)、『他者のような自己自身』(法政大学出版局)など。
杉村靖彦 (スギムラヤスヒコ)
1965年大阪府生まれ。1994年京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。京都大学大学院文学研究科教授。著書に『ポール・リクールの思想 意味の探索』(創文社)、Témoignage et éveil de soi – Pour une autre philosophie de la religion (Presses Universitaires de France)、共編著に『個と普遍――レヴィナス哲学の新たな広がり』(法政大学出版局)、主な訳書にジャン・ナベール『悪についての試論』(法政大学出版局)、ジャン・グロンダン『ポール・リクール』(白水社)など。