ネルホル 2007ー2024

Nerhol 2007-2024

Nerhol 著
伊藤俊治/光田ゆり/石津智大/星野太 執筆
森啓輔/庄子真汀/大浦周 解説

発売日 2024/09/17

判型 B5変型判   ISBN 978-4-336-07686-1

ページ数 216 頁   Cコード 0072

定価 3,960円 (本体価格3,600円)

【内容紹介】

積層した紙束を彫り刻む斬新な作品で、VOCA展2020グランプリ「VOCA賞」を受賞するなど国内外から注目を集めるアーティストデュオNerhol(田中義久×飯田竜太)。人物の連続写真を重ねて彫る初期のポートレートから、帰化植物や珪化木、和紙を素材とした近作まで、グラフィックデザイナーと彫刻家の日々の対話によって紡がれてきた表現の軌跡をたどる、初の本格的作品集。

エッセイ=伊藤俊治/光田ゆり/石津智大/星野 太

【伊藤俊治「溶ける写真彫刻」より】
重要なのは彼らの作品が私たちのいる非物質的な環境と地層の変質を解き明かす方向を常に抱えているということだ。彼らが目指すのは、デジタル時代における操作可能なレベルの創造ではなく、操作不可能なものを抉り出す彫刻性の探究なのではないだろうか。そこにNerholの独自性がある。

【著者紹介】

Nerhol (ネルホル)

グラフィックデザイナー田中義久と、彫刻家・飯田竜太により2007 年に結成されたアーティストデュオ。《Remove》で、「VOCA展2020」のグランプリ「VOCA賞」受賞。

田中義久:グラフィックデザイナー
1980年、静岡県生まれ。2004年、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科卒業。2023年より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科在学中。現在、東京在住。

飯田竜太:彫刻家。日本大学芸術学部准教授
1981年、静岡県生まれ。2004年、日本大学芸術学部美術学科彫刻コース卒業。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。現在、東京在住。

伊藤俊治 (イトウトシハル)

美術評論家、東京藝術大学名誉教授。専門の美術史・写真史の枠を越え、アートとサイエンス、テクノロジーが交差する視点から多角的な評論活動を行う。主な著書に『写真都市 : City obscura 1830→1980』(冬樹社、1984年/〈増補版〉トレヴィル、1988年)、『ジオラマ論』(リブロポート、986年/筑摩書房、1996年、サントリー学芸賞受賞)、『生体廃虚論』(リブロポート、1986年)、『トランス・シティファイル』(INAX、1993年)、『電子美術論』(NTT出版、999年)、『バリ島芸術をつくった男―ヴァルター・シュピースの魔術的人生』(平凡社新書、2002年)、『バウハウス百年百図譜』(牛若丸、2021年)などがある。

光田ゆり (ミツダユリ)

美術評論家、多摩美術大学大学院教授、アートアーカイヴセンター所長。専門は20世紀美術史・写真史。富山県美術館、渋谷区立松濤美術館等の学芸員を経て現職。主な著書に『写真、芸術との界面に』(青弓社、2006年、日本写真協会賞受賞)、『高松次郎 言葉ともの』(水声社、2011年)、HISTORY OF JAPANESE ART AFTER 1945: Institutions, Discourse, Practice』(共著、Leuven University Press、2023年)など、企画展に「安井仲治 写真のすべて」(渋谷区松濤美術館、2004年、倫雅美術奨励賞受賞)、「描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき」(DIC川村記念美術館、2019年)などがある。

石津智大 (イシヅトモヒロ)

関西大学文学部心理学専修教授。専門は神経美学。ウィーン大学心理学部研究員、ロンドン大学ユニバーシティ校生命科学部上席研究員などを経て現職。主な著書に『神経美学―美と芸術の脳科学』(共立出版、2019年)、主な論文に「悲劇芸術の仮想の悲しみ―悲劇から受容される情動に関する神経美学的議論」(『心理学評論』所収、2023年)、「The experience of beauty derived from sorrow」(『Human Brain Mapping』所収、2017年)、「The brain’s specialized systems for aesthetic and perceptual judgment」(『European Journal of Neuroscience』所収、2013年)などがある。

星野太 (ホシノフトシ)

東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は美学、表象文化論。主な著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、『美学のプラクティス』(水声社、2021年)、『崇高のリミナリティ』(フィルムアート社、2022年)、『食客論』(講談社、2023年)など、訳書に、カンタン・メイヤスー『有限性の後で』(共訳、人文書院、2016年)、ジャン=フランソワ・リオタール『崇高の分析論』(法政大学出版局、2020年)、カトリーヌ・マラブー『真ん中の部屋』(共訳、月曜社、2021年)などがある。

森啓輔 (モリケイスケ)

千葉市美術館学芸員。専門は日本近現代美術、美術批評。ヴァンジ彫刻庭園美術館学芸員を経て現職。担当した企画展に「宮島達男 クロニクル 1995–2020」(千葉市美術館、2020年)、「生誕100年 清水九兵衞/六兵衞」(同/京都国立近代美術館と共催、2022年)、「三沢厚彦 ANIMALS/Multi-dimensions」(千葉市美術館、2023年)などがある。

庄子真汀 (ショウジマナ)

千葉市美術館学芸員。専門は写真を中心とした現代美術、教育普及。担当した企画展に「つくりかけラボ07 植本一子|あの日のことおぼえてる?」(千葉市美術館、2022年)、「『前衛』写真の精神 : なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」(新潟市美術館ほか巡回、2023年)、「つくりかけラボ13 黑田菜月|野鳥観察日和」(千葉市美術館、2023年)などがある。

大浦周 (オオウライタル)

埼玉県立近代美術館主任学芸員。担当した主な企画展に「辰野登恵子 オン・ペーパーズ」(埼玉県立近代美術館、2018年)、「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」(同、2020年)、「ボイス+パレルモ」(同/豊田市美術館、国立国際美術館との共同企画、2021–22年)などがある。